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7章 発展


七章 発展


母が居なくなった部屋、悔しさと後悔が渦巻く暗く濁った空気、

彼女の事を彼が守って、彼の心を彼女が守る空間。

すでに彼が必要なパーツの1つである彼女は失わない様に大切にしたいと心から思っていた。

そんな空間に扉が開く音がした。

母ではない、白衣に身を包んだ人物が入ってくる、彼ではない。


「角崎…。」


彼は入ってきた男性を知っている様だった。


「あ、君も知っているはずだよ。僕が死んだ後に角崎が君の主治医になったんだ…。

角崎は僕の四年歳下の後輩で僕が取り憑いた時にはもう既に君の主治医だった。」


彼は少し自慢気にけど少し寂しそうに言い放つ。


〈覚えてない…、この人が私を助けようと頑張ってるの?あ、貴方はいつから私の側にいたの?。〉


栞菜は彼に2つの質問を投げ掛けた。


「角崎は、最善の方法で尽くしている様に見えるね、君を助けたいと思っているはずだよ!」


彼は知っている、最善の対策を立てるという事は打つ手がないという事なのだと。

だが、彼女の希望を壊したくない、彼は知ってなお真実を伝えないで居ようと決めた。


〈それで私の側にはいつから居たの?〉


彼女はあやふやになりそうであった疑問をぶつける。


「四年前だよ、君の側で君を見ていた、何かできないか考えていたんだ。」


彼女は四年も彼が居た事よりも四年も彼が自分を助けようと奮闘して居た事に驚いた。

そして彼女はある質問に行き着く。


〈なんで昨日私は見える様になったの?四年前だよね?なんでかな?〉


彼も確定はできないが心当たりがある。

その心当たりは噂だった。


「君は昨日、病室の中で聞かなかったかい?看護婦が噂しているのを。」


彼女は思い出す、看護婦が言っていた、この病室には幽霊が出るのだと。


「原因は噂による存在の確認だと思うよ。噂というのは何も無いところからは立たない。きっと君が何かあるのだと考えたから、僕が見える様になったと考えてるよ。」


彼女は理解するのに時間がかかった。

その間に脳波測定が終了する。

彼は脳波測定の結果を横目で確認して、やはりと息を飲む。

彼女の脳波は昨日覗いた時よりも若干強まっていた。


〈やはり彼女の脳は微かにだが回復している、それも幽霊である僕に接触する事により徐々にだ。〉


だが、驚いたのは彼だけではない彼の後輩の角崎も驚いている様だった。

急いで計り直すが結果は変わらない。

角崎は電話をかけ始めた。


「脳外科の角崎ですが至急、柏木 栞菜さんの検査をしたいので、準備をお願いします。」


そして移動式のベッドが病室に到着する。

その後様々な詳しい検査をした、結果左脳と右脳に若干の回復が見受けられた。

検査を終え病室に戻ると、帰ったはずの彼女の母親が泣きながら待っていた。

辛さからの涙ではなく、嬉し涙を浮かべて彼女の寝ている移動式のベッドに駆け寄る。

自分の娘の脳が回復傾向にあるのだ。

6年間意識があるのかすら分かっていなかった彼女が、昔のように戻れる希望が芽生えたという事は、それだけの価値がある。


「まだ確定は出来ませんがお子さんの脳は回復傾向にあります。

以前の様にとはいかないかもしれませんが、意思疎通ができる時が来るかもしれません。

私供も精一杯頑張りますので今は回復を待ちましょう。」


角崎は彼女の母親にそう告げる。

母は腫れ物が取れたかのように喜ぶ。

それを見ていた彼女は昔に戻りつつあった母に安堵の気持ちを覚えた。

それを横目に幽霊の彼は何かを考えている様だった。



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