表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黎明戦記  作者:
1/5

第1章 教室にて

初投稿です。よろしくお願いします。

「嫌だあああああ!!!死にたくない!!!死にたくない!!!!!」


無機質な空間に絶叫が響き渡った。瞬間,勢い良く開いた扉から入ってきたメタリックなロボットは叫び続けるその男の子を掴み上げ,ズルズルと引き摺っていった。一見すると異常な光景だがその場にいた殆どの人間は顔色ひとつ変えず,虚ろな目をしていた。


「今回の脱落者は1名か。まずまずと言ったところだな。さて,次回の試験の説明をしよう。第368回試験は1週間後の5月4日に行う。科目は数学。範囲は教科書650ページから783ページだ。各々本気で取り組むように。では解散。」


学生と思しき人達はさっさと荷物を取りまとめると早足に部屋を出ていった。殆どの生徒が出ていき,静かになった部屋内には3人の男子生徒だけが残っていた。


「次の試験は数学か…。僕苦手なんだよね,数学。しかも僕の苦手な範囲だし…。」


「俺もあんまり自信ないな。数学は毎回7割ギリギリなんだよ。て言うかお前もしかして今回で数学赤点4回目?やばくないか?」


「そうなんだよ。あと1回赤点取ったら脱落だ……。どうしよう,もうダメかも。」


「諦めんなよ!全員で生き残るって決めただろうがよ。」


「そうだよ,諦めないで最後まで頑張ろう!数学なら僕得意だから教えてあげられるしさ。みんなで協力して生き残ろうよ。」


「2人とも…。ありがとう。僕,最後まで頑張って見るよ。」


「そう来なくちゃな!」


短髪で筋肉質な少年ーいや,青年がそう言うと前髪が長めで背が低めな青年と長髪でメガネを掛けている青年はにこりと笑い,3人は部屋を後にした。誰も居なくなった空間には怖いくらいの静寂が訪れ,照明がブツンと落ちた。そう,《誰も居なくなった》はずの空間に。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


部屋ーいや,正確には『教室』から出た3人はまたもや何も無い無機質な廊下を歩いていた。窓ひとつ無い廊下には監視カメラと思しきものが大量に設置されている。


「そう言えばさ,あの子どうなったんだろう。」


「あの子?」


「ほら,僕たちが入学して1年もしないうちに主席で卒業しちゃった子だよ。名前は…えーと,なんだっけな。」


「あー,開闢院君ね。彼は凄かったなあ。どの教科でも毎回1位なんだもの。ほんと,尊敬しちゃうよねえ。」


その瞬間,短髪の筋肉質な少年ーメイソンはハッとしたように咄嗟に2人の肩を手繰り寄せ,辺りを見回してからこう言った。


「ここだけの話なんだけどよ…,あいつー開闢院な,このシェルターのどこかに住処をつくってそこで色んな研究をしてるらしいぜ。それで…いつか政府を…」


メガネを掛けた長髪の青年ーリオはメイソンの口を咄嗟に抑えると小さく叫んだ。


「それ以上言うな!どれだけ小声で話しても僕らの会話は筒抜けなんだ。言葉には気をつけた方が良い。」


「……。それで,その噂は誰に聞いたの?」


「この前,警察の奴らが話しているのを偶然聞いてよぉ。まあ,あくまで『噂』だけどな。


「ふうん……。そんなことよりさ,さっさと勉強しに行こうよ。」


「そうだな。行こうぜ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「………………まずいな……。」


3人を見つめる黒い影は何やら呟いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ