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                 前 兆

  一乗山大伝法院根来寺。和歌山県岩出市に居を構えるこの寺は新義真言宗の総本山として広く知られる。開祖は覚鑁かくばん。真言宗宗祖・空海以来の天才と謳われ、空海と共に天皇家より『興教大師こうきょうだいし』のおくりなを戴く高僧である。一一三五年、高野山金剛峯寺の座主に就任し、当時腐敗の一途を辿る高野山信仰を立て直そうと改革を実施。しかし反対勢力の企てにより焼討ち、暗殺未遂という過程を経て、彼の地を追われた。

 下野した覚鑁はその後、高野山にあった大伝法院の寺籍を円明寺に移転。没後様々な来歴を経て、その弟子の頼瑜らいゆによって其の遺志は根来の地に辿り着く。

 室町時代末期には七十二万石の一大宗教都市の様相を呈し、僧兵一万人に加えて伝来初期の火縄銃を近隣の雑賀荘と大量に所持しており、一向宗・本願寺顕如と共に日本の二大宗教国家として畏れられた。

 が故に一向宗同様、否応無く織田信長・豊臣秀吉との戦いに巻き込まれる事となる。

 一五八五年、豊臣秀吉によって根来・雑賀衆は壊滅。多くの僧侶たちがこの地で処刑され、かつて繁栄を誇った根来寺は大塔・大師堂を残して全て焼き尽くされた。

(その時にわずかに生き延びた僧侶たちが現在「豊山派」「智山派」の二派に分かれて存続しているということです *** 作者 註)

 江戸時代、紀州徳川家の恩赦を受け寺社伽藍を再建。国家鎮護・処刑された数多の命の鎮魂等の諸説が流れる中での復興は江戸時代後期に迄及ぶ一大計画となり、焼失以前の規模には及ばない物の『根来寺』は新義真言宗の総本山としての活動を再開して現在に至っている。

 

 大師堂。二十畳ほどの広間に白い法衣を纏った老僧は立っていた。眼前の三体の御本尊を見上げる。右から金剛薩タ(こんごうさった)・大日如来・尊勝仏頂坐像。金剛界・胎蔵界を代表する神々。凡そ三間(約5.4メートル)を有に超えるであろうそれらの六つの瞳が老僧に降り注がれていた。

 人の手によって創られし無機質の彫像。だが其処に刻まれた両の瞳は静かに何かを語り掛ける。其れは願いを掲げる人それぞれに違う言葉を心に届けると言う。

 では神は、今自分に何と語り掛けようとするのか。これから起る事への非難なのか激励なのか? 

 人が強く願えば神託は自らに返るという“加持身”を教義の中心に据える新義真言宗だからこそ、神は全てを知っている筈だと思う。ならば、そして今こそ神託を求めたい。

 我々は本当に正しいのか否かという事を。

「座主様」

 背後から声がした。老僧は振り返る事無く視線を仏像の膝元まで下ろした。声の主は解っている。彼らと一言の会話も為す事の無かった、そしていつも老僧の傍に付随っていた僧。月明りに黒衣の袈裟を浮かび上がらせて男は跪いていた。

覚瑜かくゆか。 …… 終わったか。」

「はい。傀儡くぐつの儀、満了に御座います。」重苦しい声音で告げる覚瑜。だが老僧は其の言葉の意味に安堵したのか、溜め込んだ幾夜もの不安を吐き出す様に小さなため息を吐いた。

「そうか、何とか間に合ったようだな。儂もこれで肩の荷が下りたわ。…… して、彼奴等は今何処に? 」

「建物ごと八門遁甲はちもんとんこう陣にて封印しております。」

「八門遁甲陣とな? またそれは、」そう言うと振り返って覚瑜を驚きの瞳で見詰めた。「大仰な仕掛けを拵えた物よ。 ―― そう思わせる何かがあったか? 」

 覚瑜は小さく頷くと老僧に「傀儡の儀」に於ける全ての経緯を語った。特に『43』番の起こした事象に関しては念入りに。全てを聞き終えた老僧の表情はさして変化が無い様に見える。唯一つ、眉間の皴を除いては。沈黙の後に呟く様に老僧の口が開いた。

「鬼と化したか。成る程な。」

「自在天の真言しか知らぬ者にあのような所業が可能だとは思い到りませんでした。修行不足です。」

「儂とて知らぬよ。過去の文献には僅かに記されておるがな。人間の怒りというものが時として其の身に夜叉やら大黒やらの『憤怒神』を呼ぶことが有ったそうじゃ。無論只では済まぬがの。」

 そこで老僧は初めて覚瑜の方を振り向いた。

「して『43』番は残ったのか? 」

 問いに覚瑜は黙ったままで頷いた。悔恨の表情を浮かべる老僧。

「誠に残念じゃ。世が世なら鍛えてみたい逸材じゃった。きっと主を超える法力僧になったじゃろうになぁ。」

「つまり奴の持つ法力があのような変化をもたらしたと?」

「いや、違う。」真実を求めようと問い掛ける覚瑜に、諭す様に言葉を返す老僧。

「『人の業』じゃよ、覚瑜。 …… 幸福を念じる事は難く、不幸を念じる事は容易い。容易いが故に、それは時として現実を越える力として顕現する。所謂“加持身”の持つ負の領域じゃ。まあ余り褒められた物ではないがな。」

 老僧の言葉に覚瑜は深く頭を垂れた。

「この不肖の身に余る説法。かたじけなく存じます。」

「いや。今のは ―― 」ふっと瞼を閉じ、覚瑜に気づかれないように頭を振った。

「儂の事も含めてじゃ。全く人というものは不可解じゃ。幾年月を経ても己の事すら解っておらん。」

 じっと両手を見る。手相以上に深い皴の刻まれた手が微かに震えている。それが寄る年波による物なのか、八体の『化物』を生み出す為に大勢の者を誅してしまった後悔なのかは老僧にも判断出来かねる所であった。

 解っている事は「お役目」の日が近いと言う事。そして其の為の準備が出来上がってしまったと言う事。

 冷め冷めと輝く月は西の空へと沈もうとしている。その仄かな輝きが開け放たれた大師堂の内部を照らし出した。奥に巨大な三体の御本尊。そして中央には如何なる護摩法にも当てはまらない巨大な七角形の護摩壇。『当てはまらない』と言うのは其の目的が『調伏・息災・敬愛』等、凡そ知られている護摩供養本来の目的の為に作られた物では無いという事を意味していた。

「覚瑜。」あの日に見せた冷徹な貌と声が老僧の全身に蘇った。

「急ぎ御山に知らせよ。『創生の法要』仕儀相整った次第候と。」

「御意にて、座主様。」其の声に弾かれた様に覚瑜は立ち上がった。踵を返してその場を去ろうとする足を老僧の言葉が止めた。

「今一つ命じる。この時より我を『座主』と呼ぶのを止めよ。急ぎ皆にもそう伝えるのだ。よいな。」

 思わず覚瑜は振り返る。無表情であったその顔は悲痛な心根を映し出している。何かを迷った挙句にやっとの思いで声を絞り出した。

「 ―― 座主様。」

「ならん。」覚瑜の反唱を即座に否定する老僧。だがお構い無しに覚瑜は言葉を続けた。

「私、いやこの宗派総ての者にとって、貴方様は何一つ変る事無き『座主』に御座います。喩え貴方様が百人余の御霊をその手に掛けようと、我等の信頼が揺らぐ事は御座いません。座主様が罪を背負おうというのならその咎、我らも等しく背負う所存。ですから決して其の様な ―― 」

「覚瑜。主の物言い誠に有難い。しかしな。」覚瑜の言葉を老僧は遮った。

「我等は宗派は違えど、皆衆生を救う為にこの身を神に差し出した者。それを違えた以上『座主』等と名乗る事等許されまい。この『お役目』に付いた代々の者と等しく、私も『破戒』の僧侶となるのだ。故に ―― 」

「では星宿ほしみの見立てた者はどうなります? 」今度は老僧の言葉を遮る覚瑜。

 核心に迫る其の問い掛けに老僧は声を詰まらせた。表情は変わらず冷静でありながら、瞳に動揺の色が浮かぶ。

「其の者は神でありながら多くの者を虐殺するのでしょう? その行為を『浄化』等と奇麗事で片付けられても私は納得出来ません。それでは我等の信仰はどうなるのです? 奴は『神』を名乗りながら人を滅する大罪人です。」

「口が過ぎるぞ、覚瑜。神を疑ってはならん。」それ以上の反論を許可しない、強い口調だった。

 雷に撃たれた様に覚瑜の動きが止まる。何年もの間心にわだかまっていた澱を吐き出した呼吸だけが、大師堂の静寂の中に荒く響く。

 暫しの沈黙が二者の間を支配した。立場を離れて静かに対峙する二人の僧。やがて月が落ち、星の煌きが闇を支配した頃、老僧は開け放たれた大師堂の扉を切り取る狭い空を見上げて呟いた。

「 …… 神を疑ってはならんのだ。信じる限りはな。」


「あらあ、覚瑜はん。どないしました、こんな所まで降りてきはって。」

 呼び止められたのが自分とは気づかずに、覚瑜は二・三歩歩みを進めてからはた、と立ち止まった。

 悩み事があると人込みの中に紛れると言うのは、覚瑜の癖だった。

 こうして他人と他愛も無い会話をしていると気が紛れて、自分の悩みを忘れてしまう。勿論会話の相手にその事を悟られぬ様に念入りに心の防壁を張った状態で、での事ではあったのだが。

 だが今度の悩みは、覚瑜が今迄抱えた悩みの中では最大の物だった。故に考え事をしている内にどうやら商店街にまで来てしまったらしい。

 急いで思考の次元を切り替え、声の主を確認する。振り返ると初老の男が人懐っこい笑顔で立っている。寺に頻繁に出入りしている八百屋の主だった。

「あ …… これは斎藤さん。」軽く会釈を返して、その隙に心の動揺を奥底に仕舞い込む。

 笑顔だ、覚瑜。人を騙すのは笑顔が一番だ。そう言い聞かせて顔を上げた時には既にいつもの心優しき僧侶の顔になっていた。

「いつも御気遣い頂き、有難う御座います。」

「何をそんな他人行儀な事を。此方の方こそようしてもらっておりますのに。それよりどないしたんですか、こんな街中にまで出て来はって? 御使いやったら寺の小姓にでも任せはったら宜しいでしょうに。」

「あ、いや ―― 」困った。余りの不意打ちに言い訳を用意してない。

 自分の不用意さに内心歯噛みしながら、必死に思考を巡らせる。「実は座主様直々に御訓示を戴きまして私が ―― 」

「ははあ、解りましたで。」したり顔で覚瑜の顔を覗き込む男。ある意味困惑の色を浮かべる表情を眺めた後に、我が意を得たと言わんばかりに言葉を繋いだ。

「あれでっしゃろ? 何か今日寺の方で物っ凄い会議かなんかあるんですよね? 朝配達に行ったら黒塗りの車が仰山止まっとりましたがな。何やいつもより御坊さんの数も多いし。覚瑜はん、それの関係で来たんちゃいまっか? 」

 天の配剤と言えるのだろうか。だが此処で否定する訳にも行かない覚瑜は老人の勘違いに便乗する事に決めた。

「え、ええ。そうなんですよ。急に決まったものですから中々準備が間に合わなくて。実は今も座主様に御叱りを受けた所なんですよ。」

「はあ、覚瑜はんほどの御人でも叱られるんでっか? 覚瑜はんが叱られるんなら、わし等なんかやったらえらい事きっつい修行させられそうでんなぁ。」

 渇々《かか》と笑う老人の笑顔を見て安堵する。其の油断が災いした。老人との会話と自分自身の表情の上書きに躍起になる余り、自分の周囲を取り巻く状況を察知する事が出来なかったのだ。

「あら、覚瑜様じゃないですか。」今度は背後から女性の声がする。

 其の女性の声を切っ掛けに、気が付くと何時の間にか商店街のあちらこちらから人が顔を出す。覚瑜の来訪に色めき立った人々が砂糖に群がる蟻の様に、覚瑜の周囲を取り囲んでいた。

「今日はいいお天気で。檀家を回っていらっしゃるんですか? 」

 取り繕う心の準備も出来ない覚瑜を前にして、取り囲んだ人々が口々に話し掛けて来た。

「檀家回りなら是非家に寄ってくださいよ。名古屋の親戚から送ってきたええ外郎ういろうが有るんですわ。覚瑜様に是非 ―― 」

「いやいやっ、そんなんより家に寄ってって下さい。嫁が赤福仰山買うて来たんです。寺の皆さんの分もありますんで、」

「阿呆かお前は。何神社の食い物寺に持って行けんねん。宗教(ちゃ)うやろ? 大体そんなに仰山覚瑜様御一人でどうやって持って帰んねんな。ちーと考えて物言えよ。」

 覚瑜の肩書きは根来寺寺務長。忙しい身の上である座主に成り代わって寺の全ての運営を行う責任を負う。檀家を回り、増やし、布施を頂き。一度何か起これば其の者の為に粉骨砕身気遣い、世話をし、迷いに戸惑う人々の心を救い上げるのが覚瑜に科せられた仕事と言ってもいい。

 彼の絶え間無い努力によって、根来寺の持つ檀家や支援者の数は御山 ―― 高野山金剛峯寺 ―― にも匹敵していた。その成果は全て新義真言宗の『加持身』の教えによる物だと覚瑜は信じて疑わない。

 厳しい修行の果てに天上界におわす『仏』と繋がり、その力を持って人々を幸福にするのが『宗教の持つ意味』では無いのか? こんな拙僧を慕ってこんなにも大勢の人が集まってくれる。其処を歩いているだけで、何の用も無いのにだ。一人の僧侶が培った努力の結果がこういう事ならば、もっと大勢の僧侶が力を合わせればどんな難題も、苦難も。きっと打開する方向性を見出す事が出来るのではないか? 

 いや多分、きっとそうに違いない。

 人の力はそれほど小さくは無い筈だ。

 思念の底から浮かび上がった其の確信は、逆に覚瑜の心を失望の淵へと沈めた。其れが分かっていながらも彼には従わなければならない戒律が、掟がある。自分一人が其の決定に反しようとも覆す事は叶わない。

 何故なら、其れは既に大勢の御霊を償却した上で成り立とうとしている真言宗最大の『裏法要』。個人の意見でその成り行きが左右される物ではない。何より其の決定に逆らう事は失った大勢の御霊を冒涜するに値する。

 許されない事は重々理解はしているつもりだ。 …… だが、それでも ――

「あの、覚瑜はん? 」

 名を呼ばれた覚瑜の意識が一気に失望の深淵より浮かび上がる。我に返った覚瑜の眼に、心配そうに顔を見つめる八百屋の主人の顔が映った。

「大丈夫でっか? えらい難しい顔してはったけど。 …… どっか具合いでも悪いん違います? 」

「いや、大丈夫。 …… 大丈夫です。」

 幾重にも塗り固めた筈の感情の壁は、漆喰が剥がれ落ちる様に其の基礎を露にしていた。眉間に皺を寄せて佇む覚瑜の周囲を取り囲む商店街の人々が、只一人の例外も無くじっと覚瑜の顔色を覗っている。

「覚瑜様、何か心配事があるんなら遠慮無く言うて下さい。わし等なんぼでも力になりますよって。」

 人込みの何処からか声が飛んだ。同意の波が紋となって覚瑜を中心に広がっていくのが分かった。

「買い物やったらわし等手分けしてやりますよ。手ぇ空いてる奴に後で寺へ運ぶように言うときますから、早う寺に御戻りになって休んどって下さい。覚瑜様に万が一の事が有ったらわし等、他の町の者に恨まれますさかいに。」

 その者にとってみれば、其の言葉は只の善意に基づく物に過ぎない。だが、時として其れは全ての物事を危うくする切っ掛けにもなりかねない事を、覚瑜は自覚した。

 今日と言う日を無事に彼らに過ごさせて、明日の日輪を彼らと其れに類する存在に分け与える為に、自分が為さねばならぬ事。それは。

 我を取り戻した覚瑜の声が穏やかに、人々が起こした波紋をなぞって伝わる。

「皆さん、お心遣い有難うございます。 ―― どうも最近寺の方に篭っておったものですから些か人気に当てられたようです。」

 覚瑜の暖かな声に広がり掛けていた不穏な空気が一気に終息した。

「ここは皆さんのご好意に甘えさせて頂きます。ご心配を掛けて本当に申し訳ない。明日にでも寺の者を遣しますので、其の時はよろしくお願いします。」

 手を合わせて深々と頭を下げる。それに合わせて居合わせた人々も合掌して頭を下げた。見た目に同じ行為では在ったが、持つ意味合いが全く正反対である事を理解しているのは覚瑜だけだ。

 頭を上げて其の面を人々に披露した時には、其の表情は元の覚瑜の物であった。人のいらかから頭一つ抜き出た大きな体躯を誇る覚瑜の顔。見失い様の無い顔が柔らかに崩れて、其の口が開いた。

「ご好意の程、誠にかたじけない。ですが今日の夜からお寺の方で大事な会議がありますから、お寺の周囲には近づかない様にお願いします。」

「会議、でっか? …… また法要ですか。覚瑜はんとこの寺はこんなにようけご利益やら功徳やらを皆に施しといて、其の上まだご修行をなさる。いや、大したもんやわぁ。」

 八百屋の老人の言葉を受けて、隣の男が言葉を合わせる。

「そうそう。一遍他の寺の連中も覚瑜はんの寺で修行して、覚瑜はんの爪の垢でも煎じて飲ませてもろうたら宜しいのに。やれ永代使用料じゃ、やれ檀家のお布施じゃと何かと金を巻き上げたろうと躍起になっとる奴らにはええ薬や。」

「人は人、自分は自分ですよ。それに人には求める物を選ぶ権利が必ずあります。もし自分がその宗派の教えによって救われないと感じるのならば、其れを改めるのも人の持つ唯一の権利なのですよ。勿論私共の教えによって救われない人がいるかも知れない。そうして離れていく人がいるかも知れない。でも其れは私達に皆さんを救う力が足りないのであって、皆さんのせいではありません。そうならない為にも私達は日々、努力を怠ってはいけないのです。」

 訥々《とつとつ》と語る覚瑜の言葉に耳を傾ける人々。

 だがその事には誰も気付いてはいない。其の言葉は覚瑜から自分自身に向けて語られた言葉だと言う事を。

「では、私は此れでおいとまいたします。皆さんもお体には気を付けて。」

 そう言って覚瑜は踵を返した。別れを惜しむ人垣を掻き分けて、元来た道のりを寺へ戻る為に。

 そうだ。人には求める物を選ぶ権利がある。其れは自分とて例外では無い筈。

 覚瑜は決心した。座主様がこの『法要』を通して『破戒僧』の身を窶すのならば、吾身にも等しく其の名を戴く。しかしそれは座主様の決意とは正反対の目的の結果として。

 あのように暖かな心を持つ『人々』 ―― それは多分日本人だけでは済まないかも知れない ―― を、如何に「救世」の目的の為と言えども屠って良い筈が無い。それを為すならば其処に我が信仰の存在する余地は無い。もっと違う方法を捜し求めるのが『宗教』であり我等法力僧の役割ではないのか?

 それを端から否定しようというのか。

「ならばこそ、止める。必ず。」決意が思わず口をついて毀れた。

「例え、座主様の御意志に叛く事になったとしても。」

 それは恐らく命懸けになる筈だ。しかし価値はある。それを運命と言うのなら必ず変えて見せる。どんな手を使っても。

 決意を固めた覚瑜には一つの考えがあった。いつか大きな災いが起きた時の為に調べ上げていた奥の手。彼はそれを入手する時が来たと考え、その思いは寺への帰り道を急ぐ其の足取りを一層速めた。


 迫る日没。夕闇が全てを朱に染め上げる。沈み行く夕日は一日の役目を終え、遠く東の空から群青が湧き上がる。刻一刻と変化する空模様を二人の老人が眺めていた。

 一人は白衣を纏った根来寺の座主。もう一人は彼よりも若干体格が良く、何より大きな違いは赤い法衣を纏っている事。建替えられる事も無く、修繕の後があちこちに見られる寺務所の屋上に佇んだまま、一言も語らずに遠い視線を西の空に向けていた。

 風が吹き抜け、二人の法衣の袖を揺らす。それを切っ掛けにして赤い法衣の老人は口を開いた。

「今までご苦労だった。すまんな、貴殿にばかり嫌な役を押し付けて。」

 低音の心地よい揺らぎを持った声。白い法衣の老僧は静かに跪いて。

「座主猊下」

 恭しく頭を下げようとする白衣の老僧の行動を片手を挙げて制した。振り返る。柔かな笑みと憐憫を帯びた顔。そのまま跪き、老人の手を取った。

「赤塚、本当に済まなかった。許してくれ。」赤い法衣を纏った老僧は逆に深深と頭を下げた。

「い、いけません。御山の座主とも有ろう御方がそのように軽軽しく頭を下げるなど。」

 慌てて白衣の僧はその場に平伏した。頭を垂れたその老人よりも頭が下になるように。

『御山の座主』つまり高野山金剛峯寺の座主。宗祖空海を開祖として戴き、全国全ての真言宗門徒を何らかの形で束ねる真言密教総本山の主。故に尊敬と畏怖を持って人々からと『猊下』と呼ばれる事を唯一許された男。その老人が今白衣の老僧に許しを請う。

「なあ、赤塚。」赤い法衣の男が言った。「座主が二人いたんじゃ何かと喋り難い。昔みたいに名前でいいじゃないか、今なら誰も居らんぞ? 」

「そんな、座主猊下。畏れ多い事で御座います。万一そのような事が下の者に聞かれたら何かと示しが ――」

「赤塚、いいから。」うろたえる口調で話された其の言葉を遮って、『猊下』は赤塚に立つ様に促した。 大きな溜息が赤塚の口から漏れた。君命にも匹敵する其の言葉を受けて、やれやれと言った風情で立ち上る。

 この男は昔から変わらないな、と赤塚は思った。柔かな口調とは裏腹に性格は極めて頑固。例えここで断っても、あの手この手で私をどうにか立ち上らせるに違いない。

 だがその頑固さ故に金剛峯寺の座主にまで上り詰めた訳だが。

「変わらないな、松長。相変わらず頑固そうで何よりだ。」

 赤塚の突然の口調の変化に、声を掛けられた『座主猊下』と呼ばれた男の表情が崩れた。

互いに向き合い、微笑を交わす其の顔は齢が六十を超えた時を遡った様な印象を残している。

「歳を取ったのよ。」

 御互いに高野山で修行をし、理想を求めながら切磋琢磨していたあの頃。親友同士で有りながら、互いの持つ主義主張の違い故に道を違えてしまったあの頃。そこに後悔は無く、また道を違えたからこそ、今又手を携える事ができる。これを『御仏の御導き』と言うのなら、松長は信仰という物に感謝していた。

「赤塚、改めて言う。本当に済まない。」

「何を言ってる。御役目だ。しょうがない事だ。たまたま俺の時に番が回ってきただけだ。唯、」赤塚は両手を胸の前で組み、逢魔ヶ刻を迎えつつある空を見上げた。

「それだけの事だ。」

「しかし、この事でお前は法名を剥奪され、破戒の者として破門される。お前の五十年の修行は無駄となり、二度と仏門には帰依できなくなる。」

「ああ困った事だ。年金払っておけば良かったよ。こんなことになるならな。」おどけた口調で赤塚は答えた。

「馬鹿野郎。ふざけてる場合か。」

 松長は思わず苦笑した。昔も良くこうやって会話した。自分の問答にも必ず冗談で答える。そのセンスと頭の回転の速さには舌を巻いたものだ。しかし同時に羨ましくもあった。

 これだけの頭脳とあの法力があれば、ここで赤い法衣を着て佇んでいるのはきっとこの男であった筈なのに。

「しかし、自分はそれだけで済む。自分で自分の犯した罪を償う事が出来る。その機会が残っているだけでも有り難い事だ。そうは思わんか? 」

「それは ―― 」松長の顔が真顔になった。言葉の内に孕む意図を図りかねて、其の真意を改めて問う。

「自ら命を絶つ、と言う事か? 」

「そんな卑怯な真似ができるか。」自嘲気味に一言で吐き棄てる。それは恐らく自分に向けての物なのだろう。

「生きて地獄をさ迷う事こそ我が本懐。野垂れ死にでもしないと彼らに合わせる顔が無い。それよりもお前の方が …… 全てを隠して座主として生き続ける事の方が、つらいぞ。今日の事を考えるとな。」

 自らの行為は嘲り、人の行為は哀れむのか、赤塚。どちらも同じ意味を持つ罪を背負おうとしているのに。

 赤塚の言葉を受けた松長は、それでも赤塚の意思を尊重して其の思いを表情に出す事を拒んだ。其れが彼の意思というのなら、自分に其れを改めさせようと言う権利は無い。

「ああ、かもしれん。」松長は決意を持って赤塚の顔を見つめた。

「だが、俺にとっても、御役目。ただそれだけの事だ。」

 俺とお前は同じだ、と言う意思を其の言葉に込めて、松長はさり気無く言った。其の意図を汲み取った赤塚の口からは何も語られる事が無かった。対峙したままの数分。何も語らない二人。

 しかし二人には解っていた。例え立場が逆になっていたとしても、多分同じ事をし、同じ結果を求めるだろうと。だからこそこの赤塚と言う男は自らの手を、先に血に染める側に回ったのだ。それは友を思うが故の選択。そして友故に同じ茨の道を歩こうと松長は決めたのだ。

「やはり、星宿は変わらんのか? 」沈黙を破ったのは赤塚だった。

天魔波旬てんまはじゅんは本当に現れているのか? 」

 天魔波旬 ――  仏教界に於ける『悪魔』の名。かつて仏陀の弟子でありながら涅槃ねはん入滅の際に、仏陀ブッダの教義の全てを欲しがり、拒絶された挙句に末席に落とされたことを逆恨み、悪魔の魂を売り渡した男。東洋のユダ。

「ああ、変わらん。」

 言葉の発声と共に強い光が松長の目に宿る。それは確固たる『決意』の光だった。

 頑固であるということは『ぶれない』と言う事。簡単な様で生半な修行では決して身につける事の出来ない『神の贈り物(ギフト)』。松長は生れ乍らにしてそれを身に付けている、類稀な僧だと先代の座主から聞いたことがあった。そして赤塚はそれ以前から ――  互いに修行をしていた頃 ―― 其のことを知っていた。

 故に赤塚は御山を降りたのだ。彼こそが真言宗宗主の頂点に立つに相応しい人物だと考え、争う事と従う事を放棄する為に。

 松長が必死になって引き止めたその手を振り払って。

「今度こそ居場所を特定してやろうと思ったのだがな。失敗した。」

「失敗? 神奈川の長谷寺で行った法要か、報告はうけていないが。」

 浄土宗海光山慈照院 長谷寺。其の起源は同じ真言宗でありながら改宗を果たし、現在では単立寺院として存続を続ける名刹である。

「報告は俺が握り潰した。いや迷ったというのが本当の所だ。話していいものかどうかと。」

「しかし長谷寺で行った『星宿の法要』ならば『月読の陣』を使ったはずだろう。『月光遍く地を奔り、生死悉く其の手中に収める』と言われる探索の秘術からどうやって逃れるというんだ? 」

「陣ごと、爆散した。」

 性急に過ぎる、余りに手短な松長の答えに赤塚は驚愕した。

「爆 …… 散だと? 」

 声を詰まらせる赤塚。其の事実を他人事の様に呟いて松長は肯いた。

「ああ、陣を構築していた本堂は、謎の爆発で跡形も無く吹っ飛んだそうだ。それどころか長谷寺に当時常駐していた僧侶八十余名は全員行方不明。 …… 多分死亡しているだろうが。本堂が無くなった以上地所、結界としての機能は辛うじて果たしてはいるが、聖域を構築する寺社機能を有する意味の場所としては完全に死に体だ。」

 赤塚が言葉を失った。其の表情を窺っていた松長の顔に後悔が浮かぶ。

 だが今となってはもう遅いだろう。尚も言葉を続けた。

「俺も伝聞でな。一応配下の退魔師を差し向けて神奈川県警から事情を聞いただけに過ぎない。司法の方はテロの可能性を含めて捜査しているそうだ。まあ『事情』を知らない者にはそうとしか映らんだろうがな。」

「しかしどう言う事だ、我々の動きを察知してその様な攻撃を仕掛けて来る等。まさか我々の内部に敵と通じている者がいるとでも言うのか? 」

「確たる証拠は無いが、内密に行われた法要と其の目的を察知して仕掛けられたとしたのならば、多分そうなんだろう。こういう『裏法要』の日時は一握りの人間、それもかなり地位の高い者にしか知らされていない。その情報を得ずして的確に攻撃する事など、内通者の存在無くして先ず有り得まい。だから恐らく今回の法要も ―― 」

「狙われている、と? 」赤塚の問いに松長は黙って頷いた。

「十二神将を連れて来た。護摩壇の周りの結界は彼らが張るから、何か有ったとしても十分に押さえられると思う。それより気懸りなのは ―― 」

「犯人の正体か。あれだけの結界と法力僧を一瞬にして消すなど、人の仕業とは思えん。」

「そう、それだ。」何かを確信したような、松長の声。

「現場を見てきた者の話では、地面が半円状に抉り取られていたらしい。つまりは丸い玉の中に陣ごと囲われて跡形も無く消え去った、と。法力僧の中でもそんな事の出来る者はそういないだろう。」

 むう、と赤塚は黙り込んだ。松長は考え込む赤塚の顔を見つめたまま、其の事実を告げる事を躊躇っていた理由の原因になった問いを投げ掛けた。

「覚慈は、何処にいる? 」


「まさか。疑っているのか、あの男を? 」

 信じられないと言った面持ちで赤塚は松長の顔を見つめた。「あの男は今回の件で金沢に使いに出してある。山本の婆様に密書を届けるように ―― 」

「奴は金沢に行っていない。」松長は大きく溜息をついた。「やはり、そうか。」

「結論を出すには性急に過ぎるぞ、松長。何かの間違いに決まっている。あれほどの力と徳を持った男がなぜそんな事をする必要があるんだ? 奴は ―― 」

「お前亡き後の、座主候補だったな。覚瑜と並んで。」

 かつてその連携と法力の大きさで、真言宗の全退魔師の中で五本の指に入ると言われた覚瑜と覚慈。「根来の阿吽」の異名をほしいままにし、幾多の魔を打ち倒してきた二人。座主の代りに新義真言宗の全てを取り知っている陰陽の片割れが裏切ったと言うのか?

「だが覚慈は裏切ったのだ。認めざるを得ん。」

 木鶏の如くに固まったまま沈思黙考を続ける赤塚の時を、松長の言葉が無理矢理動かした。「如何なる手を使ったのか、魔に篭絡ろうらくされて、な。」

 空は逢魔ヶ時を過ぎ、夜の帳が降りようとしていた。冷気を纏った風は二人の間を吹き抜けながら白と赤の法衣を靡かせて行く。

 今の赤塚の衝撃はいかばかりか、と松長は思った。信じる者の裏切り。それは人の世に生きる以上避けては通れぬ定め。しかし孤児の二人を引き取り、我が子の様に可愛がり、後事の全てを託そうとした者にそれを為されたらどうすればいいのか? 

 それは自分に置き換えても如何ともし難い物だ。もし、自分が今の赤塚の立場に其の身を置いてしまっていたとしたら、どうする? 

「覚慈の事は、俺に任せてくれ。」長い沈黙の後に、赤塚がぽつりと言った。

「私と覚瑜でこの始末を付けさせて貰う。」

「赤塚。気持は分かるが其れを了承する事は出来ん。」静かでは有るが反問を許さない。「これは、私の仕事だ。」

「何故だ? 」

 反論する赤塚。押さえ切れない何らかが爆発して、其の波紋が言葉に伝わった。

「身内の不始末だぞ!? 他人になんか任せられる筈が無い。こればかりは如何にお前が『座主猊下』であったとしても聞けない相談だ。俺の手で片付けないと俺の気が納まらんのだ。大体俺達が遣らずして、誰が長谷寺の亡くなった僧達に詫を入れると言うのだ!? 」

 一気呵成に赤塚は怒鳴り飛ばした。迸る感情が互いの立場も忘れて、自分より上位に立つ松長に向けて発せられる。荒い呼吸だけが残る其の空気の中で、松長の口が静かに開いた。

「お前は変わらんな。」

 赤塚の激情を受け流す様な台詞。慈悲を込めた其の言葉に、赤塚は我に返った。

「『冷静な様でいてその性は苛烈。二者一対の方寸は王を為す者に等しく、世を正すに足る者なり』 …… お前が御山を降りてから座主様が、お前の事を思い出してはよく言っていた。」そう言うと松長は息の整わない赤塚の肩に手を掛けた。

「だが、ここは俺に任せてくれ。お前の気持ちは良く解る。だからこそ、」掛けた手に力が入る。

「お前に我が子を手に掛けるような事はさせられん。」

「松長。それではお前が、」

 手を汚してしまうではないか。ならば破戒の者となる自分の方が適任ではないのか?

 言葉を最後まで言う事は出来なかった。赤塚を見据える松長の、其の頑固者の双眸が赤塚の反論を押し止めていた。

「清濁併せ呑まねば、人を導く事は、出来ないのだ。」

 一つ一つ言葉を切りながら、松長は赤塚に言い聞かせる様に言った。

「俺の手はもう汚れている。そして今日、更に汚れるだろう。だがそれも俺に課せられた役目なのだ。下野したお前が、俺に与えた、これは宿命だ。」

「松長、そんな事は、」

 圧力に逆らって尚も反論しようとする赤塚の感情を宥める様に、松長は微かに笑った。

 昔もこうだった、と赤塚は遠い過去に思いを馳せた。

 苦しい修行の時、耐えきれずに噴出す感情を何度この笑顔で鎮められた事か。この男がいなければ今の自分がここに存在しない事は明らかだ。

“ああ、あの頃に戻ってもう一度やり直せるなら。違った運命を掴んで見せるのに。”

 其の時、旧友同士の旧交は何者かのけたたましい足音によって破られた。慌ただしい気配を察知して、二人はそっと距離を取る。既に表情には旧知の友としての色は無く、互いに寺を収める座主としての仮面が設えられていた。

 勢い良く屋上の扉が開く。其処に黒い僧衣を纏って血相を変えた覚瑜の姿があった。恐らく相当の距離を駆けて来たのだろう。足元に残る法力の光が残ったままの姿で、覚瑜は目の前に佇む二人に向って叫んだ。

「座主様! 」

 いつも冷静なこの男が、ただ事ではない慌て様だ。しかし二人の姿を目に留めて慌ててその場に跪く。一瞬で鎮める心は両足の法力の残光を瞬く間に消し去った。

「『座主』とはどちらの事だ、覚瑜。畏れ多くも『猊下』とお呼びすべきであろう。」

 言葉尻を捉えた赤塚が静かに叱責する。

「恐縮です。 …… 『座主猊下』、誠に申し訳御座いません。」

 そう言うと覚瑜は松長に一礼した。そして改めて赤塚の方に向き直った。

「座主様」其の声に再び赤塚が溜息を漏らした。

「もう『座主』と呼ぶなと言っただろう。お前は何度同じ事を言わせるつもりだ? 『座主猊下』の御前にて忌々(ゆゆ)しき失態だぞ。この事は後日改めて詮議せんぎせねばならん。」

 そうか、赤塚はもう『座主』である事を辞めたのか。其の潔さが如何にも彼らしい、と松長は思った。

「御叱りは後々存分に承ります故、今はご容赦下さい。 ―― 一大事に御座います。」

 叱責を受けた後でも緊張した声音に変化は無く。その覚瑜の言葉に松長と赤塚は顔を見合わせた。

 赤塚が視線で松長に発言を促す。事の次第の寄っては立場が上の者が発言すべきだと言う、赤塚也の考えだった。促されて、松長は覚瑜に尋ねた。

「覚瑜、如何した。何が起こったと言うのだ? 」

 言葉を発した松長は一抹の不安を覚えた。先ほど二人で話していた事、覚慈の件、そして内通者の存在。

 まさか。

 覚瑜が大きな息と共に吐き出した次の言葉が、それを確実な物と裏付けた。押し寄せる緊張に、三人と彼らを取り巻く空気が凍り付く。

「與教上人の御廟が、何者かに破られました。」


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