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居眠り卿と木漏れ日の姫  作者: 中里勇史
2人の未来

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皇帝

 帝都、皇帝宮殿の奥深くに皇帝の私室がある。5メル四方程度の大して広くない部屋で、落ち着いた調度で整えられている。ここは皇帝の他はごく限られた者しか入ることを許されない。あくまでも皇帝が1人でくつろぐための部屋である。

 今、この部屋にいるのは皇帝と宮廷道化師のピンテルの2人だけだった。


 「ナルファストにカーリルン、このところ戦乱続き。宮廷雀を野放しにしている誰かさんのせい」

 「犬のしつけもできない飼い主は笑われるべし!」

 ピンテルは歌う。音程は激しく上下し、ゆっくり歌い上げたかと思うと急にまくし立てる。そして、歌詞は毒々しい。全て皇帝批判であった。

 宮廷道化師は、君主に対する無礼が許されていた。公然と批判できるのも宮廷道化師だけの特権である。君主には、その批判を笑ってうけながす度量が求められた。

 皇帝アートルザース3世はこのとき40歳。若いときは鮮やかだった金髪は、今や銀髪が多く交じってくすんだ金色になっていた。髪と同じ色の口髭と顎髭は上品に整えられている。加齢によって目の周りが落ちくぼんでいるが、かつては帝国一の美男として称えられた。

 皇帝は左の手のひらを軽く突き出すと、「もうよい」と言ってピンテルを制した。腹を立てたわけではないが、しばし静かにしたかった。ピンテルは腰を折り曲げて礼をすると、部屋の隅にすっと下がった。


 皇帝は椅子の背もたれに体重を乗せて、静かに目を閉じた。

 「ラエウロント、約束は守ったぞ」

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