:瞬夜?いや俺は再砂だ
《一閃様はどうやら本当に出ていったみたいです、見張りの死に方が焼け死ぬなど、一閃様・・・一閃しかありません》
電話の向こうから部下の怒りに満ちた声が聞こえてくる。
《そうか、そいつを丁寧に埋葬したあと、すぐに帰還しろ、これからの方針を考えるぞ》
そう言って乱暴に電話を切る。
「一閃、やりやがったな、まさか人さえも手にかけるようになってしまったとわ・・・これはもう一刻の猶予も有りはしない!!」
そして剛毅は隊長室に掛けられているあるものを手に取った。
それは一閃が隊長のみに渡した『地獄の使者』としての証、『秩序』の組織印である剣が盾を突き破った形に刺繍が施された旗。
「一閃、俺はお前についていくと誓ったんだ、そのお前がここにいなくてどうする!」
剛毅はそれを力一杯へし折った。
「一閃!!俺はお前を求めてお前を殺す!!」
剛毅はその前段階としてあることをするために電話をかける。
《こちら剛毅です・・・・・・・・・・・・・・・・・愛様ですか?》
《あら剛毅ちゃん、どうしたのかしら?それと愛でいいわよ》
電話の相手は『悪魔の正義』提督大神 愛だった。
《・・・・愛様、この剛毅かねてからのものを受理します》
《へぇー、どういう風の吹き回しかしら?》
《つきましては一つお願いがあります》
《何かしら?私に出来ることならなんでもしますよ》
《・・・・私の組織と共にそちらに移りたいと思います、よろしいか?》
《えぇ、構わないわよ、ただ、アナタの部下が有能じゃなければ勝手に辞めてしまうだろうけど》
フフフっと楽しそうな笑いが向こうから聞こえる。
《明後日にはつきます》
《ええ、待っているわ、ちょっと早いけど・・・・・ようこそ『正義の悪魔』え!!》
そこで電話を切った、後悔はない。
「さて、何人ついてくるかな?」
剛毅は違う電話、今度は部屋に完備されているものをとる。
《みな聞いてくれ!!私はこれから『正義の悪魔』の配下に降る!もちろん強制はしない!明日発つ、それまでに用はすませておけ!》
「ありがと、瞬夜、もういいわ」
瞬夜の胸から顔を離す麗香。
「そうか、いいぜ、気にするな、俺もお前に一つ言わないといけないことがあるんだ」
「いいわ・・・・なにかしら?」
「俺は女だ」
シラケた雰囲気が流れる部屋。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・知っているわ瞬夜は女ね」
「ああ、だから瞬夜って可笑しいとわ思わないか?」
思えば女で瞬夜とは少し可笑しいハズだ、しかしつけないとわ言い切れない。
それで瞬夜は一体何が言いたいのだろうか。
「何が言いたいの?」
「そう言うことだ、麗香、俺に名前をくれ、『瞬夜』は一閃が俺に与えた名前だ、だが今の俺はお前の部下だ、だから、名前をくれ」
「・・・・・・・・・・あなたの本当の名前は?」
知らなかった、『瞬夜』が一閃が付けた名前だったとわ。
「知らない、俺は瞬夜以前の記憶がない・・・・・それに、必要ない」
「その名の由来は?」
「・・・・瞬く間に夜を駆け、我を助ける守護者、だ」
一閃は瞬夜のことを何より信頼していたのだ、故にどんなピンチになったとしても瞬夜が助けに来てくれると信じることが出来るのだ。
「そうね・・・考えるわ、ちょっと待ってくれる?」
「ダメだ、すぐに決めてくれ、俺はソレを使って初めの仕事をしないといけない」
この女は砂を通じていろいろな場所から情報を聞くことが出来る。
もちろん自分の入る組織『秩序』には常に聞いている状態にしているのである。
故に剛毅がしようとしている事は理解している。
そして瞬夜はとある約束により、剛毅には逆らえない。
だが・・・瞬夜でなければ聞く必要はない。
「そう急かされても良い名前は出来ないわ、少し考えさせてくれないと」
「良い名前じゃ無くても良い、早く頼む」
その後少しだけ考えた麗香はこう出す。
「再砂・・・・再砂よ」
「わかった、少々可笑しい気もするが別に良い、今日から俺は再砂だ!」
その意味する所は、
「何度でも立ち上がる不死身の砂の守護者、こういう所かしら」
「・・・・・・・・良い名だ」
タイミング良く電話がなった。
「すまないボス、少し出させて貰うよ」
そう断りを入れてから瞬夜・・・いや、再砂は電話を取り、周りにも聞こえる用に設定した。
電話の相手は『秩序』の剛毅だった。
《剛毅だ、手短に用件だけ話す、俺達は『正義の悪魔』に入る、いいな?》
《残念だ、俺はその命令には従わない》
《なに?どういうことだ?お前は俺には逆らってはいけないはずだろ!?》
《何の事だ?・・・・そもそもお前は人を間違ってるんじゃないか?》
《・・・・・・・瞬夜だろ、ふざけているなら怒るぞ!》
瞬夜は少し焦らすように溜めを置く、その間に麗香を見て少しだけ笑う。
《瞬夜?誰の事だ?俺の名前は再砂だ、やはり間違っているんだな、それともう一つ、瞬夜なんて人間はこの世には存在しなかった》
そう、瞬夜は仮の名前、一閃がつけた仮の名前にすぎなかったもの。
《どういうことだ!!その声は瞬夜だ!!おちょくるのも大概にしろ!!》
《おちょくってなどいない、俺は・・・今の俺は再砂だ、麗香に使える新たな『地獄の使者』の護り手だ!!》
そして今までに無いほどの暗い声色で、
《抜けるのはいい、どうとでもしろ!だがな、もしも『地獄の使者』に牙を剥くというのならば俺は例えお前だったとしても容赦しない!》
そこで一方的に電話を切った。
「・・・・・・ありがとう、瞬夜」
「おい、間違ってるぞ、俺は再砂だ」
再砂は悪戯っぽく麗香を見る。
「そうだったね、ありがとう、再砂」
麗香は見つめる瞳をしっかりと見て優しく微笑んだ。




