まさかの奇跡でした?
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とても励みになりました。
頑張って書いていきたいと思います。
礼拝堂への扉を開く。
心なしか扉が重いような気がする。
扉を開くとそこには教皇様がおり、こちらをみながらゆっくりと頷いてみせた。
祭壇までゆっくりと歩いていく、やはりなにか足取りが重いように思える。
どうしたのだろう、空気がまるでちがう・・・
喧騒はややなりを潜めたものの何か礼拝堂の気配が変わっている。
「エレイシア・フォン・グランヌークよ、祭壇に祈りを捧げ神託を待つが良い」
教皇様が各々に説明する言葉を忘れない。
「天にまします慈悲深き母神様、我が祈りをお受けください」
・・・・カッッッッッ!!!!!!!!
眩い光が礼拝堂に満ちる・・・・
目を瞑っていたのに異変があると私の本能が察し、ゆっくりと目を開ける・・・
少しずつ光が収まり一点のみが淡い光になる。
そこには神々しいまでの’戦乙女’が現れていた・・・・・
”ようやくここまで育ってくれたか我が神姫よ”
そうのたまってくれたのは神の庭園で逢った母神様その人であった。
いや!ここまでしなくても俺忘れてないよ!やめてそういうの!!!!
”ふふふ、相変わらずだな勇者よ。残念ながら久方ぶりの再会を祝う時間はない”
「ご尊顔を拝し光栄にございます。母神様(おいおい、アルヌークさんなにしにきたのよ。あと勇者とかやめて~~~~)」
”汝に職を授ける。汝が職業は「旅人」とする”
完全に心の言葉をスルーしてくれた母神様はさらっと職業をくださりました。
・・・・・えっ!!!!!????・・・・・
喧騒が違う意味で大きくなった。
職業「旅人」などこれまで無かったのに加えて、母神様が降臨されてまで言うことなのかと疑問に思ったからだ。
”それではまた逢おう勇者よ。汝が往く道を我は見守ろうぞ”
天を劈くかのような光が射したかと思うと、そこにアルヌークはいなくなっていた。
礼拝堂は静寂に包まれている。
しかしそれは長くは続かなかった。
端を発したかのような怒声が生まれる。
おおおぉぉぉおおおおおおお!!!!!!!!母神様が降臨なされたぞ!!!!!!!!!!!!
娘ってなんだ!!!勇者ってなんだ!!!!!旅人ワロス!!!!
エレイシアは最後の奴は〆ると心に誓った
ともかく降臨後は泣き崩れる者や、一心不乱に祈りだす者、失神する者まで続出した。
こうなるともはや収集がつかない。
教皇様は大声で場の収集を図る
「皆の物しずまれ!手の空いている者は体調を崩した者を救護室に運ぶのだ!成人の儀は一時中止とする!成人の儀が終わってない者は次回の成人の儀に移すことにする!!!」
それは異例の事態であった。
成人の儀が中断されたことは今までに無い。
これから教皇様は文字通り走り回ることになるだろう。中止もやむえまい。
「エレイシア嬢、礼拝堂の奥へ」
そう短めに教皇様が言う。拒否権はなさそうだ。
「わかりました」
短く告げるとエレイシアは奥へと歩をすすめた。
礼拝堂の奥では親友が穏やかに微笑んでいる。
「どうでしたか~エレイシア~?とても大きな声が聞こえたのですけれど~」
「母神様が降臨なされたみたいよ」
やや他人事のように言うエレイシアである。やや自暴自棄かもしれない。
「あらまあ~、建国された女王様以来ですわね~。それでエレイシアは何の職業になったのですか~~?」
人差し指を頬に軽くつけながら無邪気に聞いてくる親友に多少毒気を抜かれながらも質問に答える。
「「旅人」らしいのよ。いやまあ平凡な私にはちょうどいい職業よね」
勇者がどうのこうの言われた件については伏せておく。
「エレイシア~?平凡だなんて自分を控えめにいうのは美徳ですけど~、貴女はもっと自覚を持ったほうがいいと思いますの~~」
「でも旅人なのよ?まあこれで母神様公認の旅ができるのはありがたいわよね。そうと決まれば旅の支度よ!!」
「私も旅についていきますわ~~。支度するなら一緒にしましょう~~」
「ダメよ!貴女は皆の仕えるべき王族であり、聖女様になるんだから!!」
「いいえ、これだけは譲れませんの!母神様にもお誓い申し上げた事ですわ!」
いつもの間延びした言葉は無かった。真剣な顔でゆるぎない瞳で見つめてくる。
そうやって言い合いをしていると
「聖女様がた、お話はそれくらいにしてくだされ。お二方にはこれから王城に向かってもらうことになる。王への伝令は既に出しているが、早急に呼ばれることになるだろう。馬車の手配もしてある」
「承りましたわ~。エレイシア、ひとまず馬車に向かいましょう~」
そうおずおずと手をだしてくる親友は、やはりとても可愛らしく、絆されてしまいそうになる。
メルの華奢な手をギュッとにぎって先導するように歩き出す。
「メルがなんといっても連れて行きませんからね!」
礼拝堂を裏から抜け、外への扉が開かれる・・・
手を繋いだままの二人の少女を光が照らす。
その後姿はまるで歴史的瞬間が書いてある宗教画のようであった。
教皇ことメリディオは後にこう遺す。
「英雄二人はまさしく比翼の鳥のようであった」と・・・。