:散り散りになる仲間
あ~・・・学校ダルいなぁ~w
また来てくださった方ありがとうございます!
はじめての方はこれからもよろしく!
みんな、楽しんでくれれば幸いです^^
轟音とともに空一面を覆うような砂の塊が、質量とは裏腹に早すぎる速度で地に落ちてくる。
それをまともに直撃する剛毅。
「ハハハ!!弱いぞ剛毅!!この程度か、まだまだ・・・俺の言ったことが理解出来ていないようだな!!」
再砂は砂で剛毅を抑えつけたまま、もう一つ同じ大きさの砂の塊を作りだす。
「いいか!砂への信頼、愛情、欲・・・こういったものが強くなればなるほど砂は強くなる!!」
第二破、今度は地面を大きく揺らしながら襲いかかってくる。
その震動が収まり静まりかえる。
「死んだか・・・・・この程度の男だったとわな」
再砂はつまらなそうに地に降り立ち、麗香の元に帰っていく。
心の中では決して疑っていないことがあるが、この場で言うわけにはいかない。
だが、ほんの少し漏れてしまう。
「また・・・・会いましょう」
それだけは絶対に成し遂げたいことだった。
雷が迸れば、それを誘導するように水が現れる。
「俺達は、一閃にしか仕えないはすだ!・・・なら何故お前は・・・・どこに向かおうとしてるんだ!!」
津波のごとく攻めてくる膨大な生み出された水はただ一点、水鏡にのみ狙いを定めて、襲いかかってくる。
ソレを逆に雷が水を誘導して、水鏡は避ける。
「俺達の未来はもう『地獄の使者』にはない、まだ間に合う、彰、俺と共に『紡ぎの糸』に行こう!」
「それで、どうなる?」
水鏡の目が点になる。
【そうだ・・・・行って俺は、何をする?・・・・・何をすればいい?】
目の前の彰を見ると、その目は何か信念のようなものが伺えた。
対して自分にはない・・・・この違いはなんだ・・・・。
「水鏡・・・・お前のソレは逃げだ、そんなものに動かされている部下の気持ちにもなって見ろ」
彰は片手を天に掲げる。
「はっきり言おう、迷惑だ、お前の・・・・そんなものの為に何故俺が動かなけりゃいけない!」
「黙れ、彰・・・・ならばお前にはトップに立つ者の気持ちが分かるとでも言うのか?」
「ああ、わかるさ、俺は一度その重みに耐えきれずして挫折した事がある」
手が振り下ろされると、雨のような水の刃が天から降り注いでくる。
それに気づいた水鏡が咄嗟に展開した『雷の防壁』を、水の刃は悉く貫通していく。
「その挫折を親友のお前には味わって欲しくない・・・・『紡ぎの糸』の中ででもいい、答えを見つけだしてくれ、そして・・・」
水鏡の周りに観戦していた同士たちが募る。
「・・・俺にその答えを教えてはくれないか?」
彰は水鏡に背を向ける。
「その絶望の先には何があるのかを・・・・」
「止まれよ、怪物」
「止まりなさい、怪物」
二人の声が重なる、両方とも共に覇気がある声だった。
ここは要塞から数キロ離れた平地の場所だった。
二人の目の前にはあからさまに存在感を振りまいている男が一人、立ち止まっていた。
「一つ聞いておこう、貴様等は『八皇』か?」
「半分イエス」「半分ノーよ」
二人が同時に言う。
「確かに俺達は『八皇』だった、だが今は『八皇』ではない」
「確かに私達は『八皇』でした、でも今は『七皇』と呼んでいるわ」
息のあったいいコンビだ、相手にすればこれほど厄介なペアはいないだろうな、そう考える皇。
二人とも、皇の放つ気によって怯むどころか、反応して逆にこっちがプレッシャーを感じるようだった。
「さすがは『八皇』・・・いや『七皇』だったな・・・ところでそれは一人抜けたと言うことか?」
「そうね」「かもな」
「要するにとても曖昧な位置にいると見て間違いなさそうだ・・・ではまずあなた達から召し上がりましょうか!!」
皇は『才気』を全快にしながら二人、臼と木根に向かって全身する。
「いい心がけだ、相手が誰であろうとも全力で行く・・・だが、相手を間違ったな」
「私達にするそれは単なる自殺行為に過ぎないと言うことを理解させてあげるわ!!」
日が沈んだ頃、一閃は野宿の準備を完璧にすませていた。
「昴・・・・か?」
「はい・・・一閃様、昴です、今回は一閃様にどうしてもお聞きしたいことがございまして・・・」
「なんだ?・・・それと様付けは辞めてくれ、何か不愉快だ」
一閃は珍客に目の前の切り株を勧める。
昴はお礼を言ってそこに座る。
「一閃様・・・一閃様はもう『地獄の使者』の元帥ではございませんよね?」
「ああ・・・」
「なら、あの約束は・・・?」
「無効だ・・・・昴、お前を信頼して一つ頼み頼みたいことがあるんだが・・・」
「・・・何でしょう?」
「それはな・・・・」
それはまだ残っている『地獄の使者』の元帥としての、仲間を思う心の塊。
「剛毅隊長!大丈夫ですか!?」
傷ついた剛毅の元に数名の構成員が集まってくる。
「今すぐ、『正義の悪魔』に向かうぞ・・・出発だ」
剛毅はそれだけを言って、自分を支える手に全体重をゆだねた。