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花の都ヴィーラリアの君  作者: ゆりあ
エレガノットの妖精姫
2/14

〈白百合の妖精姫〉エウラリーア

花の都・ヴィーラリア王国。


この国は、大陸の南の端っこにある

一番小さな小さな王国だ。


最近は、ヴィーラリア王国の王族のひとつ

エレガノット公爵家の三姉妹が、それぞれ

王侯貴族たちに注目を浴びている。


長女の〈露草の妖精姫〉エレオノーラは、

大国・イザベルカ王国の次期国王であられる

セテファ殿下の妃となられて、オーリオラ姫

という可愛いらしい娘が誕生した。


次女の〈白百合の妖精姫〉エウラリーアは、

このヴィーラリア王国の次期国王であられる

レオニースト殿下の婚約者となられた。


そして、三女〈春紫苑の妖精姫〉フェリチタ。

三姉妹の中でも、まだ13歳ながら美しく

可憐に育ち、誰の元へ嫁ぐのか、と注目を

一際、集めるようになった。




私は、〈白百合の妖精姫〉エウラリーア。


18歳の誕生日、今年の夏頃に、婚約者の

ヴィーラリア次期国王、レオニースト殿下に

嫁ぐ予定となっている。


いつも相談に乗ってくれたエレオノーラ

お姉様に相談したい………けれど、お姉様は

大国に嫁いで、1児の母になったばかりで

相談しにくいのだけれど…


私は、結婚を前にして、不安なのかしら?


異国の言葉で言うならば、マリッジブルー

というものなのかもしれないわ!






「エウラリーア様、この度は、

1週間の滞在を許可して下さいまして 

ありがとう存じます。」


「ええ、我が家に、いらっしゃい!

貴女が、エレオノーラお姉様が言っていた

イザベルカ王国に住む再従妹なのね?」


お母様から聞いたことがあります、祖父の

イクサー伯爵の実妹は、イザベルカ王国に

嫁入りしたのだそうです。


彼女は、その実妹の孫娘にあたる方なので、

私の母方の再従妹(はとこ)にあたります。


「はい、イザベルカ王国の北に位置します

アガフォーン辺境伯領からやってきました。

セルベスタ伯爵が長女、ラミューゼ・ティ・

アガフォーン・セルベスタと申します。

宜しくお願い致します。」


「ふふふ。ええ、宜しくね!

エレガノット公爵が次女、エウラリーア・

ティ・イクサー・エレガノットよ!」


ラミューゼは、美しい艶のある黒の長い髪に

珍しい薄緑の瞳を持つ少女です。


ひとつ年下なので、17歳になるそうです。


「アガフォーン辺境伯家のご親族なのね。」


「はい、わたしのお母様が、アガフォーン

辺境伯家の先代当主の一人娘なんです。」


「もしかして、貴女、あの〈辺境の歌姫〉の

エリューシャ様のご息女!?伯爵家に嫁入り

している、とは聞いていたけれど…!」


〈辺境の歌姫〉エリューシャ様というお方は、

時々、各地に現れるらしい伝説の歌姫だ。


その正体は、大国・イザベルカ王国の北部

アガフォーン辺境伯令嬢らしい。


ちなみに、レオニースト殿下のお母様である

ケイティ王妃は、大ファンのひとりなので、

エリューシャ様が嫁入りしているという話は

そのケイティ王妃から聞きました。





「ねえ、ラミューゼ。」


「はい、なんでしょうか。」


「貴女に、聞きたいことがあるの。

エリューシャ様は、アガフォーン先代

辺境伯の一人娘なのよね?今は、どなたが

アガフォーン辺境伯になられてるの?」


「今の辺境伯様は、アイラート義叔父様が。

ユージェルト先代公爵の五男にあたる方が

辺境伯家に養子入りしたのです。」


「まあ!そうなのね!」


ユージェルト公爵家は、イザベルカ王国の

王族の中でも、有力な立ち位置にいます。


今、イザベルカ内部で目立っているのは、

イザベルカ国王陛下のサーラサ王妃の生家

ティーラン公爵家でしょうけれど、その次に

今、注目を浴びている勢力でしょうね。


「はい、親族のオウルドール子爵家の長女

リリィーシェ義叔母様を妻に迎えています。

ちなみに、嫡男のユーリス様は、わたしの

婚約者でございます。」


「まあ!貴女も、なかなか難しい立ち位置に

いるみたいね? 何かあったら、相談して?」


「はい、ありがとう存じます。」


ラミューゼのお父様………

確か、ライザー様でしたっけ?


ライザー様は、一番、辺境伯家に近い血筋。


普通ならば、セルベスタ伯爵、ライザー様が

アガフォーン辺境伯になってもおかしくない。


でも、ライザー様のお母様は、イザベルカの

王族ではなく、隣国ヴィーラリア王国の王族

イクサー伯爵令嬢ですからねえ。


「なるほど………

それで、イザベルカ王族から養子入りした

辺境伯アイラート様のご子息、ユーリス様と

本来の辺境伯の血筋のご令嬢である貴女が?」


「はい、そうなりますね。

でも、このヴィーラリア王国の次期国王

であるレオニースト殿下の婚約者になられた

エウラリーア様の方が大変なのでは?」


「貴女の祖国、イザベルカ王国の次期国王

セテファ殿下に嫁いだエレオノーラお姉様と

比べたら、私の悩みは小さなものよ!」


私は、生まれ故郷の、慣れ親しんだ王国の

慣れ親しんだレオニースト殿下に嫁ぐ。


お妃教育は大変ですが、大国のイザベルカ

王国の次期国王、セテファ殿下に嫁いだ

お姉様がいるの!弱音は吐けないのよ!


「エレオノーラ様は、確かに、大変ですね。

今は、子育て期間なのでお見かけしませんが

最初は挨拶周りが、大変お忙しそうでした。

アガフォーン辺境伯領にも来られましたよ。」


「まあ!そうなの?エレオノーラお姉様は

本当に、素晴らしいわ!!」


「ふふ。エレオノーラ様とエウラリーア様は

とても仲の良い姉妹なんですね。」


「ええ、もちろんよ!」


比べられることが多いから

ちょっとだけ、お互いに劣等感は

あるのですけれど………


そこも含めながら、仲良しだと思うわ。

喧嘩したことはないのよ。


私は、優しい姉と可愛いらしい妹、そして、

優秀なディルクお兄様がいて、幸せよ。






「あ、そういえば、ラミューゼ!

貴女には、兄弟姉妹って、いるの?」


「はい、20歳になるキースお兄様がいます。

シンディー男爵令嬢のアメリーお義姉様と

結婚して、リジィーという産まれたばかりの

一人娘がいます。」


「まあ! 私も、知っての通り、可愛いらしい

産まれたばかりの姪っ子がいるの、一緒ね?」


「はい、共通点が多くて、嬉しいです。」


ゆったりと、お上品に、ふわりと嬉しそうに

笑う、可愛いらしい笑顔のラミューゼ。


こちらも、思わず、ニコニコしてしまいます。


穏やかな方ね、お友達になれたら嬉しいわ。







18歳のお誕生日。


晴れやかな夏空の下の教会にて

レオニースト殿下と私、エウラリーアの

盛大な結婚式が執り行われました。


私は、真っ白なウェディングドレスです。


白百合の花びらをイメージしていますから

本当に、〈白百合の妖精姫〉のようだと。


この結婚式には、沢山の方々がお祝いに

来てくださっています。最近、お友達に

なったラミューゼの姿も。


「エウラリーア様!

ご結婚おめでとうございます!」


「まあ! ラミューゼ!

とても可愛いらしいプレゼントね

本当に、ありがとう!」


可愛いらしい薄ピンク色の花束と一緒に

〈白百合の妖精姫〉をイメージしたかのような

刺繍が施されたハンカチ。


花束は、嫁入り先の、ヴィーラリア王宮の

お部屋の花瓶に飾りましょう。


「エウラリーア様、この度は、

ご結婚、誠に、おめでとうございます。

私は、アガフォーン辺境伯の嫡男にあたる

ユーリスです。宜しくお願い致します。」


「まあ! 貴方が、ラミューゼの婚約者さん!

ええ、宜しくお願い致します!」


イザベルカ王国の王族特有の銀髪………!

セテファ殿下に、そっくりだわ!


そういえば、今のアガフォーン辺境伯は、

王族のユージェルト公爵家から、養子に

来られた方でしたね。


セテファ殿下の親族だから、そっくりなの

かもしれません。


「実は、私も、来年の春頃に、ユーリス様と

婚姻を結ぶことが決まりました。」


「まあ!そうなの? おめでとう!

貴女の結婚式にも、ぜひ参加したいわ!」


「はい、ぜひ! ありがとうございます!」


未来のヴィーラリア王妃となる予定の私と

隣国の次期辺境伯夫人になるラミューゼ。


この国にとっても仲睦まじいのは良いこと。


と考えるのと同時に、立場関係なくお友達に

なってくれた彼女の幸せを願います。






「エウラリーアお姉様!

お姉様のお友達にご挨拶しても

良いでしょうか?」


「ふふふ。ええ、もちろんよ。」


残念ながら、エレオノーラお姉様は

イザベルカ王国を離れることが出来なくて

フェリチタが、結婚式に来られたお客様の

女性陣の対応をしているようです。


ユーリス様が、ヴィーラリア王国の貴族に

隣国の次期辺境伯として、ご挨拶に行かれた

タイミングで、フェリチタが合流しました。


「こちらは、アガフォーン辺境伯領に住む

セルベスタ伯爵令嬢、ラミューゼよ。」


「ラミューゼ様、初めまして!

エレガノット公爵が三女、フェリチタ・

ティ・イクサー・エレガノットです!」


「フェリチタ様、宜しくお願い致します。」


〈春紫苑の妖精姫〉と呼ばれているような

愛くるしい可憐な少女、フェリチタ。


私たち4兄妹の末っ子なので、お父様も、

お母様も、妹を甘やかしてばかりですけれど

強かな世渡り上手な子です。





「ラミューゼ様!

私は、異国を知りたいのです!

15歳くらいから留学先候補にアガフォーン

辺境伯領を候補にいれても良いでしょうか?」


「フェリチタ様は、留学されたいのですね。」


「ええ、留学してみたいのです!

島国のイーリスト王国も気になりますが、

伝手が無いので……エレオノーラお姉様が

いるイザベルカ王国なら、お父様お母様から

許可が出るかしら、って思っているのです。」


エレオノーラお姉様の義理の妹となられた

メルリース姫は、そのイーリストの王家に

嫁入りするそうなのですけれど


私や、フェリチタは、メルリース姫と直接の

関わりが、あまりありませんからね。


「まあ!そうなのですね!

エウラリーア様は、どう思いますか?」


「ふふ。そうね、ラミューゼがいる

アガフォーン辺境伯領なら、安心して

フェリチタを預けれるかもしれないわ。

でも、まだ13歳よ。許可が出るのは

15歳からかもしれないわよ?良いの?」


「留学出来るなら、2年後でも待ちます!」


「そう、お父様に話してみましょうね。」


後日、この留学の話を聞いたお父様は、

大変心配そうにしていました。


行くのは15歳から、親族のセルベスタ

伯爵家に滞在するのならと許可が出ました。


もちろん、フェリチタは、大喜びです。







私達の結婚式から

2年の月日が経ちました。


レオニースト殿下と〈白百合の妖精姫〉

エウラリーアの間には、国民待望の男児

セティオーンが誕生しました。


と同じ時期に、

大国・イザベルカ王国にて、セテファ殿下の

妃である〈露草の妖精姫〉エレオノーラお姉様

から、嬉しいお知らせが届きました。


イザベルカ次期国王セテファ殿下との間に

第二子となります待望の男児ユディファ様を

ご出産されたそうです。


セティオーンの誕生に加えて、セテファ殿下

そっくりな男児誕生の噂も聞いて、国民達は

大変、賑わっているようです。


「お姉様達が、大変な時に………!」


「良いのですよ。イザベルカ王国への留学は

フェリチタの夢、なのでしょう?」


「エウラリーアお姉様………はい、そうです!

ありがとうございます!お手紙出しますね?」


「ええ。フェリチタ、行ってらっしゃい。」


「エウラリーアお姉様! 行ってきます!」


私たち4人兄妹の末っ子

相変わらず元気な〈春紫苑の妖精姫〉

フェリチタが、イザベルカ王国の北部

アガフォーン辺境伯領に旅立ちました。


ラミューゼ様は、アガフォーン次期辺境伯に

嫁入りしたのですが、セルベスタ伯爵家へと

2年くらいでしょうか、滞在予定です。


賑やかな妹がいなくて寂しくはなりますが

可愛いらしい息子のセティオーンがいます。

ですから、大丈夫ですよ。

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