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カラープレデター   作者: 和銅修一
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アンデッドグリーン①

 さっそく桜の噂は広まった。

 容姿端麗、頭も良く、運動神経もいい。

 それにあの性格は一部の男子にはたまらなくらしく、ファンクラブが結成されたらしい。

「だけどよりにもよってシャリル先輩のクラスとはな」

 昼休み。柑奈の特製弁当を頬張りながら愚痴を言う。

「それはあんたの知り合いとあの新種の色怪と何らかの関係があるって櫂音さんが言ってからよ。それにここにいるよりはマシでしょ」

「それもそうだな」

 あんなのがクラスにいたら最悪だ。

 桜のファンクラブに入っている人なら喜びそうなものだが、そんな特殊な性質はしていない。

 そこだけを考えるとこのクラスでなくてよかったがはずこの学校に来て欲しくなかった。

 調査なら仕方ないといえば、仕方ないのだが彼女は目立ちすぎる。そのせい知り合いだということでこちらに被害がくる。特にファンクラブの人たちのちょっかいが酷い。

「はぁ……」

「何ため息なんてついてるの。あたしはそんなことしていいと一言も言ってないわよ」

 この声、といより言葉遣い。間違いなく桜だ。顔を見なくてもわかる。

「なんでため息をつくのにお前の許可をもらわなくちゃいけないんだよ桜」

 そんな桜は真の隣の席に座る。

「あら、私はあなたを監視してるのよ。そしていつでも斬ることはできるわ。だから私生活にも気を使いなさい。王となる者は堂々としてなくてはいけないわ」

 そういえばまだ桜は王として認めてくれていなかった。

 だが真も王になる気はないのでどうでもいいのだがそれだと桜に斬られてしまう。

 それにシグレや櫂音さんから話を聞いてみると色怪は長を失って混乱しているらしいし好き勝手に人間に危害を加えたりする色怪が増えてきたらしい。

 ならば誰かが王となり、色怪たちを鎮めなくてはいけない。

 他の王の素質の持ち主は桜の様子からしてあまり期待はできない。

 だから自分がやる。それが人間として素質を持った義務なのだ。

「はいはい。できるだけ気をつけますよ先輩」

「は〜〜い」

 気の抜けた違う先輩から返事が聞こえた。

「シャリル先輩、どうしてここに?」

「もうすぐ授業始まるからこの()を迎えに来たのよ」

 そう言うとか細い腕で桜を引きずって行った。

「あいつは何しに来たんだ?」

「さぁ、知らないわよそんなの」

 最近シグレはイライラしていることが多い。

 なぜかは知らないが早くどうにかして欲しいところだ。このままだとこっちに被害が起きそうだ。




「柊先輩、どうもです」

 放課後、シグレは霧香と桜はシャリル先輩と帰ったらしい。

 そして俺は校門で待ち伏せしていた蓮香に捕まった。

「柊先輩、例のアレ覚えてますよね」

 アレ? 一体なんのことだろう。桜の事とかあって何も覚えていない。

「その顔……忘れましたね」

「う……す、すまん」

「まったく、約束を忘れるなんて酷い先輩ですね」

 もはやその先輩としての威厳などない感じだ。むしろ最初からそんなものはなかったが。

「で、その約束って?」

 約束をしたなんて一切記憶にないが、蓮香がそう言うのならしたのだろう。約束は守らなければ。

 それは男としての意地である。名前が女に似ているとバカにされた男の一つの意地である。

「たこ焼きですよ、たこ焼き」

 やっと思い出した。霧香の怒りを蓮香に鎮めてもらう時に確かそう自分で言った。

「ああ、そういえばそうだったな。わかった(おご)ってやるよ」

「ありがとうございます柊先輩。じゃあ、私が知っている店に行きましょうか」

 彼女の小さな背中について行き、真はその店へと向かった。




「おや、蓮香ちゃん。今日は彼氏連れかい?」

 店のおじさんがちょっかいを出してくるが、蓮香は冷静に首を振った。

「この人はただの先輩です。こんな女たらしと付き合うわけないですよおじさん」

「でもここに連れくるってことは随分気に入ってるんだろ?」

「そ、そんなことありません」

 少し顔を赤らめて下を向く。

「そんなことよりいつものください」

「はいよー」

 おじさんは手際良くたこ焼きを回転させ、箱に入れるとトッピングを添えて蓮香に渡した。

「ほい、ちょっとおまけしといたよ」

「ありがとうございます」

 そへを受け取った蓮香はすぐ近くにあるベンチに座り、真もそれに続いた。

「はふっ、はふっ。やっぱりここのたこ焼きはいつ食べても美味しいですね」

「さて……俺はやる事あるから帰ろうかな

〜」

 いつ色怪が襲ってくるとも限らないので、できるだけ外を歩き回りたくない。

 だから嘘をついてまで帰ろうとしたが蓮香が服を掴んで離さない。

「先輩、彼女さんのところにでも行くんですか?」

「彼女? 俺はそんなのいないぞ」

 もちろん、昔にもそんなものいなかった。いわゆる彼女いない歴=年齢というわけだ。

 そんな俺に友達がいたとしても彼女はいない。

「でもシグレ先輩とか最近転校してきた桜先輩とも仲良いんでしょ」

「まぁ、そうだな。でもそれが彼女に繋がるとは限らないだろ」

 しかもこの二択は究極だ。二人とも性格が少し残念な感じ。それではどちらを選んでも同じだがとにかく付き合ってはいない。

「そうですね……私がどうにかしていました。でもまだ頼みますんで帰らないでくださいね」

 その後、真の財布は軽くなった。

「ふふふ、ラストいただきま〜す」

 最後に頼んだパックのたこ焼きを見せつけるように食べようとする。

 それにムカついた真は横からそれを奪い取った。

「あああ〜〜〜」

「うん、確かに美味しいな」

 フワフワでトロトロのそれを食べ終えて、そのまま家に帰って行った。




「はぁ、私どうしたんだろう」

 なぜあんなことを聞いてしまったのだろう。

 彼女がいるかどうかなど。

 姉様のために聞いたのだろうか、それとも自分のためなのだろうか。

 よくわからない。ただのイライラして腹が立つ。聞かずにはいられなかった。

「まぁ、たこ焼きたくさん食べれたしいいかな」

 途中から数えるのが面倒になるまで食べまた。これは私は混乱させたという一方敵バツだ。

「だけど最後のたこ焼きは……」

 そう取られてしまった。横からバクリと。

「えっ⁉︎ これって間接キス?」

 爪楊枝(つまようじ)は変えていなので間違いない。

 蓮香の顔は自然とリンゴのような赤に染まった。

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