まさかの英霊でした?
2000字付近が関の山だと思っていましたが最近3000字いくので驚いております。
早く旅発ちたい。。。!
とある事情によりこそこそと武器屋をあとにする一行。
次は防具屋である。今度こそは目立たずに行く予定だ。
「マックに色々聞きたいこともあるけどひとまず装備を整えてからにしましょ」
できれば何事もなく防具屋は終わりたい。
「そうだな。護剣についてはその内話す機会もあるだろうよ・・・」
まだ話すつもりはない。そういった意思を感じる。
「ねえエレイシア~。防具といえばどんなのを買うんですの~?」
「私も興味があります!魔法使いの装具はよく見ますし、お父様の武具も見ますが女性用は初めてです!」
メルとアイギスが疑問を口にする。
防具といえば剣の練習時に来ていた皮の鎧が馴染んでいるが所詮は練習用とされたもので、実戦となると戦闘のスタイルに合わせて買うべきであろう。
「そうね。私は魔法剣士といったところでしょうから、ある程度魔法伝導率が高い素材が理想よね」
と高価そうな素材を言うエレイシアだった。
「お姉さま。それだとブルーオークの革鎧になります。とても高価なのです」
心配するようにいうアイギス。
「そうだな、ブルーオークの革鎧全身となるととてもじゃないが残りの300Gでは厳しいだろう」
考え込むようにいうマクガイア。
「まあいいわ、いってみましょう」
「そうだな」と相槌を打つかのようにそれぞれ返事をしながら防具屋に向かう。
~レインアット防具専門店~
なんのことはない一代店主が商っている店である。
やり手なのは間違いなく成り立て冒険者から熟練冒険者まで通いつめる名店だ。
「お、マックの坊主じゃないか。今日は綺麗なお嬢さんをたくさん連れてきているな!」
そういう店主らしき風格のある男にガイアが話しかけられる。
ガイアは本当に顔が広い。彼の人徳によるものだろう。
「よせやい!お嬢さん方といっても名だたる職業や能力の持ち主たちばかりだぜ。俺が霞んじまうよ!」
マクガイアは自分の力を過信していない。
剣を振ることは自分の周りを護ることくらいしかできないとわきまえている。
「ほう、いわれてみればそうだな。でもお前「剣聖」になったんだろ?強さの自覚はしておけよ」
嫌らしくない視線で値踏みをしてくるレインアットである。
しかも耳が早い。昨日の事を既に把握しているようだ。
そういった会話をしている傍でエレイシアが防具を探す。
「ねえおじさま、私、剣も使うけど魔法もつかうの。ただ動きを邪魔しないで魔法伝導率の高い鎧ってなにかないかしら?」
「そうだなお嬢ちゃんの予算があるならブルーオークの革鎧を勧めるところだがな。すでに剣を買ったあとだろ?このオークの革鎧なんかどうかね?」
店の奥から魔法戦士用の装備をだしてくるレイアット。
「おじさま、これが良い物だって分かるけど魔法戦士用の装備なの?」
エレイシアが聞くのは最もである。
「理由があるんだよほら見てくれ」
そう指差すのは両手首と胸元の穴である。
「こいつはなブルーオークの革鎧より安いが同じ強度のオークの皮で作ってある。しかもこの穴に好みのタリスマンを装着することで単純に魔法伝導率があがる。さらにだ!属性付きのタリスマンも用意できるのならモンスターの弱点属性も押さえていけるしろもんだ!」
興奮したようにいうレイアット。
「へえ、でもお高いのでしょう~?」
頬に指を当てて問うメルである。
「いや直しを含めて100Gだ。オークの革鎧にそこの加工賃しかとらん。実は試供品でな、試せる魔法戦士がいなかったんだよ」
魔法戦士は貴重である。剣か魔法を学ぶとなるとどっちつかずになり、実戦では使えない者が多い。
土台からしてどちらかを学ぶ事を勧められている。
魔力の有無に関しては少等部入学の際に計られる事でわかるし、剣術に関しては授業で得手不得手がわかるというものだ。
「魔道士」等の職業に着させたらという意見もあったようだが、実戦の前衛が使わないと資料が作れないということで断念された。
魔法戦士という稀有な職業の装備がなぜ作られているかというと、いつか現れる「勇者」のためといわれている。
「勇者」はいわゆる万能魔法戦士であり非常に高い戦闘力を誇る。
しかし1000年前の戦記以来勇者は現れず、稀に優秀な魔法戦士が現れるのみだ。
「じゃあそれにするわ。お直しはコレで頼むわ。」
そう言って指差すエレイシアの手元にはいくつか女性用のコーディネートが入っていたうちの一つだ。
短いスカート丈に見えるが中もしっかり革で覆われている。下着が見えそうになるので一応女性用のスパッツも用意してある。
「わかった。ただこの値段で提供しているのは試供品だからだ。旅先で手紙を送るのでもよいから使用感を伝えてくれ」
そう念をおしてくるレイアット。
「わかったわ。コレだけの品物を買えるのなら安いものよ」
快く快諾するエレイシアだった。
さて残りは200Gである。
「次は俺の鎧か?なにがいいかねぇ」
と品定めをしているマクガイアである。
「坊主、お前も「剣聖」になったんだから防具なしはさすがにいただけねえ。これまでのようにいくとは思わない事だ。それによ、その剣グラスバーグさんのところの剣だろ?そいつを抜いちまったんだよな?だから持ってると思うんだが、それにふさわしい鎧がうちにあるとは思えねえ」
確かに言ってる事はもっともだ。
「たしかにその剣に合う防具なんて早々お目にかかれるものではないと思うの。でも防具は必要よ。200Gまででなにかいいものないかしら?」
そういうエレイシアは真剣である。
「私は魔法使いの装具をお母様から譲り受けましたので防具は必要ありません!マクガイアの装備を整えてあげてください!」
というアイギスであるが、またエレイシアに魔法少女の格好を妄想されているとは気が付いていない。
「私も聖女が何が出来るかわかってからでよいですわ~。何か必要でしたらお父様にお願いしますわ~」
陛下は娘に甘く必要と有らば最高の品を用意してしまうらしい。
代々陛下は自身の直轄地があり、そこから費用を捻出するので国庫を圧迫する心配はないのである。
「まったく叔父様は相変わらずメルに甘いわね」
とため息ながらにいうエレイシアであった。
「ふたりともありがとう、マクガイアに合うものを見繕いましょう!」
意気揚揚というエレイシア。
「しかしよう、俺に会う防具ってなんだろうな」
そう呟くマクガイアであった。
そこに答える声が一同の頭に響く
’我が主よ、なぜわらわが「護剣」といわれているかわかるかの?’
精霊ライナスヌークが直接語りかけてきたようだ。
「そりゃ剣聖グラスバーグがもっていたからだろ?」
安易に答えるマクガイア。
’本当に失伝してしまったようじゃの。まあ人の子に1000年は長すぎたというものか’
「というとなにかあるのか?」
’グラスバーグは自身の鎧を鞘としたそしてそこにわらわの拠り所もこしらえたわけじゃ’
「つまりどういうことだ?」
’ええい!疎いやつめ!やってみるがよい!着装の呪はいま主につたえておいた’
「ちょっとまてコレをいうのか?」
’もう語ることはない!’
「しょうがねえなまったく・・・」
息を一つついて呪を唱える・・・・・
「すべからく世を護る!我は常しえの守護者なり!!」
シュゴゴゴォォオオオオオオオオオオ!!!!!!!
鞘が光る・・・
鞘から放たれた光がマクガイアを纏いだす・・・・
そこに現われたるはヴァルキリーならぬエインヘリヤルの如き雄姿のマクガイアであった・・・
そこにオーラを纏った人影が現れる。
’汝、我を受け継ぎし者よ。すべからく世を守り抜くが良い。これで「護剣」の全ては汝のものなり’
いかにも豪傑といえる光のオーラを纏った者が現れ、語り、そして消えていった。
・・・・おいおい・・・!
・・・・・いまのどこかの肖像画でみたことあるぞ・・・?
・・バカ野郎!伝説の剣聖さまだよ!!・・・・・・礼拝堂にあっただろう・・・?
と周りがざわつきだす。
それからは忙しかった、ざわつく大衆がいるなか念のためマクガイアの白銀の鎧を決めていたところだ。
武器屋と合わせ、しめて500G丁度であった。
「直しが終ったらとりにくるからよろしくね・・・!」
こそこそと防具屋をあとにする一行であった。
一向が去ってからレイアットが呟く。
「坊主・・・いやマクガイアも道を往くことになったか」
「しかし、約束どおりお嬢に例の物はわたせましたぜ・・・」
誰かに語りかけるようなレイアットであった。




