表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/68

24品目:探索準備2

小説を閲覧いただきありがとうございます。

感想、評価、ブクマ等いただけましたら、作者は大変喜びます。

どうぞよろしくお願いします。

 「それじゃあさっそく南瓜公園に行こう!」と言いたいところだけど、

その前に準備する時間が欲しかったので、一旦ここで解散することにした。

 集合場所はここ。準備が出来たら話かけてくれとカボックさん達から言われた。


「じゃあ、ひとまず荷物整理に自室に戻ろうかな」


 私は自室に向かおうとして、そういえばと思い出す。


「アリアはどうすればいいんだろう。お母さんは何の罰を与えるつもりなんだか」


 アリア(鉢植え)を置いていたテーブルに近づいて、中を覗きこむと、


「あれ? からっぽ?」


 植木鉢の中には栄養が豊富そうな土があるだけで、肝心のアリアドリィーネはいない。

 まさか、罰が嫌で逃げ出したんじゃ……。

 そう思っていると、付近のテーブルからこんな声が聞こえてきた。


「ひゅうー! 姉ちゃん新入りかい?」

「い、いらっしゃい、ませー」

「すげー、ドライアード族の子だよね? 初めてみたわ。

いろんな意味で、すごい……わね。どこがすごいとは言わないけど」

「ひゃう!? お、おさわりはご遠慮くださぃ……」

「ほっほっほー、眼福じゃのう。ええ形じゃわい」


 そんなやり取りで全てを理解してしまった。

 わざわざ見るまでもないだろう。私は聞こえなかったことにしてその場を立ち去った。


 ***


 自室に戻った私はまず荷物の整理を行った。使わないものはすべて倉庫にいれてしまう。

 武器と防具の具合を確かめ、耐久度が著しく減っている物を修復する。

 身支度を終えて、自分の現在の状態を確かめるべく、ステータス画面を開く。


「そういえば、久しぶりにみるなぁ。『ALLステータス』」


---------------------------------------------------------------------

キャラネーム:くぅーねる(女)

種族:イーターマン【Eaterman】

ステータス一覧

LV:9

JB:調理人(見習い)

HP:30

MP:11 

SP:14 

STM:∞

STR:18

VIT:16

DEX:26

INT:10

メインスキル:

★食べるLv5<エンラージLv2、識別(味覚)Lv3> 

★無限を秘めし4つの胃袋(1/4)Lv1<消化促進Lv1、状態異常耐性、★???> 

拾うLv2<高速採取>、投げるLv3<精密Lv2>、調合Lv1

装備一覧

武器:ペティナイフ(×10) (ATK:3 斬)

頭:見習い調理人の帽子 (D:1 MD:1)

首:ストロベリースカーフ(D:2 MD:1)

体:見習い調理人の服  (D:1 MD:1)

腕:なし

腰:カボチンエプロン  (D:3 MD:1)

足:見習い調理人の靴  (D:1 MD:1)

その他:素魚のブローチ (D:5 MD:15)

総合:ATK3(×10)

  :DEF13

  :MDF20

装備品スキル:墨煙幕、水耐性(弱) 

---------------------------------------------------------------------


「やっぱりイーターマンの成長率はきつい……」


 消化促進でステータス上昇にボーナスが入ると言っても確実じゃない。

 どんな物を食べれば何が上がるのか、未だ不明な部分があった。

 今のところ、余計な物にステータスが入ってないのは良い事だけど。

 ……そういえば、変なスキルを覚えてる。


「これなんだろう……まだフラグが立ってないのかな」


 無限の胃袋から名称を変え、★無限を秘めし4つの胃袋(1/4)となったこのスキル。

 何かが4分割されてるらしいが、今のところは以前と変わらない。

 ★???となっている付属スキルも今の所不明。


「弱くなったわけではないんだよね。むしろスキルがランクアップしたっぽいけど」


 手がかりが少なすぎるので、この件については保留するしかないか。

 それより、問題なのは。

 

「パーティーに参加か。どうしよう」


 いくらレベル差があるからとはいえ、おんぶに抱っこは嫌だ。

 何かサポート出来ることがあればいいんだけど。


「カボックさんが前衛で壁担当。

 シーラさんが前~中担当。奇襲攻撃による削り役で

素早さを生かして補助にも行けそう。

 マイルさんはちょっと分からないけど位置は後衛。恐らく遠距離攻撃役で、

フィールド全体を見て、パーティーのHP管理とか指示を出してそうだ」


 何か私が手助け出来る部分無くない? 

 ……ってそりゃそうだよ。ずっと3人でパーティー組んでるっぽいし、

どう動くかとか、立ち位置はこうだとか決まってるんだろう。


「そうすると、私は下手に動かないほうがパーティーのためと言えるね」


 だけど、いるだけってのはなんか嫌だな。

 何かないかな……戦闘面じゃなくてもいいから、何か3人の手助けになれること。


「あ」


 私はぽんと手を叩く。いいことを思いついた。

 思い立ったら即なんとかと言うので、私は部屋を出ると店の方に戻った。

 たぶん、お母さんは店にいるだろう。


 ***


「それじゃあ、やりますか!」


 私は腕まくりをして、テーブルに向き合う。

 場所はアリアドリィーネとバトルを繰り広げた地下にある作業室だ。

 カボックさんが私の作ったアリアドネの香糸を見た時に、

「マイルだって作成するのに時間がかかるのに」と言っていたのを思いだし、

私は生産職らしくアイテムでパーティーをサポートすることにした。

 本当は調理人なんだから、料理でと言いたいところだけど、

悲しいかなまだ調理のスキルを持っていない、調理人(仮)な状態だ。

 お母さんに事情を話したところ、この部屋を自由に使っていいと言われた。

 余談だが、迷子になるのは明白なので、ここまでホームキーで移動できるようにしてもらった。


「回復アイテムを大量に作っていったらいいと思うわ。あの子たちかなり無茶するし。

マイルはストッパー役にしては、ちょっと押しに弱いから。

 あと、魔術系の攻撃アイテムもあるといいわね」


 お母さんは的確なアドバイスと幾つかのレシピを私にくれた。

 なんだかんだ言って、やはり頼りになるのは母である。

 私は鍋に大量の水を入れて、火にかけるとアイテム作成に集中した。


「そうだ。どうせならアリアの実も何かに使えないかな」


 ごそごそと道具袋をあさり、取り出したのは艶やかな赤い果実。

 熟れた果実の良い匂いがする。

 食べてしまいたい誘惑をぐっと抑えると、私は泡立つ鍋の中に果実を放り込んだ。


「レアリティが高いし、何か良い効果が付くといいなぁ」


 もし、効果が付かなくたってアイテムの品質は上がるだろう。

 私はこの時、そう甘く考えていたのである。

 のちにあんな出来事が起こってしまうなんて。この時の私に知る術は無い。

 鍋の中の薬が出来上がるまで、私は他のアイテムも作成すべく材料を処理していった。


「ざっとこんなもんでしょ。

 ……久々の生産だからはりきって作りすぎたかも」


 1時間後、テーブルの上には作成したアイテムがずらっと並べられていた。


 ・粉塵袋(N+)×10

 ・フレアマジックボム(HN)×5

 ・フレアサークルロープ(R)×3

 ・青汁ジュース(HN)×9本

 ・アリアジュース(SR)×1本


 粉塵袋はモンスターにぶつけたら、破裂して袋の中身が飛び出すという

ちょっとした嫌がらせ武器だ。

 軽い状態異常を引き起こし、敵を足止めするのが目的である。

 あとは、火に弱いモンスターが多いだろうと思って、魔石を砕いて、

火属性の爆弾と範囲攻撃が出来るロープを何個か作っておいた。

 回復アイテムはポーションを作ったつもりだったけど、

入れる薬草が多すぎたのか、それともアリアの実のせいなのか、

なぜか青汁ジュースへと変化してしまった。効果は問題なかったので、大丈夫だろう。

 で、1つだけ厄介そうな代物が出来上がった。


「SR……」


 その文字を見ただけで、私の頭の中は真っ白になる。

 なんでこれ1つだけ、こんなことになったの?

 範囲回復(特大)、状態異常解除+耐性強化、全ステータス上昇(小)、成長促進

 その凄まじい効果にアイテムを持つ手が震えてしまったのは仕方ないことだ。

 アイテム使うの勿体ない病を何とか沈めると、作成したアイテムは全て道具袋の中へとしまう。

 ちょっと、重いかと思ったけど……うん大丈夫だ。


「ふぅ……じゃあ、カボックさん達のところへ行こう」


 準備を整えた私は作業室を出て、カボックさん達が待つ店の方へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ