まさかの出会いでした?
趣味のバイクでお出かけしたいのですが、旅発つまではなんとなくもどかしい思いで書いております。
はやく異世界ぶらり旅したいです~。
王城に着くとクラシックメイドなロング丈スカートながらも気品のある佇まいの侍女に案内される。
「本日案内する者でございます。貴賓室へと案内させていただきます。
そう言う侍女は淑女の礼をとる。王城に勤める者はそれなりの貴族家の出であり、身分と礼儀作法の適った者しか採用されない。
つまり王城に勤める騎士や文官にとって、仕事場は良い出会いの場ともいえる。
それは侍女にとっても同じ事だ。
その侍女が何も無いところでいきなりズッこけた。
「あぅぅ~~~レティシャはドジっ娘ではありません、侍女長さま~~~」
なにをいっているんだろう、この娘。レティシャというのが名前なのだろうか。
それはともかくレースがふんだんに盛り込まれたガーターベルト、扇情的な黒のシルクの下着が丸見えである。
女性になった私でも思わず頬を赤らめる光景であった。
「なにじっくりみてますのエレイシア~?」
そこには張り付いた笑顔のメルが有無を言わせない雰囲気をまとわせていた。
「大丈夫ですか~?レティシャさん?ほらお立ちになって~」
メルが手を差し出すとレティシャは手につかまり立ち上がる。
「申し訳ございません。粗相をお許しください」
こけた事を毅然とした口調で謝るレティシャであったが、色々だいなしである。
その後は無事に貴賓室まで案内して貰えたので問題はなかったといいたい。
案内が終わり去っていく際にまたこけていた。
あの娘なんであんなに扇情的な下着を着けてるんだろうと思っていると。
「王城では王のお手つきになり側室になる場合もありますのよ~。それは大変名誉なことですので、実家から送られてくるのが慣わしらしいのです~」
たまにメルが心を読んでいるのではないかという考えがもたげる。
「や、やだなあメル、レティシャが怪我してないか心配だっただけよ」
うろたえる心境を必死に隠しながら言い訳をする。
「それならよろしくてよ~」
と意味ありげに微笑むメル。
そうこうしながら貴賓室に入ると男女が距離を置いて座っていた。
貴賓室付きらしい侍女も部屋の片隅に立っている。
「よう、今日は綺麗なお嬢さんにたくさん出逢えて嬉しいぜ」
そう話しかけてくるのは赤髪の偉丈夫である。
偉丈夫ながらも均整のとれた体つきに、荒々しくも整った顔だちは見るものを惹きつける。
偉丈夫が立ち上がり挨拶をしてくる。
「今回の成人の儀で「剣聖」になったマクガイアだ。性はない」
その所作で彼が一流の冒険者並みの覇気を備えているのがわかる。
「初めまして、私はエレイシア。エレイシア・フォン・グランヌークよ。成人の儀では「旅人」になったわ」
「ごきげんよう、私はメルナード・フォン・ラギスアークですわ~。私は「聖女」を授かりました~」
ふたりが順番に挨拶すると動じたようすもない彼はいう。
「へええ、あのグランヌーク嬢に王女さまか~。俺のことはマックとでもよんでくれ。しかし聖女さまはわかるが旅人ってなんだ?」
「私にも分からないわ。もともと旅をする予定だったから丁度よかったといえるわね」
「ははっ!ちげえねえや」
そう無邪気に笑う彼の顔は幾人の女性を挽きつけてきたのだろう。そう思わせるほど魅力的だった。
だけどあのグランヌーク嬢ってなんだ、まったく・・・。
次に座っていた少女が立ち上がり話しかけてくる。
「これは失礼いたしました、グランヌーク公爵令嬢に王女殿下。わたくしアイギス・フォン・ロンゴミニアトと申します。今回の成人の儀で「大魔道士」を授かりました」
といって優雅に淑女の礼をとる。
その小さな庇護欲を駆り立てる肢体はまるで貴族院小等部くらいのようだ。
もちろん出るべきところも出ていないが、少女特有のしなやかさがある。
光沢のある薄いピンク色の髪に大きな無垢な青い瞳、小さな唇はまさに西洋人形のようだ。
「あのロンゴミニアト侯爵のご息女でしたか~」
メルはすこし驚いた様子だ。なんだろう。
「武勇に名高いロンゴミニアト家ね!私も知ってるわ、お父上は「ラギスアークの鬼神」ともよばれた英雄よね」
私は彼に密かにあこがれていた。武勇を聞いてはしゃいでいたものだ。
「父の話をされるととても恥ずかしいです////」
そういって照れるアイギスはとても可愛い。
「父は武勇に優れていますが私は体に恵まれなく、魔法を「魔道士」のお母様からならっておりました」
魔法も嗜むエレイシアには分かるがとんでもない魔力を秘めているのは伝わってくる。
「なあ、俺たちなんで集められたんだ?家に帰って稽古したいんだが、こんな所にいちゃ体がなまっちまうぜ」
マクガイアがいうように集められた理由がわからない。建国以来の聖女はめでたいことだが、それは王女であるメルが家族でもあり王でもある彼女の父と話して体制を決めればよい話ではないのか。
「お父様にも何か考えがあるとは思いますが、私にもわかりませんわ~」
メルの癖でもある人差し指を頬に当てるしぐさをしている。
本当にわからないのだろう。
しばらく歓談しているとレティシャが入ってきて声が掛かった。
「陛下への謁見の時間になりました。謁見の間へお越しください」
「さあ向かうか」
「そうね」
「今いきますわ~」
「緊張してきました///」
四者別々の返答をし席をたつ。
後に四英傑と呼ばれる者たちの出会いであった。