まさかの謁見でした?
旅発つのに前置きがながすぎるううううう~~~と悩んでおりますが、どうしても書きたい場面がありますのでお付き合いください。
次回その場面です。
謁見の間の扉が開かれる・・・
紅いカーペットの奥の壇上に王座があり、そこに人が座っているのが見える。
あの方がこの国の王でありメルの父親である、ハインリッヒ・フォン・ラギスアークその人だ。
横に4名ならび直進する。
謁見の間はそれほどに広い。横に5~6名並んでも紅いカーペットからでることはなく、武官や文官が数十名ずつ入ってもまだ余裕がある。国事に使われることもあるからだ。
武官の護衛より前に出ない形で肩ひざをつき臣下の礼をとる。
メルは臣下ではないので用意されていた壇上の椅子に着座する。
「よくきたな、我が臣民よ。面をあげよ。此度の事は私も聞いておる」
威厳のあるよく通る声だ。年齢相応の渋みもあり非常に心地よい。
「先にいっておく、これは国事である。ギルバート、仔細を述べよ」
国王が宰相に指示をだす。
「我が国始まって以来の成人の儀でした。「剣聖」「大魔道士」はそれぞれおおよそ50年周期でどちらかが生まれます。「聖女」にいたっては建国の女王様がそうだったといわれております。「旅人」にいたっては初めての職といえます」
事実のみを淡々と語る宰相閣下は若い。眼鏡のよく似合う美丈夫だ。
「さらに「聖女」の神託が降りる際は天光がさし、「旅人」の時は母神様が降臨なされました。このような事態に対し教皇メリディオ3世は委細調査すべく「開眼の託宣の間」の使用許可を願いでております」
報告がおわる。
「ということだ。「剣聖」「大魔道士」「聖女」は前例がある、しかし「旅人」だけはまったく分からぬ。王家秘匿の女王の手記によれば、旅人が現れたら万全を期して旅発たせるようにとしか書いておらん。そこでエレイシア嬢の委細調査の為、「開眼の託宣の間」に入ってもらう」
重々しい気配を漂わせながら王はいう。
「ではなにか聞きたいことはあるか?」
王がここで発言を許す。
「王様、我々「剣聖」や「大魔道士」が同行したのはなにかあるのでしょうか?」
そういうマクガイアの発言はもっともである。
「それは4名で旅立ってもらうからだ。顔合わせとして貴賓室を用意した。国の主戦力となりうる職業のお主らだからこそエレイシア嬢の旅についていってもらう。これは勅命である」
えええ~~~~~!そんな私みたいな一般人にどんな過剰戦力をつけようっていうのだろうか。
まったく気楽な独り旅を楽しみたかったのに~~~~!
「勅命でしたら我々に言うことはありません。唯一つお聞かせください」
アイギスが鈴の鳴るような声で発言する。
「申してみよ」
「そこまでの戦力を投入する理由はあるのでしょうか?」
「女王の手記にある”世界に星が降る時、邪悪が蘇るであろう”とある。それに対処する為の戦力でもある」
重々しい口調で続ける。
「この国の成り立ちは御伽話のような物で聞いておろう。「聖女」と「勇者」の旅を語っておる。女王と勇者は力を合わせ邪悪と戦った。最後の戦いで勇者も邪悪とともに散ってしまった。それだけの脅威が迫っておる」
最後の方は渋面を隠しきれないでいた。
「なぜそれをご存知なのですか?」
エレイシアはさすがに不思議に思い口をすべらせる。
「お主らの成人の儀の際ワシも白昼夢のような物を見た。これでも聖女さまの血を受け継いでおるのでな。天から星が降り大地は地獄と化す、刹那であったが強烈な夢であった・・・」
聖女の血を引く王族の方々はそういった不思議な現象がままある。それに対して家臣は王の言葉を無碍にはしない。これまでの国難を切り抜けてきた実績があるためだ。
「左様でしたか、不躾な問いをして申し訳ありません」
エレイシアはうな垂れるように謝罪した。
「よい、他になにかあるか?」
と問う王に返答は無かった。
「では「開眼の託宣の間」に向かってもらう。準備が整いしだい能力の鑑定を受けてくれ」
「わかりました。直ちに向かいます」
そう返すエレイシアの言葉とともに謁見は終わった。
残された謁見の間に親子が語らう。
「ついにこの日がきましたね」
「ええ、それは分かっていました」
「世界の胎動がいま始まりますわ」