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第二十八話 出汁と窓

やっと出汁が手に入りました。ピーターさん達にはこれからもお世話になりそうですね。

 

 ピーターさん達から、大量の昆布とカツオが届いた。


 学園の皆と大喜びしたが、何かお返し出来るものを慌てて探すことになった。


 あちらに種がないであろうほうれん草ともろこしを、種の分以外あるだけ引き換えに渡した。食べ方もメモに添えておいた。


 カツオはまだ半乾きだったので更に干し、昆布はカチカチだったので、皆で分けて持って帰る事にする。


 ちゃんとした味噌汁が飲める!!


「うわー…出汁だよお…凄い嬉しい…!」


「うちら固形コンソメくらいしか作れなかったもんね」


「えっ皆固形コンソメなんて作れたの!?」


「そうそう、小麦粉をちょっと混ぜて煮詰めて…」


「ユーリちゃんにも分けてあげよう?」


「うんうん」


「家庭科の先生がほんと凄くてさ!」


「そうそう。ホワイトソースもブラウンソースも固形で貯蔵してあるし、どっちのシチューも作り放題!」


「うわー…作れなくないけど、凄く手間だし羨ましいなあ…」


「作れるユーリちゃんが凄いんだけどね」


「私、お母さんの料理中毎日ずっと貼り付いてやり方見てたから。ハンバーグと餃子は毎回一緒に作ってたよ」


「おお。ユーリちゃん良い子だったんだねえ」


 今日は農作物を持って帰る日だ。桃も成っていてまた4つ持たせて貰う。他の新しい桃も、新規のアスパラももう少しといった所だ。


 皆で採取を終えた後、根起こし、整地、堆肥を混ぜて畝を作って貰う。田は明日だ。


 私も混ざって種植えを手伝うが、また桃の耕作地を増やして種を植えている処を見てしまう。


 桃、どれくらい増やす気なんだろう…いや、美味しいんだけど…いっぱい食べられたら幸せだね。


 アスパラも、気付けば10倍くらいに耕作面積が増えている。


 やっぱり少なくてなかなか全員の口に入らなかったんだろうな…。


 この量ならなんとか入りそうだけどもう少し増やす予定のようだ。


 私も500人で食べるならその方が良いと思う。


「そろそろ引き上げてお風呂しないと、学園に遅れちゃうよ」


「あー待ってこれだけ!ここだけ!」


 端までしっかり種植えを終えて、私は魔力を流す。


 今では大分余裕が出来てふらつかなくなった。急激に魔力量が育っているのがわかる。


「よし、これでまた美味しい野菜が食べられるね!」


「余剰は今先生が市に出してるんだけど、その分のお金、ほんとにこっちで全部貰っていいの?」


「騎士の給与、かなりいいんだよ。だから気にしないでね。で、市の調子はどう?」


「あー、出してから1時間以内に売り切れるねえ。運の良い人しか買えてないと思うけどあれで精一杯だよ」


「そっか。仕方ないね」


「1人一種一個までだから転売は出ないと思うよ」


「あ、でも逆側で農地作り始めた人が居るって。やっぱ野菜食べたいもんねえ」


「自分で動くの大事。良い事だね」


 其処で女子生徒とは別れ、男子生徒が作物を運び込んでくれる。



 学園では仲良くしてくれる女子――ミラちゃんと一緒に過す。


 助けられた、と言っていた男子のクロード君も時々話しかけてくれるようになった。


 大半は遠巻きで特に悪意もなくちらちらとこちらを見ている。


 こちらからの話しかけがあれば関われると思うけれど、特にそこまでしなくても2人友達が出来たのでいいかなと思う。


 授業は問題なくついていけて、大体首席を取っている。


 2人とも、年齢とか気にせずに解らない所は質問してきてくれるので、快く教えている。


 初日から因縁をつけて来た女子達は、私に睨みを聞かせながらも近づいてこない。


 教師も距離がある事にむしろホッとしてるようで、特に何も言ってこない。


 教師にも思うところがあるけれど、まあ、勉学を修めろというならそれは納得しているので、勉強することにも文句はない。


 授業中、急に(ホール)が開く。


 直に教室内に出た2体を倒し、私は走って教室を出る。


 魔力が多くなったといえ、早朝に大きな魔力を使ったばかりだ。


 光魔法で足にブーストを掛けるのも少しだけにしておく。


 光刃が出せなくなったら終わるからだ。


 各教室で異形の影に向かって廊下から光刃を飛ばして倒していく。


 教室が終われば校庭で暴れる異形に、校舎内から光刃を打って倒す。


 そのまま体育館へ走り、体育館にも居た異形に光刃を放って倒した。


 家庭科室、科学室、職員室、図書館、と順に巡り異形が居れば光刃で倒し、居なければそのままスルー、最後に屋上へ上がってふらふらしていた1匹の異形を倒す。


 そのまま校庭から自分の担当エリアに向かう。


 路上の異形をなぎ倒しながら走ると、途中でシェラドさんと行き合った。


「まだ学園のを倒してこっちに道の異形を倒しながら走ってきただけ!そっちは!?」


「西側はクリア、今東をクリアしようとしていたところだ。南を任せていいか?」


「了解!」


 エリア南へ向かい、先ずは路上を掃除する。


 その後一件一件家を回って、異形が居れば倒して住人を助け出す。


損耗は重症1、軽症5。癒してから北側へ走る。するとシェラドさんと合流してしまった為、その先のエリアへ行くと言い置いて、別のエリアを駆除し始める。


 全ての異形を殲滅するまでに結局私とシェラドさんは都内の三分の一を殲滅する事になった。


 また死者が1名出ていた。全力で光魔法を足に掛けていれば間に合ったのかなと思うと遣る瀬無い。


 守備隊で報告を済ませてから、学園に戻る。


 学園に戻ると、担任教師が、「あんなに窓を割るなんて…」とか言ってくる。


 私は担任の目をじっと見ながら言う。


「人命と窓、どっちが大事ですか。今日1名死亡者が出ました。学園で時間を食えばそれ以上の被害になったと思います。人命と、窓。どちらが大事ですか?」


「く、あ…」


「日頃から窓を開けておいて貰えれば被害が減るかも知れません。むしろ窓がない方が私は有り難いです」


「そんな事は…」


「そもそも校長には有事の際に私が取る行動を最初に説明済みで納得頂いています。それでも何か仰りたいと?」


「いえ…そう…でしたか…」


「で、席について構いませんか?」


「いえ、窓が割れた教室が多い為、今日はこの後臨時休校です。ガラスは危ないですから、清掃が入ります」


「了承しました。荷物を持って帰ります」


 1名重症を負ったというので、その人が居るクラスへ向かう。


 ラミアの指が腹を貫通している。癒しの光で癒して、問題ない事を確認し、そのまま帰った。



 本当に、この担任は頼りがいがない、というより頼れない。


 かなりイラッとさせられたが、シェラドさんと一緒に狩りにでも行ってスッキリさせようかな。



 家に戻るとシェラドさんも狩りに行くようで、準備していた。


 一緒に行きたいと言うと担いでくれる。


 王都を出る際に農地を見ると、私に因縁を付けていた女生徒が地団太を踏んでいた。


「なんで入れないのよ!!こんな農地無茶苦茶になればいいのに!いつ行ったってお店の野菜は売切れだし、あっても意味がないじゃないの!!」


 ああ。荒らしたかったのか。


 残念ながら、バリアは少し薄くなる度張りなおしている。


 横目に彼女を見ながら、私はシェラドさんと狩りに出て、農地回りのビッヒを3羽、リムザを1頭倒して持ち帰った。


 食べきれないので、狩り過ぎないようにする。


 熟成期間もあるので、納屋には沢山の肉が吊るしてある。


 シェラドさんが沢山肉を食べてくれるのでなんとか消費出来ている。


 家に帰ると、シェラドさんが嬉しそうに腸を洗い始める。


 ソーセージ、本当に好きだなあ。


 今日は山盛りにしてあげよう。燻製して貰った腸詰が5本もある。


 うち2本を使って本当に山のようなソーセージを焼く。


 次いでさっと茹でたブロッコリーやじゃがいも、ニンジン、トマトなどを載せた千切りキャベツのサラダにシーザードレッシングと茹でて割いた鶏肉を乗せる。


 いくらそこそこ野菜も気に入っているとはいえ、肉が全くないとシェラドさんの尻尾がしょんぼりしてしまうのだ。


 昆布だしで作った味噌汁に根菜と豚肉を入れて、ビッヒの照り焼きをシェラドさん用に追加する。


 シェラドさんは出汁に気づいたようで、「味噌汁が美味くなってる!」と喜んでくれた。


 山盛りのソーセージに尻尾が喜んでる。


 相変わらずの健啖家ぶりに気持ちがいいなと思いつつ、自分の分を食べる。


 まあチビなのでそんなに食べられる訳じゃない。


 食後に桃を出してあげると大喜びだった。私も桃は嬉しい。


 ほっぺが落ちそうな美味しさに一頻り唸った後、身体を拭いて就寝する。


 明日も早い。


 私はシェラドさんに抱きつくようにして眠った。



ユーリは王都学園には馴染めないようです。でもこう…疲弊させられる環境なので、ストレスが心配です。

読んで下さってありがとうございます!少しでも楽しく読んで頂けたならとても嬉しく思います(*´∇`*)もし良ければ、★をぽちっと押して下さると励みになります!

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