教会
「この村に教会とかありますか?」私が聞く
「ありますよ。とても小さいですが……」
そう言って村長が案内してくれる。
三分程歩くと蓮の花のような模様が扉に描かれてある丸屋根の建物に着く。
建物の中に入ると中央に小さい像が五体並んでいる。
「この教会では小さい像しかありませんが」
村長が恥ずかしそうに頭をかく。
「神様は五人ですか?」
神父のような方が慌てて入ってきて説明する。
「はい。中央が絶対神ゼノス様、その右横が女神ヘラ様でゼノス様の奥方様です。
その右横が長女の女神メーテル様、左が双子神の女神アルテ様と弟のアポロ様です」
(創造神ではなかったのか?)
見上げると小さな窓にステンドグラスがあり、蓮のような花と赤い太陽が綺麗に色づいている。
「色がある!あっ、これも輸入品ですか?」
「いいえ。このステンドグラスの色だけは奪われなかったのです。何故か……」
何故だろう?
「祈ってもいいですか?」
神父様に尋ねると、「お願いします」と頼まれてしまった。
解らないので立ったまま両手を合わせた。
辺りがシーンと静まり、明るい光に包まれる。
『 待っていたよ。君が彩さん? 』
現れたのはミケランジェロ像に似ている神様だ。
そして、髪は今にも燃えそうな鮮やかな紅だ。
「はい。あなたは?」
『 僕はアポロ。アルテは今ここを離れていてね 』
「あなたも創造神のお一人ですか?」
『 うん、僕達五人で創造神さ。本当は六人いたのだけど……
それはまたおいおい話していくよ。
何か欲しいものある? 』
「いろいろ解らない事ばかりで……この紋様も……」
『 そうだね……では、鑑定のスキルとヘルプ機能を追加しておこう。
君が持っている機械で鑑定が出来るようにしといたから
紋様は使者の目標。隠したいならそう思って撫でたら消えるよ 』
手の甲を撫でるとスーッと消えていく。
「鑑定のスキルにヘルプ機能?」
『 神の加護による技能ね。
あと、君の鞄はマジックバックになっているから欲しいものを想像して取り出してね。
大きい月が満月か新月の頃はあちらの世界の物も取り出せるから。じゃ! 』
突然会話は切れ、目の前に教会の部屋が現れる。
「……使徒様?大丈夫ですか?」
呆然とした顔をしていて神父様は心配されたようだ。
その後、神父様にシャーリト教の話を少し聞いた。
ーー 全能の神ゼノス様とヘラ様が現れ天と地を作られた。
そして、三人のお子様(メーテル様・アルテ様・アポロ様)に
地上を任せられた。
メーテル様は豊穣(土地)をアルテ様は愛(海)をアポロ様は光(火)を
司ったとされている
ハースという蓮に似た花の模様はシャーリト教のシンボルらしい。
色んな宗教が混ざっている感じがする。
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