47品目:マキナリウムへの道
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南門へとたどり着いたら、管理端末と自動販売機を探す。
お馴染みの復活設定と食料の買い出しだ。
地図を見た感じだと、馬車でも2日は掛かりそうな距離だったので準備は必要だ。
私は手早く復活設定を済ませてしまう。ついでにいくつかの素材を引き出しておいた。
次に隣の設置されていた自販に向かい、品物を見る。
簡易調合セットが売っていたので、馬車内でスキルのレベル上げに勤しむため購入する。
一番安い物を買ったため限られたものしか出来ないが、無いよりはましでしょ。
食材は日持ちのする缶詰や干し物系をチョイスして購入した。あと水も確保しておく。
馬車に倉庫が置けるようになるまでは、保存食で我慢するしかない。
「こんな感じかな。じゃあ行こうかアリア」
「ちょっと、待ちなさい。
タオルケットか何か買っていきなさいよ。馬車の中は何もないのよ?
寝る時に何もかけなかったら風邪ひくでしょ」
あ、忘れてた。私はアリアの言葉通りに大き目のひざ掛けを購入する。
どうやら、居心地が悪いところで座ったり寝たりすると、現実と同じように
身体が疲れるらしい。(機械や非生物だと「消耗」するというらしい)
疲れは満腹度と似たシステムになっていて、健康度という数値があった。
健康度が一定値以下になると「疲労」のバッドステータスが付き、スキルの成功率が大幅に下がる。
その次が「過労」となり、スキル成功率が極端に下がるのと、SP、MPの最大値が
減少する。そのまま身体を酷使し続けると最後は「過労死」してしまう。
「調合に夢中になって過労死とか普通にありそう。
早いうちに気づいて良かったわ」
健康度は満腹度より回復手段が多い分、気づきにくい。実際私も知らなかったし。
普段はきちんと食事をして、家具で休めばそもそも減少もしないそうだから、
気づかなくてもしょうがない。
だけど、今回みたいな遠出とか長旅になってしまうと、そうも言ってられない。
満腹度同様に気をつけないといけない項目だね。
「これでいいかな。あとは馬車でソファーを購入して、そこで寝れば、
地べたで寝るよりはましでしょ」
「よろしい。全く世話がかかるんだから」
ぐぬぬ。アリアにそう言われるなんてショックだ。
そういえば、ペットの健康度とか満腹度は大丈夫なの?
「……馬車の一部として認識されてるみたいで、減らないみたいね」
あ、そうなんだ。私はなるほどと素直に納得。
アリアは何だか釈然としないといった顔をしていた。
一通りの準備が終わり、南門の入口まで向かう。
お母さんが門兵に連絡しておくと言っていたので、すぐに通行が許可された。
門兵の合図と共に、馬車用の扉が音を発てて開かれる。
「では、気をつけて行ってきてください。道中、あまり整備された道ではないですが、
馬車による利用者が多いので、地面に跡がついて道になっているかと思います。
その馬車跡に沿って進むといいですよ」
門兵にそうアドバイスをもらった私たちはお礼を言うと、
ハイヌヴェーレの壁の外へと足を踏み出した。
***
初めて見る外の世界。周囲は植物が少なく、岩肌が目立つフィールドだった。
マップが切り替わるのを確認し、気を引き締める。
すでに敵を指し示す赤いマーカーが点々と付いている。
アリアが「面白くもない土地ね」とむすっとした口調でそう述べる。
彼女は植物系のモンスターだから、荒れ果てた地は好きじゃないのかもしれない。
門兵に言われた通り、車輪のあとを追いかけてアリアは走り出す。
私もモニターで外の様子を探る。
『さっそく、お出ましみたいよ!』
「早っ! もう!?」
まだ外に出て間もないというのに、問題のモンスターが出たらしい。
アリアが指摘する方向に画面を切り替える。
このルートが馬車限定とされる最大の要因がモニター越しに姿を現した。
――ズモモモモモモモモモモッ!!
「で、でっかい岩が動いてる……」
画面いっぱいに広がる岩石の塊に私はあっけにとられる。
『>強敵が迫ってるおん! 注意するおん!!』
おんちゃんが警告を発した。そんなことは分かってるよ。
ここを生きて通り抜けれられるかどうかは、アリアの足にかかっている。
私は激しく揺れる馬車に中で柱に捕まりながら、じっとしてるしかない。
せめて指示だけでも送る。何もしないよりはマシだ。
「アリア! 押しつぶされないように込みながら避けて。
ある程度引き離したら、車輪の跡に軌道修正して!!」
『言われなくても! 全力で避けてる途中よ! しっかり掴まってなさいね!!』
ズシンと音を発てて岩が転がる。馬車はそれを全速力で避けると、
岩とすれすれの距離を進みながら、徐々に引き離していく。
岩は動き自体はすごく遅いので、すぐに岩をまくことに成功した。
「はぁー。びっくりした。初っ端から手荒い歓迎過ぎる」
『ぜーぜー。何が馬車なら行けるよ! ぎりぎりじゃないの』
「でも、この辺はさっきの岩モンスターしかいないって言ってたでしょ。
動きものろいし、なるべくエンカウントしないようにいけば、
ここが一番難易度が低い道なんだよ。今のはちょっと運が悪かったけどね」
そうここには、さっきの岩モンスター「ガンデカイワ」しかいない。
門兵から情報によると、ガンデカイワのレベルは20と低い。
この国の周囲に生息するモンスターの中では一番弱いという話だった。
だからと言って、ガンデカイワを侮ってはいけない。
本当にただ弱いだけのモンスターならば、この辺りでは生きていけないのだから。
低レベルのガンデカイワが生息している。裏を返せば、低レベルでも生きていけるから
そこに生息しているのだから。
「さんざん話では聞いたけど、予想以上の大きさだったわ」
『確かに、人の足じゃとてもじゃないけど逃げ切れないわね。
ぺしゃんこにされちゃうわ』
そう、ガンデカイワの最大の特徴はその大きさだ。
大きいというのは、それだけで脅威である。
数十メートルもある巨大な岩がこちらに襲い掛かってくるのだから、たまったもんじゃない。
この辺りに他のモンスターがいないのも、その巨体に潰されないように、
余所へ逃げたからなのだ。幸い、動きが遅くある程度距離を取ると追撃してこないのが救いだ。
「アリア、進行方向に1匹いる。回避して」
『わかったわ。まったくうじゃうじゃと鬱陶しいわね!』
馬車は進路を大きく変更し、正面に待ち構えているガンデカイワを回避する。
「数が多いわけじゃないと思うんだけど。大きいからすぐ見つけちゃうね」
『これで数が多かったら、馬車でも逃げ切れないわよ』
とにかく、最初の安全地帯に着くまでは油断しないようにしないと。
私は手元の地図を大きく広げて、モニターとマップのマーカーを注視しながら、
アリアのサポートに徹した。
***
太陽が真上を差す頃。最初の安全地帯に到着した。
まるで砂漠のオアシスのように、管理端末の周辺だけ緑と木々が生い茂っていた。
すぐそばには湖まである。この周りにはモンスターの姿はないので、
安心して馬車から降りた。
「30分休憩してから出発しよう。この次の安全地帯で野営するから」
「わかったわ。あー、疲れた。乾燥してお肌もかさかさするし、
ちょっと水分補給してくるわね」
アリアはそういうと、湖へと近づき身体を水の中へと沈める。
何をしているのかなと思って良く見てみると、水の中で根を張り巡らせて、
思い切り水を吸い込んでいた。
流石は植物モンスター。心なしか湖の水が減ってるような……気のせいか。
アリアをみならい、私も湖の水をがぶ飲みする。
食料は限りがあるし、なるべく温存するためにも水で腹を膨らませよう作戦だ。
最悪の場合は石でも食べるしかないけど。
試にその辺の石を口に放り込んでみた。……うーん。イマイチかな。
草くらいの量しか回復しなかった。
やっぱり鉱石とかじゃないとお腹を満たすには程遠い。
「そろそろいいわよー」
アリアの水分補給が完了したらしい。
私は飲み水用に少し水を採取してから、再び馬車へと乗り込んだ。




