二話 クズ共を、通報せよ。
この物語はフィクションです。
僕はそっと陰から様子を見る。
「やめて! お願い! お願いします! 何でもしますからぁぁあああああああああ!!!」
耳を塞ぎたくなるようななぎさの悲鳴が聞こえてくる。なぎさは僕がずっと好きなクラスメイトだ。僕は落ち着いてケータイで警察に連絡を入れる。
「はい、警察署です」
「もし、も、もしもし……」
「はい」
「い、いま、ここで暴力を受けている人がいるんですが。男の人たちじゅう……なな名ほどで」
「わかりました。場所はどこですか?」
「はい、えーと……」
そのとき、電話を当てていた左側からすごい衝撃とともに僕は横に吹っ飛んだ。携帯は木っ端微塵となり、飛んでいく。――やばい。
「ようよぅよぅ! かーたーやーまーくーん! こんな時間に君みたいな優等生がなぁーにやってんすかぁ? あ、もしかして俺らの団に入れてほしいとかぁ?」
彼らは日本語をうまくしゃべれないらしい。一回病院行ってこい。僕がいいところを教えてあげる。
「なぎさをはなせ」
「あぁん?」
金髪に髪を染めた彼はほかの仲間等に合図をして僕の周りを取り囲んだ。
「か、片山君! 逃げて!」
なぎさの悲鳴が聞こえる。逃げれるもんなら逃げてるさ。
「どういうことだよ! おらぁ!? ケーサツに電話してたんだろぉ?」
「はは、あはははは!」
「何がおかしいんだっ!」
ッッ! 僕は顔を蹴られた。だがしかし、僕はマゾ体質な為に効果がないというか逆に興奮してしまって困る。
遠くで警察のサイレンが鳴る。やっぱり最初から目星をつけていたのだろう。
「やべ」
誰かが叫ぶ。
――その一瞬の隙をついて僕はリュックサックから筒型のものを取り出した。
「死ねぇぇえええええええええ!」
ダダダダダダダ という音とともに銃口から釘が飛び出す。もちろん、脅しだ。自作の銃はどこへ飛んでいくかわからないために見当違いな場所をわざと撃つ。
「おい! やめろぉ! この女がどうなってもいいのかよぉ!?」
「っ」
僕は息をのんだ。警察のサイレンは遠くへ行ってしまっている。――まずい。
「さぁーて、おい、おめー、片山を拘束しろ――あん? 縄でもなんでもいい」
ボスらしき金髪クズは部下らしき銅髪(本当に銅色なのだ。茶髪でもない)クズらに指示をだし、僕に近寄ってくる。
「くっ……」
一触即発の空気。僕はそっと引き金を引く。――が、
「……はっはっは! 残念だったな、タマギレだってよぉー! ギャハハハハ!」
金髪クズが笑うと銅髪クズも笑う。ひどく滑稽に見える。もう僕は為すすべはない。
僕は奴らに縛られた。そして目の前にはなぎさがいる。
「やめろ……やめてくれ……なぎさだけは……」
「バカやろう、お前殺してもつまんねえからよぉ、ぉお、こいつ、こ、こここ殺してやるんだぉお!」
薬物にでも手を出しているのかろれつがまわらない金髪クズ。
だけど僕はなぎさのことで頭がいっぱいだった。彼女だけは――助けたい。
ここらに民家は全くない。
「手始めによぉー」