まさかのバトルものでした?
拙い小説ですが、思い切って書いてみました。
実際にみた夢の設定が頭から離れなくなったというところです。
ふいに見ていた街の夜空、ぼんやりとした記憶の中の夜空とは違うが静寂に満ちていた。
思いを断ち切りつぶやく声は容貌よりはいくらかは若い。
「さて、帰るか」
名前は一之瀬 創、至って普通のサラリーマンである。
今日も残務に勤しみそして明日を迎えるだけの変わらない日常だ。
見ていた空から目を離した所で悲鳴が聞こえた。
「ぎゃああああああああたすけてくれえええ、え、え、え、えええ」
まるで断末魔のような声が聞こえたと思い振り返るとそこには信じられない物が存在していた。
「グルルルルッッゥゥゥゥッ!!」
何だアレはと思う間に既に事切れていた獲物を丸呑みしながら爛々とした目がこちらを見ている。
まるで犬のようだが緋い目と白銀の毛皮に覆われた躯体は尋常無く大きい。
信じられない光景であったが創は意外と肝が太い。
「へへ、死ぬにはいい日だ」
いつか言ってみたかった言葉NO.1であるがまさか言うことになるとは思ってもいなかった。
一歩動いたら死ぬことはわかっていたが彼はただ逝くことは望んでいないようであった。
あきらめの悪い男である。
「さて、やるだけやってみますか」
彼にはそれを言い切るだけの物は”もっていた”のである。
一之瀬に伝わる秘伝ともいうべき業だ。
流麗な構えを取ったと思いきや伸ばした手のひらを”犬”に向けた。
’ほう、我に歯向かう気概をみせるか小僧’
まさかの人語である。
確かに犬にしては高級そうな面構えではあるがしゃべれるとは思ってもいなかった。
「あれ?しゃべれるならここで許しちゃくれねえかな?」
’我は終わりし世界に降り立つ者、すべからくこの世界を平らげる者、ゆえに貴様はここで滅びよ!’
まさに取り付く島がない。
「うーん、やっぱり無理か、だがやるだけやらせてもらうぜ!」
相伝されてきた業をまさか使う事になるとは思っても見なかったが、一世一代の見せ場である、盛大に散ってやろうではないか!
それは命を賭す業・・・
「逝け!盛大に逝け!!!俺の人生の最後の花火だ!!!!」
それはなによりも速い、人間の意志とは光よりも速い・・
「母神滅殺斬!!!」
刹那、街が瞬いた・・・
その後、創を見たものはこの世界にいない。