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第十話 狩りと食料

皆頑張って日々を生きてます

 今日は学園の生徒がブレードなどの武器の余りを駐屯地で選んで貰って帰る予定のようだ。とはいえ、500名近くの武器などは置いていないだろうから、分けられる分と、それ以外はある分の材料で作れるだけ作って配るという話のようだ。


「本物の武器って楽しみだけど、ちょっと怖いね」


「鞘から抜かなきゃいいんだろうけど、そういう訳にもいかないしね…」


 自分の分身のように扱えるまで訓練が必要だ。鞘を付けたままというわけにはいかない。獣などを狩りに出る事を考慮する必要があるようだ。


 今までも校庭などに獣が迷い込んで来たことは何度かあったが、木刀などで殴り殺すしかなかった。血抜きも出来ない獣は不味く、食べるのは無理だった。これからは刃物があるから積極的に食料を手に入れる為に動くことが出来る。


「槍が多ければ心強いんだけど、メインはナイフと銃剣みたい」


「銃剣ならそれなりにリーチあるからマシじゃない?」


「…ナイフの刃渡りで核まで届くのか?」


「其処を削って伸ばしてくれてるみたいではあるんだけど」


「やっぱ剣は自衛隊くらいにしか行き渡らないみたい?」


「解らんなあ…」


「戦士の方からも武器供与があるみたいで、切れ味は解らないけどそっちは剣サイズみたいだよ」


「どっちがいいかって言われると…戦士さんかなあ…僕は…」


「斬っても斬っても核に届かないとか悪夢だよな」


「やっぱコンバットプルーフがないと怖いよな」


 武器がナイフで届いた場合、刃渡りを確認する作業に混じってみようかと思う。


 折角戦士として残ってくれた人々だ。無駄死にするような要素は見落とせない。


 自衛隊の方々が到着し、各種武器を荷降ろしする。槍の本数は50本もない。ブレードも100本あるかどうかだ。残りはナイフだ。ナイフも気を使ったのか、大型ナイフとなっている。


 実際異形をこのナイフで倒したのかを聞くと、「…ありません」との事だ。光刃を埋め込むときの深さを考えられるとナイフの刃渡りはギリギリだ。根元まで埋め込まねばならない。その事を説明すると、ナイフは危険である事を考慮され、槍とブレードを残してナイフは取り下げられた。


 そこへ戦士達が自分達の使っているブレードを持って来てくれる。全部で400本。鍛冶スキルを持った人々が必死で打ってくれて今日に間に合わせてくれたそうだ。切れ味に関しては流石に自衛隊のブレードには届かない。槍>ブレード>戦士の剣>>>>>>>ナイフといった所か。


 平等に分配されるといいのだが。槍は少し身ごなしに不安の有る者に優先的に配られることになったようだ。


「これで、肉の差し入れは少なくともいいか、必要なくなると思う。自分達でこの周辺の獣を狩ります」


「そうか?足りなければ言ってくれ」


「そうですね、人数が多いですから、獲物の分布自体ではお願いすると思います。毎日の話ですから必ず確保出来ると限らないですし、狩りつくしてしまった場合なんかには相談したいです」


「ゴンド、というそっちの熊に似た獣は繁殖力が異常に高い。そうそう狩り尽くせるものではない。個体が大きいから量も賄える。味もそう悪くない。メインで狩れば良いだろう。この辺りで味が良いのは鳥だが、飛んでいるからな。弓などの遠距離武器がなければ仕留めるのは難しいだろう」


 子までは仕留めない、という約束事を守れば困る事はないだろう。だが、生徒の皆はどうにか鳥が取れないか罠の設置などについて議論し始める。味がいいものに弱いからなあ日本人…。


 そして、生徒の仕掛けた罠には期待していたものとは違うものが掛かっていた。


 白くて赤いトサカの生えた――何処から見てもニワトリだった。


「――あ!ポンタじゃないこの子!」


「え?じゃこっちハナコ?」


 野生と言うには攻撃性が低い。罠の中に落ち着いたように鎮座して飼料を啄ばんでいる。


 3つの罠に計6匹のニワトリが居る。


「うん…何匹か減ってるね…でもうちの高校で飼ってたニワトリだよこれ」


「わあ…取りあえず増やさなきゃ!オスメス一緒の檻に入れて…校庭は危ないから取りあえず体育館で…いや改築中か。家庭科室にでも置いておく?あそこは壊さないでしょ?」


「なら音楽室は楽器を捨ててこいつらの飼育場にするとか?増えだしたら速いよきっと」


「…容量を超えたら相談ね。皆が卵を平等に食べるまで増やすとなると相当な数だわ」


「ある程度増えたら戦士さんにお裾分け出来るといいね」


「潰して食べていいのは老鶏だけね。卵産まなくなっちゃったのだけ食べよう」


 減った3匹は、実は戦士が狩って既に食べられてしまっていたのだった。


 その日、集落のあちこちで小さな(ホール)が開き、1つ2匹程の異形が現れたが、集落では戦士が、自衛隊と生徒達は教えられた核の場所を正確に貫き、問題なく退治した。


 生徒に軽傷が1名出たが、急ぎすぎて転んだだけだった。保健室の手当てで充分だったようで、神官の下には来なかった。


 自衛隊側は、(おおよ)その獲物を狩ることが出来、主に肉の多いトカゲ類を狙って狩っているようだ。


 野戦食にも強い部隊が居た為、戦士達に食べられない獲物、食べられるが毒の部位などがある獲物などを詳しく聞きだし、野草の類は慎重に食物として使えるかを吟味されて食料へと加わっていった。


 自然薯やむかご、桑の実や栗、びわ、柿などは見付かったようで、これも慎重に地球産のものと同じく可食であるかどうか念入りに調べられ、OKが出た。渋柿は渋抜きして干しているようだ。


 この辺は学園と情報共有するようで、お互い食に関しては交換できる情報が多そうだ。ニワトリも分ける事になるだろう。既にヒヨコも10匹ほどわちゃわちゃと居るので、増やすのには其処まで時間は掛からないだろう。


 いっぱい増えたらうちにも番で1組貰えないか交渉したい。卵食べたい。


 内陸だが、塩湖が存在するので塩には困らない。胡椒に似た香草もその辺りに生えている。ソースはないが、肉を食べるのには問題ない環境だ。だが、日本人側は、手持ちの調味料が切れると難儀しそうだな、と思った。


 人間の国で売っていないだろうか?私の前世では少しは調味料の類もあったと記憶しているのだけれど。逆に塩が枯渇気味だった覚えがある。獣人の国と人間の国の間で貿易が生まれて少しでも仲良くなれればいいと思う。


 シェラドさんはニワトリを食べてしまった1人のようで、申し訳ないような微妙な顔をしていた。


「あのね、あの鳥は卵をよくうんで、それがすごく美味しいの。だから肉にするのは数がじゅうぶんすぎるほど増えすぎた時くらいなの。いっぱい増えたらつがいで1組もらって卵食べよう?で、うちでも増やすのてつだおう?」


 そう言うと、シェラドさんは神妙な顔で頷いた。


「卵をメインで食べる為の鳥だったのか…肉も凄く美味かったが悪いことをした。彼らの飼い鳥だったのだな」


 律儀なシェラドさんは、1匹捕獲して食べてしまった事を学園の人に謝りに行った。


 学生達は、自然の中にこんなまるまるした鳥が居たら誰でも食べたくなるだろうから気にしないで欲しいと言ってくれる。ニワトリの代わりに、とシェラドさんは仕留めた鳥を学生に持たせてやっている。飛んでいると小さく見えるが、実は結構大きい鳥だ。晩餐の足しにはなるだろう。


 私は家庭科の先生に少し酵母を分けてもらって、ちゃんと2次発酵まで済ませて共同パン焼き釜まで行く。自分の分だけ焼くのもなんだか申し訳ない気持ちになったが、なにせ獣人の人々は肉とモウの乳くらいしか摂らない。


 そこそこの出来のパンを持って帰り、熱いうちにご飯にする。


 肉と、自衛隊の人から教わった野草のおひたし…?塩だけなので表現が難しい。と、パンだ。


 おまけで貰ったビワも剥いた。


 パンは大きいのを焼いたので、余った分は明日に回す。興味を持ったのか、シェラドさんがパンを一口食べて居たが、なんとも言えない顔をしていた。


 でも不味い訳でもないようだ。食べて体に害があるようならやめて貰いたいが、ないのなら一緒に食べてくれるのは嬉しい。獣人の身体の栄養バランスがどうなっているのか解らないので私も何とも言えない。とりあえず、「頑張って作ったよ」と笑っておいた。


「今年は災害の年だ」


 と、シェラドさんは言う。巨大孔ホールが乱立する年は、(ホール)が空く頻度が高くなるらしい。


「だから、常に(ホール)がいきなり空かないか気をつけていろ」


 私は神妙に頷く。でも戦士と違って私は気配だけで起きたり出来ない。寝るときにはシェラドさんにくっついて居れば、身動(みじろ)ぎで気付く事ならなんとかできそうだ。


「なるべくがんばるね」


 そんなやりとりを最後に、私達は眠りに落ちた。


学生側の描写が多くなってすいません。一番難儀しそうな集団なので、つい言及してしまいます。自衛隊の方々も頑張って居ます

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