第1話 マイクラスキル
「は? モンスター不足?」
俺、佐藤和真(29歳・元ブラック企業営業)は、真っ白な空間で金髪ロリ神様(自称アテナ)に思わず聞き返した。
過労死して異世界転生とか、テンプレすぎる展開に内心ツッコミ入れながらも、目の前の状況はガチだった。
「そうです! この世界エルドラシアでは、モンスターが激減してまして……冒険者のレベル上げができず、経済が死に体なんです!」
「で、あなたに特別なスキルを一つだけ差し上げます! ご希望は?」
俺は一瞬「最強剣聖」とか言いそうになったけど、過労死の記憶がフラッシュバック。
……もう無茶な納期はいやだ。
「マイクラのクラフトシステム全部ください。インベントリも無限で。あとモンスター合成機能も」
アテナが完全にフリーズ。
「マイクラ……? あのブロックゲームの?」
「そうです。世界はそのままで、俺だけそのスキル使えるように」
「……わかりました。スキル【マイクラ式無限クラフト&モンスター合成(EX)】を付与します!」
光。
次の瞬間、俺は森の中の街道脇に立っていた。
目の前には普通の、めっちゃリアルな大木。
試しに右拳を握って、マイクラのノリでパンチ!
……ゴッ!!
「いてぇぇぇぇえええ!!」
骨がミシミシ鳴って、拳から血が噴き出す。
痛すぎて涙目になる俺。
そりゃそうだ。この世界、木を素手で殴ったら普通に怪我する。
でも、ステータスを開くと、確かにインベントリ欄が出現。
しかも、さっき殴った衝撃で木の皮が少し剥がれて落ちた欠片が……
【オークの樹皮】×1 自動的にインベントリへ!
「マジかよ……世界は普通なのに、俺だけマイクラルール適用されてる!」
試しに、道端に落ちてた小石を拾ってインベントリへ。
小石×4 → クラフト → 石の斧 完成!
できたての石斧を手に持つと、現実世界のように「重さ」と「握り心地」がリアルに伝わってくる。
俺はニヤリと笑った。
「よし、まずは木を切ってみるか」
ザシュッ! ザシュッ!
普通の木こりなら30分かかる大木が、俺の手にかかれば10秒で……
【オークの原木】×12 入手!
地面に転がる巨大な丸太を見て、通りすがりの商人が目を丸くしてる。
「な、なんだありゃ……素手で木を切り倒した……?」
俺は商人を無視して、原木をインベントリに収納。
そして、さっき拾ったスライムの残骸+ゾンビの腕+骨を合成テーブル(空中に展開)にポチポチ置いて……
クラフト!
光が収まり、目の前に現れたのは……
緑色の体にスライムのプルプル頭、ゾンビの腕が2本生えたキメラ。
【失敗作・ゴブスラゾンビ(Lv3)】誕生!
「……初納品決定」
俺はゴブスラゾンビを連れて、近くの村へ向かった。
掲示板にはデカデカと張り紙。
【緊急募集】モンスター不足につき、平原・森林に配置可能な弱〜中級モンスターを100体!
報酬:1体につき銀貨8枚 冒険者ギルド支局
俺はニヤニヤしながら、受付嬢に話しかけた。
「100体、3日で納品できます。契約書ください」
受付嬢、完全に固まる。
こうして、この世界で唯一の「マイクラスキル持ちモンスター派遣屋」が誕生した。
俺の名は佐藤和真。
この異世界のモンスター不足、俺が全部引き受けてやる。
(第1話 完)




