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5章 再会

投稿スピードが不定期で申し訳ないです…

この作品がほぼ初の作品になるので容量が掴めないのもあるのですが、単にめんどくさくてw

書き溜めてある分まではスムーズに投稿するのでよろしくお願いします!


五章 再会


考え事をしている彼と空腹を紛らわせようと意識しないようにする彼女の2人だけの空間に扉の開く音がした。


彼女は扉の音の方を見る、そして病室に居る事が異形な彼は硬直している。

扉が徐々に開いていく。

彼女は息を飲む気持ちになる。

扉から知らないはずだが見覚えのある顔が姿を現した。

彼女は即座に理解した。


〈お母…さん?〉


彼女が知る人物とは少し違う。

彼女が知る母親は、いつも明るく、時に男勝りに厳しく、真面目で少し抜けた周りに愛される人だったと断片的ではあるが記憶にあった。

だが、今そこに居る人物は、面影があるものの全身が中途半端に暗く、柄がない服で統一され、顔は窶れ、白髪が遠目からわかる位の数伸びていた。

彼女は驚きを隠せない。

自分のイメージしていた第一印象と今そばにいる彼女の母親の第一印象の違いが一目瞭然だった。

だが自分の母親であることには変わりない。

彼女ははっきりとした意識が有る事を母に伝えようと、目を動かしている。

しかし顔を見ているはずの母親は気付いていない。

その時、親とベットを挟んで左の席に避難していた彼が謝罪の念を込めて述べる。


「ごめん、説明不足だった。君は僕の共有した映像を見ているんだ、君の視覚情報として修正された映像を見ているだけに過ぎないんだ、実際には君の目は動いていない…ごめん…。」


彼女は伝わらない事を察し彼は話しながら深い後悔と重大な事実に気づく。


〈彼女は自分の脳で、僕の視覚情報を自分の視覚情報に、修正して見ているのではないか?だとすると、彼女の脳は少しずつでは有るが、回復して来ているのではないか?〉


彼の脳裏に考えが過った、だが調べる道具がない。

次の診察を待つしかない、彼は歯痒さを押し込めうしかない。

そんな彼が存在する事も知らず、彼女の母が語り始めた。


「栞菜…二美ちゃんがね、昨日うちに来たんだよ、たまにうちに来て、私を慰めようとしてくれるの。けどね、私、二美ちゃんが話しているのを聞くと、やけに不快になってしまって、私おかしいよね…

二美ちゃんは悪くないのに、むしろ励ましてくれるのにね。」


そして彼女の母は思い出したように怒りで徐々に興奮していく。そして再び語り出す。


「二美ちゃんが栞菜の代わりに交通事故にあっていたら…栞菜があの制服を着ていたらって思うの…二美ちゃん、高校2年生だって、友達もいるよね。きっと栞菜のこともうあまり気にしてないんだわ…。

親友だったなら栞菜のこともっと気にしてくれてもいいじゃない、なのに、なんでよ!彼女病院にも来ないじゃない…ふざけないでよ。

所詮、親友なんてお飾りなんじゃない。」


そう言うと、憑き物が取れたように母は落ち着きを取り戻し、彼女に親友の嫌味を聞かせたことに反省する、そして泣き出してしまった。


「ごめんね栞菜、あなたはこんな話聞きたくないよね。ごめんね、ごめんね栞菜…治せなくてごめんね…。」


そう言い、母は泣きながら彼女に謝った。

それを見ていた、彼女も何も発する事が出来ない、できる事ならすぐにでも母に声を掛けたい、母を安心させたい、だが彼女にはただ呆然と聞いている事しか出来なかった。

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