プロローグ
《新アルカナ歴1724年》
とある魔法学園のコロシアムに、二人の生徒の姿があった。
優等生と落ちこぼれによる決闘である。
しかし、実際にはそれは決闘と呼べるようなものではなかった。圧倒的な力によるワンサイドゲームだ。
戦いの流れは完全に支配されており、一瞬たりとて入り込む余裕さえない。
その結果として――。
一人は、ボロボロな状態で地に伏しており。
そして、もう一人はその状態を悠然と見下ろしていた。
観客たちは唖然とし、コロシアムは静まり返っている。
内容はむしろ低いレベルだ。なにせ最初から勝負の流れは決まっていた。魔法さえ発動できずに倒されてしまうような試合だ。
――それでも観客は目を離すことができなかった。
優等生が落ちこぼれを圧倒した、という結果であったならば、実力的に不思議なことはない。ごくごく当然の流れだ。
観客たちの一部もあくびでもしながら、適当に駄弁っていたに違いない。
「……どうして!」
地に這いつくばった敗者がわめく。
「どうして、お前が!
“魔法適性0%“の落ちこぼれが――! そんな大魔法を使える!?」
そう、敗れたのは優等生だった。
倒れてボロボロになっているのが、優等生。
そして、傷一つなく堂々と立っている落ちこぼれの方こそが――。
俺だった。
「魔法じゃない――これが錬金術だ」
錬金術。それは太古の秘術。
魔法の源流とも言われるその技術は――存在していないと、されている。
というのも、それはあまりに強大過ぎるのだ。荒唐無稽と目されるほどに。
それならば――なぜ、俺がその錬金術を扱えるのか?
始まりは、錬金術が失われるより前。はるか昔――。
――1万年前のことだった。
いよいよ連載スタートです!
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