12月19日
改札を抜けると、そこはもう別世界である。
ディバックのポケットからiPodを取り出して、スイッチを入れる。
耳を劈くような爆音、一気にテンションをMAXに上げてくれる音楽が流れ出した。
ふうっと一つ息をついて、私は音楽に身を任せながらてくてくと歩き出す。
心躍る、カラフルでポップな看板。
通りには『限定!』、『新作!』というPOPが張り巡らされた、小さな店がひしめき合う。
ジーパンにリュックの定番スタイルに身を包んだ男の子達は、PSPを手に無言でオンラインゲームに興じる。
ここは私にとって…聖地だ。
おおよそ近所では見られないような、サテンのミニスカートにフリフリのカチューシャをつけた女の子が、ピンクの看板を持って数人のお兄さん達を誘導しているのが不意に視界に入り…思わず、眉を顰める。
「聖地で三次元の誘惑に屈するなんて…修行が足りんぞ、お兄さん方」
つぶやいてみるけど…まあ、他人のことはどうでもいいや。
今日の目的はただ一つ。
行きつけのゲームショップの店先で、今日発売のRPGゲームを発見する。
このゲーム自体はそりゃ全国どこでも買えるけど、ネットの情報によると、モンスターやアイテムが豊富な初回限定版はここでしか売っていない。
これは絶対GETしなければ!と思って…
私はホームルームが終わると同時に、教室を飛び出したのだった。
数枚しか残っていなかった限定版のゲームソフトを手に、ほくほくしながらレジに向かう。
『あなたもう少し、そういうの控えたらどう?』
お小遣いをくれながらお小言を言った、ママの顔を思い出す。
はいはい、とその場は適当に答えて家を出たのだったが…
別にいいじゃない、人の好みはそれぞれでしょ?
今の私にとってはゲームが一番なんだもん。ずっとこうかどうかはわかんないしさ。
…と。
「あれ?」
同人ゲームの棚に並ぶ、一枚のパソコンゲームが目に留まる。
炎の赤が鮮やかなパッケージ。
何のゲームだろう?
こんなもの、今まで買ったことは一度もないのだ。
けど………なぜか無性に欲しくなってしまった。
裏を見ると、何やら説明書きは英語になっている。
ちゃんと読めば読めるのかもしれないけど…めんどくさい。
でも…エロゲだったら困るな。
きょろきょろ周囲を見回すが…
皆棚に並んだゲームに没頭しており、私のようなもっさい女子中学生を気に留める者など一人もいなかった。
えーい、ままよ!
私はそのソフトを、お目当てのソフトの下に滑り込ませるとレジに向かった。
「お帰りなさい、遅かったわねぇ」
隣の部屋から出てきたお姉ちゃんは、私の手にしている紙袋を見て、苦笑しながら言う。
「またゲーム?」
「そうだけど…何か文句ある?」
別にないけど…と笑いながら、お姉ちゃんはぶ厚いメガネを外す。
「お母さん嘆いてたわよ?すずのゲームオタクっぷりには困ったもんだって」
そりゃ…と私は、お姉ちゃんのメガネに視線を落とす。
「私はお姉ちゃんみたいに成績良くないけどさ…」
私とお姉ちゃんは中高一貫の学校に通っている。お姉ちゃんは、その中でも特進クラスのトップを常にキープする、超エリートなのだ。
いつも勉強ばっかりしてるから、そんな牛乳瓶底メガネかけなきゃなんないんだよ…
と、心の中でつぶやく。
「別にお母さん、すずに勉強して欲しいって言ってるわけじゃないのよ?もうちょっと普通の中学生らしく、洋服とか音楽とか…そういうのに興味持ってくれたらいいのにって…」
「そんなこと言ったらさぁ」
思わず、不機嫌な声を出してしまう。
「お姉ちゃんだって、普通の高校生みたいじゃないじゃない!?ずっと図書館とうちで勉強ばっかしててさぁ、クリスマスも来るっていうのに彼氏の一人もいなくてさぁ…」
ブーメランのように自分にも跳ね返ってくる言葉だが…致し方なかろう。
それはそうなんだけど…と困り顔で笑うお姉ちゃん。
「でも、私は休みの日友達と出かけたりとか…するじゃない?」
「たまーにね!ごくたまーに!でもそれ以外はずーっと家にいるじゃない?」
「だって休みの日は…家事とかもあるでしょ?」
………う。
うちのママはいわゆる、シングルマザーである。
パパを突然の病気で亡くしてからというもの、バリバリ働きながら女手一つで、私とお姉ちゃんを育ててくれている。
そんなわけなので、休みの日くらいはのんびりしてもらおう…と、優しいお姉ちゃんは休みの日の掃除洗濯料理…といった家事全般をかって出たのである。
なんて美しい親子愛。
そして、めんどくさがりの私は…蚊帳の外で、ゲームばかりしている。
悪いなぁって…思わないわけじゃない。
だからこそ………
言われると…余計に腹が立つわけで。
はたとひらめいたことがあったので、気を取り直して反撃に出る。
「お姉ちゃんさぁ…私のことゲームオタクっつったじゃない?」
「…認めるでしょ?」
まぁそうだけどさ、とつぶやいてお姉ちゃんを睨む。
「お姉ちゃんだってアイドルオタクじゃない?何なのよあのポスター、高校生にもなってあんなもんデカデカと貼ってさぁ、ちょっとやり過ぎなんじゃないの?」
え?と少し顔を赤らめるお姉ちゃん。
「でも…オタクっていうほどじゃないでしょ?追っかけやってるわけじゃないし、それに………」
「ドラマ録画して何回も観てるでしょー!?ゲーム何回もやる私とおんなじじゃん!」
「…そうなんだけど………」
………勝った。
でも…お姉ちゃんは滅多に怒らない。ほんとに絵に描いたような良い子なのだ。
それに…更に腹が立ってしまって、私は乱暴に部屋のドアを開けた。
「もう、いいでしょ!?ほっといてよもう!」
新作ゲームは…はっきり言って糞だった。
「あーーーあ、もう!つまんないなぁ」
せっかくダッシュで買いに行ったのに…
夕食のハンバーグをもりもり食べて、ネット上の『掲示板』に『ひどすぎる』と書き込んだら、少しだけすっきりした。
ふと、ゲーム屋の袋の中に残る、もう一枚のソフトが目に留まる。
…試してみよっかな?
データを読み込んで、パソコンがカタカタ音を立てる。
黒い画面に現れた、赤い文字。
『Let’s play the GAME』
『your name? : 』
点滅する記号の横に、アルファベットで『Suzu』と入力する。
『それ、どういう意味?』
いきなり表記が日本語になって、ちょっと驚く。
手抜きだなぁ…
「どういう…って言われてもねえ」
しばし、考え込む。
…ちょっと凝ってみるか。
『誰が猫にすずをつけるか?のすず』
「…なんだそれ?」
はっとして振り返る。
「?」
「………きゃああああああ!!!!!」
ばたばたとママが階段を登ってくる音。
「どうしたの、すず!?」
部屋のドアが開いて、隣の部屋にいたお姉ちゃんが、大声で言う。
「あっ…あれ………」
震える指で指差そうとして………
…あれ?
誰もいない。
さっきの………???
「すず!?」
ママがすごい形相で部屋を覗き込む。
「あ………ごめん、何でもない」
もお、とママがため息をつく。
「また怖い動画でも見たの?」
「…また?」
尋ねるお姉ちゃんに、お母さんが呆れたように笑って答える。
「この前ね、あなたが模試受けに行ってる時にこの子、パソコンの動画見てていきなり悲鳴上げて…」
「もうっ、そんなことどうでもいいじゃない!大丈夫だからほっといて」
苦笑する二人を部屋から追い出して、また…パソコンのスクリーンを見つめる。
「なんだったのかなぁ、今の」
『悪い、驚かせちまったみたいだな』
………!?
スクリーンを凝視する。
『もいっぺん、そっちに行ってもいいか?』
言葉が出ず…小さく頷く。
「で、『誰が猫にすずをつけるか?』って何だ?」
振り返ると。
ベッドの上に、浅黒い肌の若い男があぐらをかいて座っていた。
黒い髪に、少しつり上がった赤い目。
黒い袖なしの服に身を包んでいて、赤いターバンを巻いている。
不思議そうに見つめている男に、震える声で、童話よ…と答える。
「昔ある所で、ねずみ達が猫から身を守る手段を話し合っていました。その時誰かが言ったのです。『そうだ!猫の首に鈴をつければいい』」
「…ほお」
「猫が鈴をつけてれば、ねずみ達は猫が近づいてきたのに気づいて、すぐ逃げることが出来るでしょ?でも…『じゃあ、誰が猫に鈴をつけるんだ?』って」
「…ふうん」
「猫に鈴をつけるのは大きな利益をもたらすけども、大きな危険も伴うっていうお話………わかった?」
つまり…と男は頭を掻く。
「すずって、あの…チリチリ音の鳴る鈴か。なあんだ、お前が難しいこと言うから、なんか違うのかと思ったじゃんかよぉ」
難しい…か?
「あんた…誰?」
ゲームの中から出てきた?
そんなの…常識的に考えて、ない。
一体どこの三流アニメだよ。
俺か?と男は不敵に笑う。
「サラマンドラ」
「………なに人?」
はぁ?と眉間に皺を寄せる男。
「人間じゃねえよ、精霊だ…お前あれだろ?あの街にいっぱいいる連中と一緒で、ゲームばっかやってんじゃねえのか?」
「………そうだけど」
他人に言われると…ちょっと腹が立つ。
じゃあ分かるだろ、と男は胸を張る。
「古くからの伝承を元にして、ああいうのって作られてるみたいじゃねえか。俺はあん中によく登場する、精霊様ってやつさ」
こいつ…私を馬鹿にしてんの?
恐る恐る…訊いてみる。
「炎の精霊の…サラマンドラ?」
そ、と楽しそうに私を指差す。
「当ったりー!何だお前、知ってんじゃん!?」
きょろきょろ、部屋を見回してみる。
「………これ、ドッキリ?」
「…信じねえのか?」
仕方ねえなぁ、と彼は、右手の人差し指を天井に向ける。
と………
彼の指先に、ガスバーナーくらいの赤い炎が現れる。
これ………
近づいてみると…ちゃんと熱い。
キャンプファイアーに近づいたみたいに、肌がヒリヒリする。
「…手品?」
「おめえは疑りぶかいなぁ…まあ、いいや」
赤い瞳がじっと私を見る。
「すずっつったか?」
「…うん」
彼は、にかっと笑って。
すず、ともう一度私の名を呼んだ。
「お前に手伝って欲しいことがある。一緒に来てくれないか!?」
その道中。
これはやっぱり夢だ…と思った。
「きゃあああああ!!!!!」
「だぁぁぁうっせえ!!!少し静かにしろ!静かに!!!」
有り得ない。
私は…その男と一緒に空を飛んでいた。
しかも、かなりスピードが出ている。頬に当たる風が痛いくらいに。
ということは…やっぱり夢じゃないのか。
「なっ…何っ!?…何なのこれ!?…ねえあんた一体何者なのよぉ!?」
「だから言ったろ…精霊だって」
「そんなの本当にいるわけないじゃない!?ゲームの中のお話でしょ!?」
「ゲーム…そうだな」
彼は楽しそうに微笑んで、私を見る。
「そんなら、それでもいいや…お前は今、ゲームの中にいるんだよ」
彼の余裕の笑みを見ていたら、何故だか恐怖がすっと消えてしまった。
ゲームの中…
行ってみたいと思っていた…叶う事なき夢の世界。
普通の女子中学生が、ある日突然ゲームの世界に?なんてありがちな…
しかも、こいつ…よく見ると、なかなかのイケメンだ。
お姉ちゃんのお気に入りのKEIってアイドルは、イケメンでももっと女性的な感じだけど。
彼は精悍な雰囲気で、海賊とか賞金稼ぎとかみたいな…そんな雰囲気。
これ…ありじゃない?
「でも…ゲームって、何のゲームよ?」
目下に広がる夜景に少し見とれながら、尋ねる。
「んー…言うなれば、陣取りゲームか?」
「陣取りゲームって…シュミレーションRPGみたいなもん?」
「………なんだよ?それ」
彼はあまり、ゲームに詳しくないらしい。
説明すると、いや、それ違う…と首を振られた。
「もっと単純なもんだよ…敵を自分の陣地に入れないために戦う、そんだけ」
「………戦う?」
「勿論敵を攻めてもオッケーだ。全部の敵を倒して陣地を手に入れれば、それでクリア。けど、最低限自分の陣地を守り切れれば、俺はそれで十分だと思うぜ」
「クリアしたら…どうなるの?」
「お前さんの願いを…何でも叶えることが出来る」
ぞくっと鳥肌が立つ。
と。
「着いたぜ、すず」
空中で急ブレーキをかけて、とん…と地面に柔らかく着地。
「ここは………」
もう少し早い時間だと、立ち並ぶ電気店のネオンも煌々と綺麗なのだが。
深夜のこの時分は真っ暗で、全く人気がない。
きょろきょろしている私の背中を、サラマンドラがとん、と叩いた。
「お前…武器は何が扱える?」
「………武器ぃ!?」
そんなもん、使えるわけないじゃない。
「銃は…使えるか?」
「使えるわけないでしょ!?そんなもん、この平和な国で、私みたいな子供が使えたらおかしいでしょ、常識的に考えて!!!」
「引き金を引くだけでいい…なら、出来るな?」
「そんなもん、出来るわけ…」
「シューティングゲーム、この街のゲーセンで、よくやってただろ?」
………ぎょ。
ぞおっと背筋が寒くなって…か細い声で、何とか尋ねる。
「あんた…何でそんなこと、知ってんのよ?」
「見てたんだよ…お前さんのこと、さ」
………何なんだよそれ!?余計わかんないよ!!!
いつの間にか…
サラマンドラの声は、厳しく低いものに変わっていた。
目つきも鋭くなって…前方の一点を、じっと見つめている。
「…お出でなすったぜ」
「………!!!」
遠く前方に見えたもの。
それは…
土の塊で出来た、巨大な人形のようなもの。
しかも…幾つも幾つも。
数え切れないくらいの土人形が、ゆらゆら体を揺らしながら、こちらへ近づいてくる。
はっと息を呑む。
ピシャリ、と両手で頬を叩いてみる。
…夢じゃない。
くるり、と回れ右をする。
「……………無理っ」
走り出そうとする私の腕を、サラマンドラの大きな手がむんずと掴む。
「こらお前っ…どこ行くんだよ!?」
「いやぁ離して!!!私には無理!お家に帰らせて!!!」
「ちょっと落ち着けっつってんのがわかんねーのか、すず!!!」
「ママぁーーー!!!助けてぇーーー!!!」
その時。
土人形達が、一斉にこちらへ突っ込んできた。
「きっ…来た…来た来た来たっ!!!サラマンドラぁ!!!」
「…ったく」
彼は私を背後に庇うと…両手を肩の高さに広げ、何か唱え始める。
知らない…どこか遠くの国の言葉みたい。
すうっと息を吸い込んで、目を閉じる。
「…サラマンドラ?」
「………出でよ」
彼がかっと目を見開くと…
アスファルトを突き破り、幾つもの火柱が上がった。
「…ひっ………」
キャンプファイアーの比じゃない………喉が焼けそうな熱さ。
火に包まれた土人形は、ちりちりと燃えて空中に消えていく。
しかし………
「まーだまだ…来るみてえだなぁ」
「…そんな」
また何か唱え、彼は前方に右手を突き出す。
その手の先から…激しい炎が放たれた。
この世のものとは思えない、恐ろしい悲鳴を上げながら…土人形達は消えていく。
崩れ落ちた土人形の破片は、アスファルトの上でメラメラと燃え続けていた。
「………すっごい」
「だろ?でも………まだまだ来るぜ」
依然数が減る様子のない、気持ちの悪い土人形達。
だが、厳しい声のサラマンドラも…余裕のありそうな口調で、私に声をかけてくる。
「すず…お前もやってみるか?」
「………やってみる…って」
「さっき言ったやつだ…シューティングゲームだよ。勝てねえ相手じゃねえとは思うんだけどな、いかんせん数が多過ぎだ…正直埒が明かねえんだよ、ちょっとばかし手ぇ貸してくんねえかな?」
彼は赤い瞳で私を見つめ…にやりと笑う。
呆然とした気持で、もう一度前方を見る。
燃える炎と、陽炎の向こう側でゆらゆらしている、沢山の土人形達。
…夢じゃない。
でも…これはゲームだ。
そして…私はプレイヤー。
敵から自分の陣を守るのが…プレイヤーの役目。
ぐっと拳を握る。
「………やる」
にかっと笑い、彼は左手を横に突き出す。
何か唱え…その手の中に、銃のようなものが現れた。
ゲーセンでよく見る…あの形。
手渡されたそれは意外と軽くて、レンジでチンしたみたいに熱かった。
手が慣れてきたので…構えてみる。
銃は何故か、しっくりと手に馴染んだ。
と。
土人形達はもう、目の前に迫っている。
サラマンドラと顔を見合わせ、すうっと、大きく息を吸い込んだ。
「………行くぜすず!!!」
「よっしゃあ!!!」
ぐっと右足を踏み込んで、右手を突き出すサラマンドラの前方に、今までで一番大きな炎が上がる。
私も引き金を引いて、撃って撃って撃ちまくる。
リロードは無いらしいので、ひたすら撃つ。
銃口からは炎の塊が飛び出し、土人形に『当たると』一発でその体を破壊した。
燃え盛る炎で、顔も喉も目も痛い。
でも…そんなこと言ってられない!
「行け行け行け行けぇ!!!」
連続して響く銃声と、次々に前方に上がる火柱。
そして。
突如起こった熱風に煽られ、どしん、と尻餅をつく。
「いったぁい………あれ?」
慌てて立ち上がってみると…
いつの間にか、目の前の敵は…全部居なくなっていた。
燃え残った破片が、まだ黒い煙を上げている。
ぺたりとその場に座り込む。
アスファルトはひんやりと冷たい。
はぁ………
両手も地面に突いて…また、ため息。
ふう、とサラマンドラも一つ息を吐いて、ゆったりしたズボンのポケットに手を突っ込む。
そして…少し醒めた目で私を見下ろした。
「お前………一体何体倒したよ?」
「えっ…えっとぉ………」
こいつがゲーセンで、一体何を見ていたのかは知らないが…
私は正直、シューティングゲームが得意ではない。
でも、ストレス解消になってすっきりするから好きで…よくやってた『だけ』。
「地面ばっか撃ってたじゃねえか」
「………だってぇ」
見ると、傍にあった銃は消えてしまっている。
ぽりぽりと頭を掻く、サラマンドラ。
「あはは…ゲームって………難しいのねぇ」
「………お前、明日から特訓な」
静まり返った街の大通りは…ぽっかり浮かんだ月の明かりに、ふんわりと照らされている。