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   :『海』の中

小屋の中は案外すっきりとしていた、というよりほとんど何もなかった。


紗代は一閃に椅子を勧め、反対側のの椅子に自分が座る。


一閃も椅子に座る。


「それで、相談事って何かしら?私がワクワクするようなことかしら?」


紗代は楽しそうに身を乗り出してきた。


「さぁ、それは分からんな、『八皇』について聞きに来た、それも現『八皇』について、だ」


「あら、懐かしいね、『八皇』か・・・・・どうして知りたいの?」


「この前あった祭りの途中に元『八皇』の連中がきて、俺を誘ってきた」


紗代は驚き、腕を組んで考える。


「そうね・・・・・私は『八皇』が復活したことしか聞いてない、けど・・・・・だいたいの予測はつくわ」


「へぇ・・・・・っで、その予測ってのは?」


一閃は興味しんしんに身を乗り出す。


紗代は少し悩んで、


「あくまでも推測の域なんだけどね、それでいいなら」


「言ってくれ、合ってなくても参考にはなる、あいつらが何をしたいのか、がな」


一閃も神妙な顔に変わり、紗代がしゃべり始める。


「多分前の目標と変わらない、もしくわそれ以上のことをしようとしてるね、少なくとも止めることは不可能に近いわね」


紗代はチラッと一閃の方を向く。


「ダメだ今の俺じゃあやつらを止めるなんて不可能だ、もしかしたら俺の今の状態を確かめに来たのかもな」


「そうかもしれないわね、だとしたらもう行動を始めるかもしれないわね、天敵『阿修羅』が動けないと分かったんだから」


『阿修羅』、かつて世界を恐怖のどん底に突き落とした異名であり、一閃のもう一つの異名だ。


一閃は眉間にしわをを寄せて嫌な顔をする。


「今の俺は『阿修羅』じゃない、ただの『地獄の使者』の裏のボスだ」


紗代は心持ち声を低くして、


「そうね、ごめんなさい、でもね一閃、忘れないでアナタが奪った何億という人の命を、願いを、アナタには背負う義務がある」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ、そのつもりだ」


それを聞いて場の空気が和やかなモノになる。


紗代は立ち上がり、夕食の準備を始める。


「今日は泊まっていくんでしょ?」


「そうだな・・・・・・・・いや、今日は飯が終わったら帰るよ」


「そう、じゃあ出来るまで大我と楚良と遊んで待っててくれる、すぐに出来るわ」


一閃は、おう、っと一言言って小屋を出ていく、背後では楽しそうに料理を作っている紗代をおいて。


集中、森の隅々まで自分の気を張り巡らせ、二人の位置を探り出す。


「・・・・・・・・・・・・・・・いた」


一閃は二人がいる場所に向かって走りはじめた。







「父上!覚悟!」


楚良は渾身の力を込めて大我に殴りかかるが、あまりにも攻撃を重視したパンチであったため、動きが遅く大我は軽くそれを避ける。


空を切りそのまま地を叩いたパンチは大地を大きく砕き、大きく揺らした。


「ハハハ!そんな攻撃じゃ当たらないぞ!」


離れた所に移動した大我は快活に笑いとばした。


「父上、油断はいけませんよ!」


楚良は思いっきり手を前に突く。


すると何故か大我は吹っ飛んだ。


「なに!?」


「ハハハハハ!父上!油断だね!僕は毎日本を読んで勉強してるんだ!これは一閃って『阿修羅』と呼ばれた男の技だよ!」


大我は地面にキレイに着地する。


「なるほど、通りでみたこと・・・・・ん?」


大我は緊迫した空気を消し去り、家のある方向に顔を向ける。


楚良は不思議そうに大我をみていた。


「父上、どうしたんですか?」


「ハハハ!楚良、喜べ!間近で本物が見れるぞ!!」


突如楚良の腹に重たい衝撃がきて、吹っ飛ぶ。


そして、大我の隣にあの男が立っていた。


「何してるんだ?」


「ちょうどいいや、楚良に練習つけてあげて、倒れるつもりやってもかまわない」


そんな話を遠くから聞いていた楚良は、


「ちょっと!何勝手に・・・・・」


一閃は楚良がしゃべっているのに割り込んで、


「俺は一閃って言うんだ『不動明王』ともいわれる、『才気』は『劫火』だ」


「名乗っちゃった!父上!ちゃんと止めてくださいよ!」


「分かってるよ、だから早く名乗れ・・・・・」


「俺は楚良!『才気』は『大地』、レッドラインの5だ!!」


そう名乗った後、大我は付け足すように言う。


「そうそう、こいつは俺より強いからな!」


一閃の姿が消える、そして楚良の背後に一瞬で現れた。


「よろしくね楚良」


次に来るのは鉛が当たったかそれ以上の衝撃、一閃のパンチが楚良の脇腹を襲った衝撃だ。


楚良はそのまま吹っ飛ぶ。


が、空中でバランスを取り戻して、拳を振りかぶる。


「くらえ!!」


そのまま拳を前に突き出し衝撃破を一閃にとばすが、軽々とそれを避ける一閃。


「その技は・・・・・そうか、なら少しレベルをあげてみますか」


一閃は嬉しそうに笑う、そしてまた消える。


そして姿が見える前に来る衝撃。


「なに!?一体どこから!?」


一閃は消えた場所から少しも動いてはいな。かった、ただ踏みしめている地面が何らかの衝撃でへこんでしまっている。


「無空拳だ、俺が開発した、並の・・・・・いや、普通の人間の筋力では絶対に出せない間接攻撃だ・・・・・何故使えるんだ?」


一閃はまた楚良の後ろに回り込む。


「二度目はない!!」


楚良は素早く反応して一閃から離れるようにめいっぱい飛び退いた。


「甘い、注意力がたりない、だから気付かない・・・・・俺の腕は二本だぜ?」


突き出されている腕と逆方向の腕が突き出される。


飛び退いた楚良は避けることが出来ずに、大きく飛距離を伸ばすハメになる。


そしてそのままのスピードのまま地面を二、三回転がって立ち上がる。


「怒った!!本気の本気だ!!覚悟しろよ!!」


楚良は地面を力一杯踏みつける。


同時に一閃の下から岩が突き上げてくる。


「なるほどそう来るか・・・・・オモシロい」


一閃はそれを一振りで破壊して、楚良の方に向く。


「もう少しレベルあげるぜ?」


そう言って一閃が動き出そうとした瞬間二人の間に大我が割り込んだ。


「はい、しゅ~~りょ~~!ご飯出来たってさ、帰るよ!」







「はい、お疲れさま!」


紗代はそれぞれの前に料理を運んでくる、それはとても豪華なものだった。


全て運び終えて、紗代は席に着く。


「じゃあ、「「「いただきま~~す!」」」」


楽しいご飯の時間だ。


「一閃、今日は泊まりがけなのか?」


「いや、今日は帰るよ、ちょっとあまり大事じゃないんだけど用事があるから」


一閃は思い出したかのように、心持ちご飯を食べる速度をあげる。


「っで?楚良はどうだった?強かった?」


紗代は興味津々に乗り出してきた。


一閃は少し考えてから、


「昔の俺と戦っていたら一回の攻撃で死んでた・・・・・くらいの強さかな・・・・・」


「そう、かなり強いってことね、まぁ私達の子供だからね」


紗代は嬉しそうに楚良の頭を撫でるが、楚良は納得していないようだ。


「それくらい保って見せるさ!こんなヤツなんかに負けるものか!」


「あら?強気ね楚良、でもね多分それすらも保つか分からないよ、一閃の本気は強すぎる」


紗代があやすように言っているが、楚良はいっこうに納得しようとしない。


「10・・・・・なんの数字か分かるか?」


一閃はおもむろに言い出した。


楚良は首をひねり、紗代と大我は思い出したように頷く。


「古いものを持ち出してくるな・・・・・今でも適用されるかどうか分からないわよ」


「まぁいいじゃねぇか、こういう身近な題材のほうが理解しやすいだろうしさ」


一閃は考えている最中の楚良の方に向く。


「これは、俺の覚醒と紗代の本気が戦った場合においてどちらが勝つかと考えた、『正義』の完全予知で行った結果で・・・・・」


「な・・・・・何の数字なんだよ?」


一閃は口の端を歪めて、


「10・・・・・9発の攻撃でブラックラインである紗代が負けて、10発目でトドメがさされるという、最高の持ち時間だ」


「母上が!?10発だと!!」


楚良は驚いて目の前の男を凝視する、それから何かを求めて視線を紗代に移す。


紗代は何も言わずにただその視線を確認して頷く、そして横で大我も頷いた。


楚良が唾を飲み込むと同時に、


「まぁ、今の俺にはそんな力はないんだがな・・・過去の話さ、俺が荒れてた時のな・・・・・」


一閃はまた静かに食事を再開する、その顔はいつもより少し悲しそうな顔だった。


楚良も紗代も静かに続きを食べ始める。


そんな中空気の読めないやつが一人いた。


「ところで、麗香のやつは元気なのか?いつも一緒にきてたろ?」


大我は場の空気を省みず言う・・・・・言ってしまった。







「そういえば麗香の姿が見えないわね、どうかしたのかしら?夫婦喧嘩?」


三人で囲む一角で紗代は不思議そうに一閃に聞く。


「そんなんじゃねぇよ!だから置いてきたんだ、あいつの指揮があれば大抵の軍は打ち返せるからな、俺にはあそこしかないんだ」


「そうね」


紗代は簡単にはなしをうち切って、今度はいやらしく問いただそうとする。


「っで?今夜はどなたがお相手なのかしら?そのつもりなんでしょ?」


一閃は紗代から離れるように、椅子をずらす、どうもこういう彼女は苦手な様だ。


後を追うようにして、紗代はズイズイと一閃に迫ってくる。


「どうなの?どうなの?」


明らかに楽しんでいる、


「う・・・・・いや・・・・・なんというか・・・・・煩い!」


っと、横から傍観していたもう一人が割り込んできた。


「えっと・・・・・母上とお前の関係はどういったものなんだ?」


楚良は少し遠慮気味に、でも威勢は失わずに一閃に言い放つ。


二人は同時に楚良のほうに振り向いて真顔で答える。


「「え?恋人」」


「恋!?え?え?でも?母上には・・・・・!」


「そうよ、私は結局大我を選んだのよ、あの時は悩んでいたけどね、今では彼で正解だとおもってるわ」


紗代は心からの笑顔を息子に向ける。


それを見た一閃は少し苦い顔をして、


「それはそれは悲しいな、これでも上位の扱いしていたつもりだったんだけどな」


「フフフ、そんな何十人の一人じゃ満足出来ないわ」


見つめ合う二人、そしてこれまた遠慮気味に楚良がいう。


「後・・・・・そろそろ降ろさないと父上が・・・・・」


「「あ・・・・・!忘れてた」」


二人は宙吊りにした大我を、躊躇い無くドスンと降ろした。


「いててて・・・・・!もう少し易しく降ろしてくれよ!!」


「ゴメンネ大我、お願いがあるんだけど、ちょっと楚良と一緒に少しの間散歩してきてくれないかしら?」


紗代は頼むような視線を大我に送る。


大我は何かを理解したかのように頷き、楚良を連れて小屋を出ていった。


「・・・・・妙なことには鋭いんだな、彼奴は」


「フフ・・・・・それが彼のいいところでもあるのよ、でも今はあなたの事だけを・・・・・」


紗代は机を飛び越えて、一閃に飛びつく。


一閃も拒絶せずにそれを受け止める。


「紗代―――――――」


「―――――――一閃」


二人は互いに唇を近づけ、そして深く甘く淡いキスをする。


それには、長い年月の間を埋めるような愛が多く詰まっていた。







「じゃ、世話になったな」


「いやいや、たいしたこと無いわよ、いつでも来て良いからね、一閃達なら歓迎するわ」


「おう、何時でも来い、こんなトコに引きこもっているが・・・・・やはり外の世界については知っておきたいからな」


一閃は最後に楚良のほうに向き、その頭を無造作に掻き回す。


「なにするんだ!!」


「元気でな餓鬼!・・・・・いつか本当に俺を倒せる日が来れば良いな、その為に、鍛錬は怠るなよ」


一閃が離すと同時に森の入り口が完全に閉じられた。


もう夜だろうか、辺りは暗く静まりかえっている。

いろんなことに手をつけてなかなか進まないw


出来るだけ頑張るのでよろしくお願いします;


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