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花の都ヴィーラリアの君  作者: ゆりあ
次世代の妖精姫
9/14

〈白真珠の妖精姫〉ブランシュ

花の都・ヴィーラリア王国。

大陸の南の端っこにある一番小さな王国。


そのヴィーラリア王国の王族のひとつ

エレガノット公爵家には〈次世代の妖精姫〉と

呼ばれている美しい姉妹が誕生した。


長女の〈紫水晶の妖精姫〉ヴィオレッタ

次女の〈白真珠の妖精姫〉ブランシュ


〈紫水晶の妖精姫〉ヴィオレッタお姉様は、

20歳になると同時に、アリヴォーロ初代

伯爵となられたアリアーノ公爵家の次男坊

ロゼ様と結婚しました。


3歳下の妹である私、ブランシュが

17歳の春頃のことでした。




わたくしは、エレガノット公爵家の

次女にあたります、ブランシュ・ティ・

レイベールス・エレガノットです。


20歳になった初夏の頃のことです。


アリヴォーロ初代伯爵夫人となられた

〈紫水晶の妖精姫〉ヴィオレッタお姉様に

可愛いらしい女の子が誕生しました。


「ヴィオレッタお姉様!とても可愛いです!

お名前は、なんて言うのですか?」


「可愛いわよね。ソフィーアよ。」


つまり、この女児は、ソフィーア・ティ・

エレガノット・アリアーノ・アリヴォーロ。


かなり長いお名前になる理由は、

エレガノット公爵家、アリアーノ公爵家、

どちらも、深く関わりある子だということ

それを示すためなんだとか。


「ヴィオレッタお姉様が幸せそうで

なによりですわ。」


「ふふふ。 ありがとう、ブランシュ。」









「ブランシュ先生〜!」


「おはようございます、ブランシュ先生!」


「ラロくん、リタくん、おはようございます。

今日は、歴史のお勉強ですね。」


私は、今年から、正式に、王都にあるローペ

孤児院の見習い先生になりました。


彼らは、この孤児院で暮らしている生徒です。


5歳のラロくん、7歳になるリタくんは

血の繋がりはありませんが、兄弟みたいに

仲良しな二人組です。


「ブランシュ先生

この問題がわかりません!

教えてください!」


「この問題はね、こう考えると良いわ。

ラロくん、どうかしら?」


「先生、ありがとうございます!」


ラロくんは、キーサン男爵の嫡男でしたが

生まれてすぐに御生母が亡くなられました。


さらに、キーサン男爵が後妻を向かえて、

男児が産まれてからは……


という複雑な事情から、すぐに噂を聞いた

孤児院長さんがラロくんを引き取りました。


「ブランシュ先生!

これは、正解ですか………?」


「まあ! ええ、正解よ! 

偉いわ、リタくん!」


「ふふ。ありがとう。ブランシュ先生。」


リタくんは、両親共に、騎士団に所属して

いるご夫妻の一人息子なのですが………


いろいろと事情があって、孤児院長さんは

リタくんを引き取ることにしました。


幸い、ヴィーラリア王都は平和な場所です。


王都にある孤児院に住む子どもは、この二人

だけなので、兄弟のように育っています。


「ブランシュ様、孤児院長が呼んでいます!」


「あら? 承知しました。今、行きます。」









「ああ、ブランシュ様、授業中でしたのに

いきなり、申し訳ありません。」


「ふふ。優しい子達ですから大丈夫ですよ。

何か、ありましたでしょうか?」


孤児院長の、メリー・ティ・レイラナード・

クロイッシュ男爵夫人です。


レイラナード商会長のご息女にあたります。


孤児院の先生になってから、クロイッシュ

男爵に出会い、ご結婚されました。


「実は、この孤児院に、3歳児の女の子が

増えることになりました。」


「ど、どのような事情が……?

聞いても宜しいのでしょうか?」


「ラロくんと似たような事情で………」


「まあ! なんてことでしょう!

まだ、3歳児なのに………」


「名前は、ルシアーナ様です。

ライネリオ伯爵家の長女にあたります。」


「まあ! ライネリオ伯爵家の………?」


ポルフィー侯爵の親族、ライネリオ伯爵は

王宮に仕える文官の一人。宮中伯です。


確かに、2年前、再婚して、新しい後妻との

間に、男児が誕生したと聞いていますが……


ライネリオ伯爵、あんなに優しそうな顔を

しているのに、実娘を可愛いがらずに……!


いったい、何を考えているのでしょう!


「ルシアーナ様にお会いして下さると………

正直に言いますと伯爵令嬢として育てるには

商家の娘の私では難しいのです。」


「はい、承知しました。 

もし宜しければ、ヴィオレッタお姉様にも

紹介しましょうか?」


「ブランシュ様! ありがとうございます!」









「あら、セレスト先生!」


「ブランシュ様、お待ちしていました。

この子が、ルシアーナ様です。」


クロイッシュ男爵の嫡男、セレスト様です。

私と同じ、孤児院の先生です。


優しい彼が、ルシアーナちゃんの相手を。

有り難いことですね。


「………る、るしあーな、てぃ、ぽるふぃ、

ぽるふぃー、? らいねりお、です。」


「上手ね! 宜しくね、ルシアーナちゃん。」


不安そうな3歳の子。年の割に大人びてて

いろいろと、複雑そうだけど………


こちらは、明るく、接して行きましょう。





「ヴィオレッタお姉様

こちらが、ルシアーナです。」


「………る、るしあーな、です。」


ヴィオレッタお姉様に紹介しました。


お姉様なら、ルシアーナの養母として

伯爵令嬢の母としても、信用出来るから。


ソフィーアの3つ年上の義姉になりますが

ヴィオレッタお姉様なら、分け隔てなく

ふたりを可愛がるでしょうし。


ヴィオレッタお姉様に、男児が誕生しても

ルシアーナとソフィーアを可愛い娘として

男児の姉として、可愛いがるでしょう。


「ふふふ。可愛い。貴女が、ルシアーナね。

貴女が良ければね、私の娘にならない?」


「ゔぃ、おれった、おかあさま?」


「ええ! お養母様よ!」







正式に、ルシアーナが、

ルシアーナ・ティ・ポルフィー・

ライネリオ・アリヴォーロ伯爵令嬢

として、義理の姪っ子になった時。


大変騒ぎになりました。苗字からして

ポルフィー侯爵家、ライネリオ伯爵家と

関わりが深いご息女ですからね。


その頃、私は、クロイッシュ男爵家の

一人息子、セレスト様と結婚しました。


お祖母様は、お姉様の時と同様で

大変驚いているみたいですけれど………


公爵令嬢である私が、男爵家の嫡男夫人

として、次期孤児院長になっても良いと

思うのですが。






結婚2年目の真冬のことです。


クロイッシュ男爵家の嫡男、セレスト様と

私の間に、可愛い男児が誕生しました。


「ルシアーナ、ソフィーア、この子が

貴女たちの従弟になるヴィルフレットよ。」


「か、可愛い!」「わあ!可愛い!可愛い!」


アリヴォーロ伯爵家の養女として

戸惑いながらも、馴染んできたばかりの

そろそろ5歳になるルシアーナは、私から

従弟だという紹介に感動して、泣きそうに

嬉しそうに! ああ、可愛いわ!


2歳になったソフィーアは、ただ、ただ、

可愛い赤ちゃんに、はしゃいでいます。

ああ、こちらも、可愛いわ!


「ブ、ブランシュおばさま………!

可愛い赤ちゃんを、ソフィーアと一緒に

見せて下さって、ありがとうございます!」


「ふふふ。貴女も、可愛い姪っ子だもの!」

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