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仮想胃袋∞系ようじょはリアル底なし胃袋系女子  作者: 猫猫全猫
思惑よりも大事なご飯と2章
47/72

46品目:遠方へのお使い

小説を閲覧いただきありがとうございます。

感想、評価、ブクマ等いただけましたら、作者は大変喜びます。

どうぞよろしくお願いします。

「あー……これは快適だわー」


 私はカボチンヘッドの馬車の中で横になりながら(家具が無いので地べたにごろん状態)

窓もとい、モニターから流れる外の景色を見つめた。

 あの後、結局お母さんの力にはかなわず強制的にカボチンヘッドの馬車の

馬係として、アリアが任命された。

 ついでに「その方が便利でしょ?」と、アリアはお母さんの使い魔から、

私のペットとして登録し直されてしまった。

 アリアってお母さんに使役されてたんだ……。そうか、それで逆らえなかったのね。

 お母さんは「試運転がてら街をぐるっと見学してきなさい」とこれまた強引に、

私たちを送りだし(サブクエストも発生した)私は今アリアに引かれて、

ハイヌヴェーレの街中をドライブ中だ。


『快適じゃないわよーーー!! 後で覚えときなさいよー!!』


 スピーカーから外で必死に馬車を引いているであろうアリアの声が聞こえてきた。

 私は別のモニターを呼び寄せると、アリアの様子を確認する。

 ほら、疲れたりしたら休憩させないと駄目じゃない?

 別に面白そうだから様子見る訳じゃないよ?


『この私が馬だなんて! うふ、うふふふふ。いいわぁ。

見てなさい! 馬なんぞ足元にも及ばない速度を出してやるんだからっ!!』


 アリアがそういうと、馬車のスピードがぐんと上がった。

 文句を言ってる割に楽しそうで何よりである。

 メイド服姿の麗しの女性が馬車を引っ張りながら、馬以上の速度で走る様は

憐れだとか不憫を通り越して、なんかギャグっぽく見える。

 メイドの恰好はお母さんが指定したけど、私は脱いだら駄目とは言ってないし。

 あー、でも服はこのままの方がいいかな。

 ……その、あそこが……教育的によろしくないことになっちゃうしね。

 それにしてもアリアは律儀に人の恰好で、慣れていないだろう人の足で走り続ける。

 植物のツタでも何でも出して、楽をすればいいのに。

 もしかして気づいていないの? アリアってアホの娘設定だったの?


「まぁ、わざわざ言う必要もないか」


 私はにししと笑うと、しばらくアリアをからかって遊んだ。


 ***


「うーん。流石に地べたは居心地悪いなぁ」


 アリア弄りを終えて、身体を起こすと軽くストレッチを行う。

 せっかく馬代が浮いたんだし、椅子の1つでも買おうかな。

 私は馬車のメニューを呼び寄せると、ジュゲムで拡張可能なもののリストを

表示させる。ただの家具だけなのに異常に高い。

 試に馬を見てみるが、夢みたいな値段がしたので見なかったことにした。

 そして、リアルマネーで買えるものは地味に安いという運営設計。


「これなら買えるかな……お父さんから追加報酬でジュゲムがもらえる予定だし。

いくらぐらいもらえるか分からないけど」


 1人用ソファーとミニテーブル。

 2500ジュゲムと1500ジュゲムという価格だ。頑張れば買えないこともない。

 その2点を視野に入れつつ、私は他にどんなものがあるのかページを進めていく。

 よくよく考えて見ると、ジュゲム(もしくはリアルマネー)さえかければ、

自由移動出来る拠点を作れるのはイーターマンの私にとって都合がいい。

 全種族を受け入れる特殊な都市セントラルと貿易の関係で入れるマキナリウム、

レプロドール以外の国や地域に行った時に、たとえタウンに入れなくても休憩や倉庫が

自由に使えるのは大きい。


「キッチンとかセットして馬車の中で作って、そのまま外に屋台を出して売る。

あ、窓を改造して車内から受け渡し可能にしたほうがいいかな?

あとは別にジュゲムじゃなくて、入れないタウンの食べ物と引き換えとかでもいいかも!」


 いっそ、屋台馬車に改造して、世界中を食べ歩きするっていうのもありだよね。

 私の野望を全て叶えるには、先行投資と言う名の大量のジュゲムが必要になるけど。

 夢はおっきいほうがいいし、目標も出来た。


「目指すはこの馬車を屋台に改造する資金の調達だ!」


 おお、なんかわくわくしてきた。馬車で食べ歩き……色んな国の料理が食べ放題。

 え、セントラルで律子が待ってるって? い、嫌だなぁ。忘れてないよ?

 ちょーっと、寄り道するだけですとも! ええ。


『>お父さんへの手料理はどうなったおん?』


「あ……そうだった」


 いやー、なんだかんだいって馬車で色々あったもんだから、すっかり忘れてたよ。


『>ひどいおん。このことをお父さんが知ったらショックで寝込むおん』


 いやいや、まさか。30分硬直するぐらいでしょ。

 そっか、メインエピソードがあったよね……。んー、手料理かぁ。


「レシピ通り作る方が安定性はあるけど……今のところ持ってるレシピって、

混沌鍋とカボチンだけだもんね。そして材料がなくて作れない」


 ならば、オリジナルで作るしかないか。

 オリジナルってレシピが無くても作れるかわりに、求められるプレイヤースキルが

高いんだよねー。あとスキルのレベルが低いと判定が厳しくなるらしくて、

現実で料理が趣味です、得意ですって人も美味しい料理が作れなかったりする。


「待てよ、もしも前作と同じなら」


 私はある仮説を思い付き、じっと考え込む。

 もしもこのゲームがあのデータを引き継いでいるならば、レシピはあるも同然。

 何回も何回も作ってるんだ。分量も火加減も全て把握してる。


「そうしたら残りは材料だけか。あとで自販を確認しよう」


 さーて、それじゃあそろそろ家に帰りますか。


「アリアー! 進路変更! 自宅に帰るよ」

『うふふふふ。え? もう帰るの? せっかく調子が出て来たのに!』


 何楽しんでるんだ。全くもう。


「帰るったら帰るの!」

『わ、わかったわよ!!』


 アリアはしぶしぶ承諾して、進路を自宅へと変更した。


 ***


「お帰りなさーい!」


 自宅前に到着すると、お母さんが笑顔で出迎える。


「どう? アリアちゃんの調子は」

「じょ、冗談じゃないわ! いいわけないじゃ」

「すっごく楽しそうにしてたよ」


 私はアリアの返事を遮って返答する。アリアがそんなわけないじゃない! と叫んでいるが、無視する。途中からすっかりノリノリだったくせに何を言うか。


「そう! 良かった。これなら、あれを頼んでも大丈夫そうね!!」


 ん? 「あれ」って? 私は何やら不穏な雰囲気を感じ取り退路を確認する。


「あ、えっと。私お父さんの料理を作らなきゃ」

「そんなの頼み事が終わってからで大丈夫よ!」


 そんなのって、お母さんひどい扱いだよ。

 身体をゆっくりと後退させ逃げようとするが、お母さんに素早く肩を掴まれ、

逃走は失敗に終わる。


「……お母さんの頼みを聞くのは嫌かしら?」


 お母さんがしゅんとして、悲しそうにそう聞く。

 うう、ず、ずるいよ。そんな顔されたら断れないじゃない。大人ってずるい。


「そ、そんなことないよ! 頼みって何?」

「あらっ! 聞いてくれるのね!! 流石はくぅーねる優しいわー」


 変わり身早っ! く、これだから大人は……!!


「そんなことは良いから! 何を頼みたいの?」

「マキナリウムまでお使いに行って欲しいの」


 マキナリウムって、ええ! 隣国の!? 

 ハイヌヴェーレと僅かながら交流があるっていう。機械種族が統治する国だよね。でも、隣国に行くには壁の外に出るってことでしょ?

 この国の外は、私のレベルじゃ到底太刀打ちで出来ないモンスターが

うようよいるんじゃなかったっけ?


「安全に行くルートがあるの。でも徒歩は無理。

 馬車とか乗り物で行くこと前提のルートなのよ」


 ああ、良かった。危険地帯を馬車で強行突破しろとか言われるかと思った。


「わかったわ。でも、お母さんにお願いがあるんだけど」

「あら、何かしら」


 私は今さっき思いついたことを伝え、必要なものを伝える。


「なるほど。よくそれを知っていたわね」

「お母さん知ってるの?」

「もちろん。いいわ、お母さんに任せなさい! とびきり上等なのを用意するから!」


 な、なんか不安だけど他に宛てもないし、私は素直にお母さんにお願いしておいた。


『>サブクエスト「マキナリウムにお使いに行こう」を受託したおん』


 おんちゃんのアナウンスも流れたし、目的地は決まった。


「な、何? どこかいくのかしら?」


 アリアがそわそわしながら聞いてくる。そんなに馬車を動かしたいの?


「ち、ちがうわよ。でも、まぁ、どうしてもって言うなら、

動かしてもいいかなって。感謝しなさいよね!」


 そんなツンデレっぽく言わなくても、しっかりと走ってもらいますから。

 お母さんは「あら、アリアちゃんとすっかり仲良しさんなのね」とにこにこしている。


「これが買い物リスト。そして、これが地図ね。あとはこれがお金。

門兵には連絡しておくから、南の門から案内に従って出発しなさい」


 私は必要なものを受け取り、お母さんの注意事項を良く聞いてこくりと頷いた。

 再び馬車へと乗り込んだ私はお母さんに見送られながら、進路を南へと変更する。


「よし、まずはハイヌヴェーレの南門へ。門を出たら地図通りに進路を進むよ。

目指すは隣国マキナリウム!!」

『ふん。分かったわ。しっかりと掴まってなさいよ!』


 アリアが足に力を込めて力強く走る。いざ機械国家マキナリウムへ出発!

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