15品目:資金調達
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学校から帰ってきて、学生の本分である勉強を嫌々ながらこなす。
ご褒美にミセドのドーナッツを堪能して一息ついたあと、
私は神々の再宴にダイブインした。
『>くぅーねるのダイブインを確認したおん。
おかえりおんおん! 遅いおん! 寂しかったおん、心配したおん』
システムメッセージであったおんちゃんが、さらに懐いていた。
なんかNPCみたいに良くしゃべるようになった。
「ただいま。おんちゃん。一気に愛嬌が出てるのはなんで?」
『>だ、だめおん? おんちゃんのメッセはだめおん? 消されるおん?
前のピコンっていう機械的な音と事務的なお堅い文のほうがいいおん?』
「そりゃ堅苦しいよりは気楽な方がいいけど。うーんいいの、かなぁ?」
なんか、その前の彼女の方がいいの!? 私じゃだめっていうの? って感じに
ヤンデレ気味な彼女に攻め寄られてる気がする。
律子といい、わけあり恋人ごっこでも流行ってるの? と聞きたくなる。
『>やったおん! おんちゃんでいいんだおん♪ ふふんだおん♪』
「あーはいはい、そうだね」
絶対ドヤ顔してるよねおんちゃん。まあいいかぁ。
『>あ、前回のアイテムの識別結果が出てるおん! 確認しとくおん?』
「おーそういえばそうだったね。お願いする」
『>わかったおん。ずらっと表示させるおん!』
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素材「雑草(N)」
説明しよう! この草は雑草である!
農業系スキルがあれば、家畜の飼料作りの材料になる。
効果:満腹度上昇(微)
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素材「ただの道草(N)」
説明しよう! この草はただの道草である!
ただ通りすがりの馬さんの証言によると「雑草よりは大変魅力的な味がする」とのこと。
家畜系のモンスターやペットが足を止める程度の旨味があるようだ。
効果:満腹度上昇(微)、モンスターを引き寄せる(小)
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素材「野草(N)」
説明しよう! この草は野草である!
この草が花を咲かすと、「野に咲く花(R)」というアイテムに変化する。
ただし、花が咲くものはごくごく稀である。
効果:満腹度上昇(微)、アイテム変化?(極稀)
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素材「死相の葉(HN)」
シソの葉に大変良く似た毒の植物。葡萄の匂いがするので、見分けるのは至極簡単。
類似する植物に「シソの葉(N)」「思想の葉(HN)」「始祖の葉(SR)」というのがある。
効果:満腹度上昇(小)、毒付与(中)、麻痺付与(稀)
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「説明文短っ! ドン栗はあんなにずらずら文が並んでたくせに、
今回短くない? あと馬の証言ってなんなの?」
別の人がテキストを書いたのか。もしかすると、毎回ドン栗みたいな長文を書かれると
困るからって、違う人がテキストを請け負ったのかもしれない。
でもただの道草に関しては、ドン栗と同じ人が書いた感じがする。なぜだろう。
「う、それよりこのアイテムか……私が死亡する原因になった『死相の葉』」
毒だけならまだしも、麻痺まで……。幸いものすごく低確率らしく、麻痺には
ならなかったようだ。けど、食べた枚数が枚数だったので、毒を通り越して、
猛毒状態になってしまったらしい。
「さーて、これからどうしようかなー。防具は……敵にやられたわけじゃないから、
そんなに破損してないね。このまま探索再開と行こうかな」
流石に今日は無茶はしない。南瓜公園の入口でネズミパーティに専念しよう。
それで小金を稼いで、何か使えそうなスキルを買わないとな。あと地図も。
私は道具袋の中を確認する。
「ドン栗、雑草が数点……か。さびしい収穫だなぁ」
森の中を彷徨ってただけだからしょうがない。
幸い森なので、植物の種類が豊富なのはわかる。最低ランクの採取スキル「拾う」でも色んな種類の雑草が取れるほどだからね。
……役に立つかは不明だけど。
「薬とかに合成したら、役立ちそうな効果はいっぱいあるみたいなんだけど。
このままじゃただのゴミだわ」
拾ってもゴミになるなんてもったいない。食べ物を粗末にしたら罰が当たるってばあちゃんも言ってるしね。よしとりあえず方針は決まった。
「小金を稼いで、スキルを買うということで! よーし、南瓜公園にGO!」
『>やってやるおーん!』
「いや、おんちゃんは何もしないでしょうに」
おんちゃんの発言につっこみを入れながら、私は再び南瓜公園に入っていった。
***
「大収穫ーおなかもいっぱいー。けどそろそろ料理が恋しいわ。
文明的な物が食べたい」
きゅっきゅと鳴くネズミ達とバトルを繰り返し、肉を食べたり、素材を拾ったりすること数時間。
道具袋が重さ制限で入れられなくなったところで、
私は南瓜公園の入口に戻ってきた。
レベルがまた1つ上がってる。そろそろ上がりづらくなってきたけど。
品質劣化するものを素早く倉庫に放り込んで、私は南瓜公園を後にした。
素材を売ってお金にするため、自販機へと向かう。
「えっと……『売却』っと」
目的の場所にたどり着いた私は自販機のメニューから売却を選択。
機械音を発しながら、自販機からトレーのようなものが出てきた。
ここに置けということらしい。
私はスローイングラットからドロップした、毛皮やら尻尾なんかを並べていく。
あとついでにドン栗も数個置いておく。少しでも足しになればいいけど。
「『実行』」
素材を乗せ終え、実行ボタンを押すと
素材を乗せたトレーが自販機へと吸い込まれていった。
モニターに「処理を実行しています。しばらくおまちください」と
文字が表示されたので、おとなしく待つこと数分。
モニターに金額と素材の査定額が提示される。
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売却内容
スローイングラットの尻尾×12→1本30ジュゲム
スローイングラットの毛皮×5→1枚100ジュゲム
二股のしっぽ×1→1本500ジュゲム
ドン栗×10→1個10ジュゲム
合計:1460ジュゲム
以上で売却しますか?
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「ん? なんか変なアイテムが混ざってる」
どうやら全部同じネズミの尻尾だと思っていたが、1つだけ普通とは違う尻尾が
混じっていたらしい。金額からしてレアアイテムっぽいな。
「ま、レアなアイテムを持っていたところで、今の私には宝の持ち腐れ。
売ってお金にした方がいいでしょ。『はい』っと」
売却が完了しましたとモニターに表示され、取引完了。お、増えてる増えてる。
さて、資金も手に入ったことだし、まずは。
「『ホームキー』起動ー」
『>自宅に転送するおん。ワープだおん♪』
とりあえず、自宅に戻る。南瓜公園の探索結果をお父さんとお母さんに報告したいしね。
べ、べつにごはん目当てじゃないからね。
食堂だし、まかない料理とかあるんじゃないかなーって思ったわけじゃないから。