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花の都ヴィーラリアの君  作者: ゆりあ
ヴィヴィオーンの双葉姫
6/14

〈幸福の双葉姫〉アヴリーヌ

ここは、花の都・ヴィーラリア王国。

大陸の南の端っこにある一番小さな国だ。


ヴィーラリアの二大公爵家と言われている

エレガノット公爵家、アリアーノ公爵家から

王妃となれる程のご令嬢が3人も輩出されて

各国から、注目を浴びるようになった。


最近、王族の中でも、注目を浴びているのが

ヴィヴィオーン侯爵家だ。


実母、カッチェーナ夫人に似て、華やかな

双子の姉妹が、最近、噂されている。


双子の姉〈幸福の双葉姫〉アヴリーヌ

双子の妹〈希望の双葉姫〉リュシエンヌ


父親は、レオニースト陛下の母方の従兄

ヴィヴィオーン侯爵閣下、オルベール。


母親は、そのオルベールの叔母の一人娘

シャーフ辺境伯令嬢、カッツェーナ。


オルベールが、年離れた従妹カッツェーナと

再婚した後に産まれた双子の姉妹だ。




私は、ヴィヴィオーン侯爵家の

双子の姉〈幸福の双葉姫〉アヴリーヌ・

ティ・シャーフ・ヴィヴィオーン。


プライドの高い、高飛車な母親が原因で

最初は、遠巻きにされていた。


しかし、アリアーノ公爵夫人をいじめてきた

母から産まれてきたはずなのに、、、


その公爵夫人から、なぜか可愛いがられて

自由に、アリアーノ公爵家に出入りできる

双子姉妹。その公爵夫人の慈悲を見た人々が

そのように呼んでくるのだ。




「フルール兄様、ご機嫌よう。」


「おや、なんだい? 可愛いアヴリーヌ!」


12歳も年上の異母兄、フルール・ティ・

ツヴィトーク・ヴィヴィオーン次期侯爵だ。


どうやら、お父様の前妻は、ツヴィトーク

伯爵の実姉、カーラリエ様という方らしい。

お会いしたことはないですけれど。


歳の離れた双子の異母妹に、とてもあまい!

甘やかしてくる兄様なのです!


「今日、アリアーノ公爵家に遊びに行くの。

ルーネも連れて行って、いいかしら?」


「もちろんだとも。アロイス様に宜しくな。」


フルール兄様は、同い年の伯爵令嬢を妻に

迎えて、10歳児の娘、ルーネと、5歳児の

嫡男、ユーライズの父親となった。


今から、私は、可愛い姪っ子のルーネと共に

アリアーノ公爵家に赴くのだ。


母方の再従兄にあたるアリアーノ公爵家の

嫡男、アロイス様は、私の初恋の人だから。





「アロイス様、ご機嫌よう!」


「アロイス様、ごきげんよう!」


「うん? やあ、アヴリーヌ、ルーネ!

いらっしゃい! 来るのを待っていたよ!」


アリアーノ公爵である王弟、ジェンド殿下と

先代のアリアーノ公爵令嬢カルメリッサ様の

嫡男にあたるアロイス・ティ・ヴィーラリア・

アリアーノ次期公爵様。私の初恋の人だ。


カッツェーナの娘である私に、アロイス様は

とても、優しくて!恋してしまいましたの!


私の恋は、叶うか分からないけれど………


「うふふ。アロイス様、こちらはいかが?」


「おおー! シャーフ辺境伯領の歴史書!?

良いのかい? 貴重なのに!」


「お祖父様やランベル義叔父から、ちゃんと

許可は頂いてきましたから大丈夫ですわ!」


シャーフ先代辺境伯のお祖父様は、

お母様いわく、野心家なお方だのだとか。


本当は、お母様を、アリアーノ公爵夫人に

したかったみたいなんです。


養子入りしたランベル義叔父様は、かなり

手を焼いているみたいなのですけれど………

私には、甘いお祖父様ですわ!


「ふむ、ランベル殿も許可していると………

それなら、大丈夫そうだね!ありがとう!」


「うふふん。お役に立てて、光栄ですわ!」


「アヴリーヌ叔母様、凄いですわ!」








「アヴリーヌ様、ご機嫌よう。」


「ヴィオレッタ様! ご機嫌よう!」


次世代の妖精姫、エレガノット公爵家の

長女〈紫水晶の妖精姫〉ヴィオレッタ・ティ・

レイベールス・エレガノット様だ。


あの〈白百合の妖精姫〉エウラリーア王妃の

姪として生まれ、アリアーノ公爵家の次男坊

ロゼ様の幼馴染でもあるお方、お美しい!


「貴女は、アロイス様にご挨拶を?」


「はい、先程、アロイス様にご挨拶を……

ヴィオレッタ様は、ロゼ様にでしょうか?」


「ええ、もちろんそうよ。幼馴染ですもの。

マイオンお兄様に頼まれて、ロゼ様に書類を

渡しに来ましたの。」


アリアーノ公爵家には、3人兄弟がいます。


次男のロゼ様は、アリヴォーロ初代伯爵様と

なられる予定の方です。


ロゼ様の婚約者になるであろうと言われて

いるのが、ヴィオレッタ様です。


「ところで、アヴリーヌ様、その子は?」


「この子は、ヴィヴィオーン次期侯爵

フルール兄様の長女、ルーネですわ!

私の姪っ子にあたりますの!」


「まあ! あら、そうなの。フルール様の。

ふふふ。私は、エレガノット公爵家の長女

ヴィオレッタですわ。宜しくね。」


「ヴィオレッタ様!宜しくお願い致します!」


一見、無表情クールな少女、ヴィオレッタ様。


彼王侯貴族の子ども、孤児院の子どもにも

分け隔てなく優しくて、慈悲深いお方です。


普段は、声を掛けてきませんが、ルーネが

いたから、声を掛けてきたのでしょう。


「もしも、貴女が、アロイス様の婚約者に

なるのなら、私とは義姉妹になりますわね。

貴女の恋、応援しているわ。」


「ヴィオレッタ様!ありがとうございます!」









「フルール兄様

お呼びしましたか?」


「やあ、アヴリーヌ

もちろん呼んだよ!」


木漏れ日が心地良い初夏の日に

フルール兄様の執務室に呼ばれました。


兄様の執務室に入るのは、これで初めてで、

どうして、呼ばれたのか分かりません。


「リュシエンヌにも話す予定なのだけれど

ヴィーラリアの第二王子、エルトラーム

殿下の妃にならないかい?」


「えっ!? 私は、ご辞退致します………!

エルトラーム殿下には、リュシーの方が

合っていらっしゃると思うわ!」


レオニースト殿下とエウラリーア王妃の間に

生まれた第二王子、エルトラーム殿下。


噂で聞いているのですが婚約者が決まったら

オフェリー初代公爵になる予定の方です。


「おや? それは、なぜだい?」


「わ、私は! アリアーノ公爵家の嫡男

アロイス様が好きだからです………!」


「ほー、そういうことか、だからか………

それならば、アヴリーヌ、アリアーノ公爵家

アロイス様に話を持っていこう。兄としては

君の幸せが、一番なんだよ。」


「フルール兄様! ありがとうございます!」










その後、正式に、

第二王子のエルトラーム殿下と

ヴィヴィオーン侯爵の次女リュシエンヌの

婚約が正式に決まりました。


それと同時に、なんと、

私、アヴリーヌと、アリアーノ公爵家の

嫡男、アロイス様との婚約も決まりました。


その情報を聞いて、私は、夢かと思って……!


慌てて、アリアーノ公爵家に手紙を出して

翌日、アロイス様に会いに行きました。


「アロイス様、私で宜しいのですか………?」


「ああ、もちろんだよ! アヴリーヌ!

君に私の妻になって欲しいんだ!」


「は、はい! わ、私、とても嬉しくて………

アロイス様、宜しくお願い致します!」


「ふふふ。宜しくね!」


私は、夢じゃなくて、これは現実だと………


気付いたとたんに、嬉しくて、嬉しくて、

涙目になってしまいました。


そんな私に、優しく微笑むアロイス様には

感謝しかありません。


「ああ、実は、ロゼの婚約者も決まったんだ。

エレガノット公爵の長女、ヴィオレッタ嬢に。

義理の姉妹になるから、宜しくね。」


「はい、もちろんですわ!ヴィオレッタ様が

義理の妹になるだなんて、嬉しいです!」


アリヴォーロ初代伯爵となられるロゼ様の

屋敷は、エレガノット公爵邸の近くだそう。


二大公爵、エレガノット公爵家とアリアーノ

公爵家が手を取り合う時代に………!


ああ、あのヴィオレッタ様も、叶ったのだ!

なんて嬉しいお知らせでしょうか!








その嬉しいお知らせから、

早くも、2年の月日が経ちました。


アリアーノ公爵嫡男アロイス様と私の間に

待望の男児、エメリックが誕生しました。


さすが、双子姉妹というべきでしょうか

同じ頃に、オフェリー初代公爵となられた

エルトラーム殿下と双子の妹リュシエンヌの

間にも、また、待望の男児が誕生しました。

シリルという名前だそうです。


「まあ!リュシー! とても可愛い子ね?

この子たちは従兄弟同士よ、宜しくね!」


「はい、アヴ姉様、この子たちは従兄弟同士、

公爵嫡男になります。宜しくお願いします。」


〈幸福の双葉姫〉アヴリーヌは、母親そっくり

そのまま勝気で、下手したら高飛車に見えて

しまうような双子の姉だ。


双子の妹〈希望の双葉姫〉リュシエンヌは、

同じ容姿の割に、優しくて、真面目な妹だ。


「アヴ姉様の初恋が叶って………

カッツェーナ母上が、大変驚いてました。」


「そうよね、カッツェーナお母様の二の舞に

ならなくて良かった、と思うわ。」


私たち、双子姉妹の実母、カッツェーナは、

実父のオルベールが初恋の相手でした。


しかし、辺境伯の一人娘と先代侯爵嫡男では

残念ながら、政略結婚も出来ず………


お父様は、異母兄のご生母と結婚しました。

前妻とは気が合わず、離縁して………


異母兄のフルール兄様が10歳の時に、

アリアーノ公爵、ジェンド王弟殿下の命で

私たちの双子姉妹の母、カッツェーナと

婚約した、と聞いていますから。


「アヴ姉様、カッツェーナ母上が喜んでて

私は、幸せです。 嬉しいですよ。」


「リュシー………ありがとう!私も幸せよ!」

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