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    :頼み事

明日、明後日は試合なので疲れて投稿出来ないかも;


その時はすいませんが気長に待っていてねw


その夜、一本の商店街地下に行くための扉が開いた。


一閃は迷うことなく躊躇いながら入っていく。


商店街地下、『改水』の組織の中枢が置かれている場所でもあり、地下は広く暖かく明るかった。


一番奥の部屋に行く途中、何人かに挨拶され、軽く返したが、一番奥に行くのは気が引けている状態でまともに返せていたのか分からない。


そう、商店街地下最深部ボスの部屋には一閃にとって苦い思い出があるのだ。


「あの場所で京が初めて本性さらけ出したんだよなぁ~・・・・・行きたくない・・・・・でもいかないと面倒なことになるなぁ~・・・・・」


初めは可愛いと思っていたがそれ以来結構苦手になっていたりする。


部屋の前までくると見計らったかのように中から声をかけられる。


「入ってください、一閃様・・・・・開いていますよ」


艶めかしい声が内から聞こえる、この声の京は久しぶりだ。


予想が正しければあの時の悲劇があるだろう、退いても良いが・・・・・。


一閃は部屋に入る。


「デートは楽しかったかしら?」


京は部屋にある椅子に腰掛けていて、正面にある椅子を一閃に勧めた。


「あぁ、しかしあの類の映画はいまいち理解しがたいな・・・・・っで、用件は何だ?」


一閃はその椅子に座り、すばやく話を進める。こんなとこいち早く出ていきたいのだ、しょうがない。


京はヤレヤレといったふうに肩を落とす。


「気が早いね、昼にも言いましたが、本件は『改水』の人員補充です」


「分かった、早急に人員を補充するように翔汰に言っておく・・・・・終わりか?ならもう立ち去りたいんだが・・・・・むしろそう言うのは翔汰に言って欲しいんだが・・・・・」


一閃は立ち上がり、出口に向かおうとする。


「いえいえ・・・・・おわかりでしょう?まだありますよ」


パチンと指を鳴らす音が聞こえると、ドアの向こう側で錠の落ちる音が聞こえる。


一閃はもの凄く嫌な顔をしながら振り向く、ソコでは京がすでに衣類を脱ぎ始めていた。


「脱がなくてもいんだろ・・・・・何故脱ぐ?」


「こうしたほうが気分が出るからですよ!一閃様もお脱ぎになったら?」


京の声がより甘いものになっている、それはどこか男を誘惑しているかのような声。そして大抵の男はこの声で理性が吹き飛ぶだろう。


だが一閃はそんなモノには動じない、もしろ反発が強くなる。


「俺はいい、さっさと用を済ましてくれ、俺はここに長くいたくはない・・・・・」


「愛想が無いのね・・・・・まぁいいわ、でも上着は脱いでくれるかしら?それは邪魔なの」


一閃は言われたとおりに上着を脱ぐ、中から筋肉質の体が覗く。


京はゆっくりと一閃に近づいた。


「じゃあ・・・・・いただきます・・・・・」


京は一閃の首に甘く吸い付き、そして甘く噛んだ、しかし少し尖った形をしている歯は首に軽く刺さり血を出させる。


「っぐ・・・・・!」


一閃は歯を噛み締める、痛いはずなのだが京がする時はコレが何よりも快感に変わってしまう。


京は尚も噛んだ場所から出てくる血を吸い取っていた。この時は快感が一番強くなり、一閃にとっても最も辛い我慢の時になる。


「まだ・・・・・・か・・・・・!」


「もうちょっと・・・・・」


一閃の無意識に握っている手から血が滲み出ている。


京は顔を離していく。


「ハァハァ・・・・・ごちそうさま、ありがとうね一閃」


「どうってことない、じゃあ俺はもう行くぞ?」


精一杯強気で一閃は言って、その部屋を出ていった、もう鍵はかかっていなかった。


部屋に一人残った京は、服を着ながら、


「ふぅ、久しぶりだった、一閃様の血は・・・・・おいしかったなぁ~」


着るのもメンドくさくなったのか、着かけの服のままベッドに横になった。


そして可愛い寝息とともに夢を見る。


「・・・・・・・イッシェン・・・・・・・・・シャマ・・・・・・・・・・・・・」







外に出た一閃は壁に手をついた。


「くそ!やりすぎた、ダメだもう足が動かねぇ・・・・・」


一閃はとりあえず目の前にあるベンチまで自分を引きずって向かい、座った。そこで一息つく、


「血の契約か・・・・・あいつがいないとこの場所を守れない・・・・・だが、俺がこんな調子の時に攻め込まれたら・・・・・」


一閃は溜息をつく、自身はある、あいつ(・・・)以外ならば誰が来ようとも追い返せる自信はある。


突然、頬に冷たい感触がした。


「エラクまいってますね、僕がとどめを刺してあげようか?」


可愛らしい声が真横、隣から聞こえた。


懐かしい声、昔つるんでいたやつだ、最近は会っていなかった。


そして今もっとも会いたくない組織の構成員でもある。


「お前か、鋭美」


「そうだよ、一閃」


一閃の頬に当てていたものを離していく、それはカンジュースだった。


鋭美はそれの上を開けて一閃に渡す。


「ほら飲みなよ、疲れてるんだろ?」


「いや、実は体の自由が利かないんだ・・・・・飲ませてくれないか?」


「口移しで?」


鋭美がそういい、反対が出る前に一閃の口はふさいだ。


一閃は拒もうとしたが、京の所行の後で全身に力が入らない。


拒もうとしても入ってくる甘く冷たいハズのジョースは少し温くなっていた。


口が離れていく。


「おいしかった?」


「あぁ・・・・・だが、気分は最悪だよ」


一閃は語気を荒げて言う。


鋭美はそれを嬉しそうに見て、


「どうだい、調子は?」


「どうでもねぇよ、ただ退屈な日々だ、アレを抜けてからな」


一閃は昔懐かしむ感じでいう。


「へぇ、そのアレに終止符を打った男が言う言葉か、惨めだよね」


鋭美は何の興味も無く言って続ける、


「そんなことはいい、どうだい一閃、もう一度始めないか?今度こそやり遂げよう」


鋭美は立ち上がって一閃の前に立ち片手を差し出す。


時間がゆっくりと流れていく、しばらくして、いや少しだったかもしれない、


「断る、俺はこの土地に引きこもり続ける、誰が何と言おうとな」


「そう、もしかしたら今度会うときは敵かもね、でも忘れないで、僕は例え敵でも君の事が・・・・・大好きだ」


最後の言葉が聞き終わる瞬間か前にはもう鋭美は消えていた。


「くそ、思い出しちまったじゃねぇか!」


一閃は叫んだ後、そのままベンチで眠りに落ちた。


最後に翻した鋭美の背中にはやはりあの大きな文字が堂々と刻まれていた――――――――――――『八皇』、と。

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