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居眠り卿と木漏れ日の姫  作者: 中里勇史
新たな任務

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野盗

 ウィン一行はダルテマイア街道を南下してカデトルン街道を通り過ぎ、さらに一〇キメルほどダルテマイア街道を進んだ。

 案内役の老人が、ダルテマイア街道から南東にそれる脇道を指し示した。この道がスソンリエト伯領に向かっているという。

「こりゃ案内がないと分からなかったね」

 と言って、ウィンはわははと笑った。

 脇道はダルテマイア街道よりも狭く、路面も整備されていない。街道とは異なり、伯爵領に行くためだけの道ならば仕方がないのかもしれない。

 一行は脇道に入ってしばらく進んだ。

「旦那、どうするんで?」

「まずスソンリエト伯の屋敷に行って話を聞こう。けど牽制と言われてもなぁ。強面外交向きの顔じゃないし」

 そうこうしているうちに、道がますます狭くなった。木の枝が道の上にかかっていて、頭を下げて避けないと通れない。整備されていないのにもほどがあるのではないか。

 だんだん獣道じみてきた。


 さらに進むと、草木が少ない、比較的開けた平地に出た。ラゲルスは隊列を停止させて、ここで小休止を取ることにした。

「おい爺さん、本当にこの道で……あれ?」

 先頭を進んでいたはずの老人がいつの間にか消えていた。

 周囲の鳥の声も止んでいる。

 何かおかしい。

 ラゲルスは傭兵たちに戦闘態勢を取らせた。

 ラゲルスの指示が終わるか否かという瞬間に、前方と左右から矢が飛んできた。

「敵襲!」

 ラゲルスは叫びながらウィンの前に出て、飛んできた矢を剣で弾き飛ばした。

「あのジジイ、こいつらの仲間だ!」

 傭兵たちは、盾で矢を防ぎながらウィンの周りを固めた。既に三、四人は射倒されていた。


「このままじゃ埒があかねぇ。旦那、逃げろ! この道を戻ればダルテマイア街道に出る。そのまま真っ直ぐ北上するんだ」

「でも」

「でももクソもねぇ。邪魔だから消えろって言ってんだよ!」

 ラゲルスはロレルの手綱を取ると強引に北に向けて、ロレルの尻を剣の腹で張り飛ばした。驚いたロレルは、北に向かって猛然と走り出した。

「ロレル、旦那を頼むぜ」


 ウィンを乗せたロレルが視界から消えるのを確認してから、ラゲルスは生き残っている傭兵たちに向かって叫んだ。

「俺たちもずらかるぞ。敵は通すなよ。依頼者様がお逃げ遊ばすまで時間を稼ぐんだ」

「おいおい、難易度たけぇなそりゃ」

 傭兵たちは軽口をたたいてどっと笑った。

「要はあの居眠り卿さえ逃げ切れば勝ちなんだろ? 案外楽勝じゃねぇか」

「ああ、悪くない勝負だ」

「よし、北側のヤツから一〇メルずつ下がれ! 殿(しんがり)は俺が取る。一〇〇メル下がったら全力で逃げろ。帝都で合流だ!」

 こうしてラゲルスたちの撤退戦が始まった。


「さて、何人逃げ切れるかな」

 とつぶやいて、ラゲルスは笑った。


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