第2章 導入
2XXX年、度重なる核戦争や温暖化による気候変動により人間の居住できる土地は激減してしまった。
地上は放射能に汚染され、それに適応した生物に支配されてしまったのだ。
人類は地下にシェルターをつくりそこで暮らすようになった。
使える土地が制限された中で人類が1番に直面した問題は食糧問題だ。
人類に残された土地で栽培できる作物が養える人数はせいぜい3万人と言ったところだ。
そこで人類は種の保存を最優先にするとして、能力の高い人間だけを残す選択をした。
具体的には研究者などの知能の高い人間、身体能力がずば抜けているアスリート、文化保存の目的により有名芸術家などだ。
また、なるべく若い人を残そうという方針により余程の能力がある場合を除いて殆どの老人は切り捨てられた。
より強いものが権力を持つという社会に変わり、俗に言う独裁政治へと変貌していった。
その中でもトップに君臨するのがユージェ・ヘルシャフトという女だった。
ユージェは知能や戦闘能力が並外れて高く、「完全無欠」と言えるような人間だった。
彼女は教育機関であるBILの最高管理者であり,『教官』の一員である。
BILでは能力テストを実施し,人類の選別を行っている。
人類の発展に貢献できるかどうかを審査されるのだ。
子供たちはみな12歳からBILに入学し,18歳の最終選別まで必死に勉強する。
大半は最終試験までに脱落するが最終試験まで生き残る者も無論存在する。
だが生存権は最終試験ーもとい選別で上位100位以内であった者にしか与えられない。
基本的に18歳までこの地獄のような日々は続くが,ごく稀に1年あまりで卒業する者もいるーーーーーーーーー。