表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花の都ヴィーラリアの君  作者: ゆりあ
アリアーノの花姫
4/14

〈茉莉花姫〉カルメリッサ

花の都・ヴィーラリア王国。


大陸の南の端っこにある一番小さな王国だ。


そのヴィーラリア王国の王族のひとつ

アリアーノ公爵家には、花のように美しい

才女と評判の美人な姉妹が産まれた。


長女〈茉莉花姫〉カルメリッサ

次女〈卯ノ花姫〉キャティーナ


エレガノット公爵家の三姉妹と並び称される

ほどのアリアーノ公爵令嬢の姉妹は、最近、

ふたたび、注目をあびている。


長女のカルメリッサが、ヴィーラリア王国の

第二王子、後に、王弟となるジェンド殿下の

婚約者となったからだ。



〈茉莉花姫〉カルメリッサ・ティ・リンデン・

アリアーノ公爵令嬢


彼女は、今、非常に、非常に、目の前の

この現状に、大変困っていた。


なぜなら、婚約者のジェンド殿下に会いに

行く途中で、呼び止められたからだ。


「うふ!悪役令嬢なカルメリッサ様!

ジェンド殿下に相応しいのは私ですわ!

私の母は、ヴィヴィオーン侯爵の妹です!

レオニースト殿下とジェンド殿下の従姉妹に

あたる私ならば、相応しいでしょう?」


「カッツェーナ様………」


イザベルカ王国のアガフォーン辺境伯領と

隣接している、ヴィーラリア王国、シャーフ

辺境伯家の一人娘にあたるカッツェーナ・

ティ・ヴィヴィオーン・シャーフ様です。


実は、噂によりますと、シャーフ辺境伯は、

妻の姉の子、ジェンド殿下を、辺境伯家の

婿養子として迎えたかったようですが………


あくやくれいじょうって何ですかね?


「貴女自身は、公爵令嬢みたいですけれど

王族の中でも血は薄いと聞いていますわ!」


「確かに、そうなのですけれど………」


カルメリッサの父方の高祖父が、その時代の

王弟として、公爵閣下になりました。


それ以降、アリアーノ公爵家は、王家を妻や

婿に迎えずに、新興貴族の侯爵家、伯爵家と

縁を繋いでいくという変わった家柄です。


カルメリッサの母親も、そんなに目立たない

リンデン伯爵家の三女として誕生しました。





「なぜ、カッツェーナが、ここに………?」


「まあ!ジェンド殿下!この方に、私の方が

王弟となられる貴方の妻に相応しいと………!」


「なぜ、そう思うんだい?

〈茉莉花姫〉と呼ばれている彼女は、私と

同じく、宰相の愛弟子。才女でもあるんだ。

カルメリッサの方が、王弟となる私にとって

非常に、良きパートナーとなるだろう。」


ジェンド殿下とカルメリッサは、2人とも、

宰相に任命されたクェール侯爵の愛弟子だ。


才女〈茉莉花姫〉の婿として次期公爵となる

貴族社会なら有り得そうな組み合わせなのだ。


「そ、そんな、、、」


「君たち、シャーフ辺境伯家は野心家すぎて

辺境伯家向きとは言えないんじゃないかな?

兄上から話があると思うが、次期辺境伯は、

宰相、クェール侯爵家の次男、ランベルが

任命されることになった。」


「ラ、ランベル様は、まだ10歳なのでは……」


「ああ、17歳となったら、シャーフ辺境伯に

養子入りして、君の義弟となる。」


クェール侯爵家の12歳児の嫡男のケオンも

10歳児の次男、ランベルも、非常に、将来が

楽しみな子達だ。


特に、ランベルは、宰相の息子でありながら

騎士を目指している。


「まあ! つまり、私は、ジェンド殿下に

嫁入りしても良いのですね!」


「君の相手は、私ではない。ヴィヴィオーン

侯爵家の嫡男、オルベール兄さんだ。」


「オルベール兄様?な、なぜですの………?」


「オルベール兄さんの後妻という形になるが…

なんだかんだ、君の自由奔放さに慣れてる

人だから、私よりも、良いのではないか?」


「オルベール兄様…し、仕方ありませんわね!

あの方は、放っておけませんもの!」


レオニースト殿下、ジェンド殿下、そして、

カッツェーナ様の母方の従兄、オルベール・

ティ・ミルウェーク・ヴィヴィオーン様だ。


私たちの10歳年上なので、28歳になる

次期侯爵の青年である。


「あのカーラリエは、最近、オランダ男爵と

再婚したらしい。だから、カッツェーナが

フルールの義母となる。良いか?」


「あら、もちろんですわ! フルール様は、

私に懐いてますから、構いませんわよ!」


オルベール様は、ツヴィトーク伯爵家の次女

カーラリエ様を妻に迎え入れ、待望の後継の

息子、フルールが誕生したのだ。


10歳の息子フルールは、クェール侯爵家の

次男ランベルと仲の良い幼馴染同士らしい。


しかし、オルベール様とカーラリエ様は、

政略結婚的な冷えた関係のまま、離縁して、

カーラリエ様は、オランダ男爵と再婚したと

聞いている、なんとも、複雑な家庭だ。


「シャーフ辺境伯にとっては、微妙な話かも

しれない。が、あの地は、あのアガフォーン

辺境伯と隣接する領地でもあるからな。」


「仕方ありませんわね! 私が、代わりに、

お父様を説得してみせますわ!」


「ああ、宜しく頼むよ、カッツェーナ。」








「ジェンド殿下………」


「カルメリッサ、大丈夫だったかい?」


目の前のふたりのやり取りを、ちょっと

臆病な私は、見ていることしか出来ません。


ジェンド殿下は、本当に優しいお方ですね。


「カッツェーナ様は、オルベール様の後妻で

本当に、宜しいのでしょうか………?」


「ああ、実はね、あのカッツェーナの初恋は、

オルベール兄さんなんだよ。」


「まあ!そうなのですか?」


ジェンド殿下いわく、カッツェーナ様は、

初恋を拗らせているそうだ。


シャーフ辺境伯様からの命令を守ることで

実父から認められたいという思いはあるが、

実際は、自由に行きたかったらしい。


「カッツェーナは、本当は、オルベール

兄さんと結婚したかったんだ。だから、

これ以上は、何も言って来ないと思うよ。」


「そ、そのような事情が………ジェンド殿下

いつも、ありがとうございます!」


その翌月のことだ。シャーフ辺境伯令嬢の

カッツェーナ様と、ヴィヴィオーン侯爵と

なられたオルベール様の婚約が決まった。


と同時に、シャーフ辺境伯の養子として

クェール侯爵家の次男、ランベルが選ばれた

ということが、正式に発表された。


オルベール様のエスコートで社交界に現れた

カッツェーナ様は、大変幸せそうで。


彼女の性格を知る者たちは、非常に驚いた。


後に、この2人の間に、可愛らしい2人の

女の子が産まれ、歳の離れた異母兄である

フルールは、妹達を大変可愛がったと言う。






その発表と同時期に


第二王子のジェンド殿下と

アリアーノ公爵家の長女〈茉莉花姫〉

カルメリッサの結婚式が行われた。


アリアーノ公爵家にジェンド殿下が

婿入りすることとなった。


「カルメリッサおねえさまぁ!

おめ、おめでとうございますぅー!」


「まあ! キャティーナ! ありがとう!」


アリアーノ公爵家の次女である〈卯ノ花姫〉

キャティーナ・ティ・リンデン・アリアーノ。


父に似て、ちょっと目付き悪い私と違って、

可愛いらしい華やかな2歳下の妹です。


なぜか、カッツェーナ様に、仲悪い姉妹と

言われていますが、仲良しですよ?私たち。


「カルメリッサお姉様、幸せになって下さい!

キャティーナは、応援してますぅ!」


「ええ、キャティーナもよ? ありがとう!」


「はい! ありがとうございますぅ!」


キャティーナは、ヴィーザル王国の次期国王

ライム・ティ・イザベルカ・ヴィーザル様と

婚約しています。


イザベルカ国王陛下、セテファ殿下の父方の

叔母のご子息にあたる方なんだそうです。


「カルメリッサおねえさまぁ!

わたしは、わたしは、少し寂しいですぅ!

家族から離れて見知らぬ土地に行くなんて

緊張しちゃいますぅ!」


「キャティーナ………私も貴女と離れるのは

寂しいわ! ライム殿下は、セテファ殿下に

似ていて、優しいお方だと聞いていますが、

何かあれば、相談してね?」


「はい! もちろん、相談しますぅ!」








私が20歳になった頃。


可愛い妹の〈卯ノ花姫〉キャティーナは、

イザベルカ国王の、さらに向こうに位置する

ヴィーザル王国の次期国王、ライム殿下に

嫁入りしていきました。


同じ年の冬頃に、ジェンド殿下との間に

待望の男児、アロイスが誕生しました。


「アロイスは、本当に、可愛いわ!」


「ああ、カルメリッサ!本当に、ありがとう!」


待望の男児が産まれた為、ジェルト殿下は、

正式に、アリアーノ公爵閣下となりました。


兄のレオニースト国王陛下の側で仕えながら

次の宰相を目指して、頑張っているようです。


「ジェンド様、カッツェーナ様のご様子は?」


「あちらも、無事に、女児を出産したようで

オルベール兄さんから知らせが来ていたよ。」


「まあ!そうなのね、おめでとうございます!」


ヴィヴィオーン侯爵、オルベール様の後妻に

なられた方、カッツェーナ様も、同じ時期に

女の子が誕生したようです。


その後、聞きましたが、リッチェーナという

名前になったそう。後に、アリアーノ公爵の

嫡男、アロイスに嫁入りする子です。


「フェリチタ様が、イザベルカ国王の子爵家に

嫁入りするというのは、本当ですの?」


「ああ、そうだ。ディルクに聞いたが、間違い

ないらしい。公爵令嬢には珍しい、恋愛結婚

だそうだ。エレガノット公爵家は、長女も、

次女も、王妃となっている。三女が子爵家に

嫁入りしても、問題は無いだろう。」


「あら、そうなのね。私は、異国に行った

ことがないから、不思議な世界だわ。」


「ああ。いずれ、アロイスが大きくなったら、

一緒に、イザベルカ王国やヴィーザル王国に

視察がてら、訪ねてみるかい?」


「まあ!私のわがままで………いいのですか?

ぜひ、ぜひ、行ってみたいですわ………!」


「ああ、カルメリッサ、一緒に行こう!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ