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颶風院姫燐はヤリサーの姫であるッ!  作者: 小野山由高
第5部「終極! 最終決戦!!」
45/52

45本目「終幕! これにて大団円!!(前編)」

 ムンクの『叫び』って絵画があるだろう。

 誤解されがちだけど、あれって絵に描かれてる人が叫んでるわけじゃなくって、あの人は耳を塞いで『叫び』を聞かないようにしていると聞いたことがある。

 豆知識はともかく、何も知らない人が見たらあの絵は人が叫んでいるように見えるのには違いない。僕もずっとそう思っていたし。




「…………」




 無言の叫び――声なき叫びを姫咲はあげていた。

 その顔は、もう完全に『叫び』の絵そのものだ。

 ……人間ってこんなにも表情だけで『絶望』を表現できるものなんだなー……なんてことを考えてしまう……。




「……サキ、大学入れないの……?」


「まだ決まってませんが、このままならダメでしょうね」




 ズバッと姫先輩は容赦なく言う。マジ容赦ない。

 でも真実だよね……。

 模試の結果がイコール合格できるかどうかが決まるわけではないけど、目安としては十分だろう。

 で、その目安からするとF判定ってことは――まー、ほぼほぼ無理じゃないかなー……。

 ……僕の知る模試の判定ってA~Eの5段階評価だった気がするんだけどなー……6段階評価の模試だった可能性はあるけど、どっちにしても最低評価なのには変わりないだろう。

 まさかのAが最低、Fが最高評価という可能性はないことはないけど……いやないわ。姫咲、多分、いやほぼ間違いなくアホの子だし。

 姫先輩の妹なのになー……栄養が全部腕力に行っちゃったのかなー……。




「そ、そんな……」




 ついにガクリと姫咲が崩れ落ちる。

 …………終わったな、これは。完全に。




「全く……仮にわたくしが休学したとしても、貴女が合格できないのでは意味がないではないですか」




 本当にね……。

 2年生時に休学したとして、肝心の姫咲がもう1年浪人しちゃったとしたら何の意味もない――学年差は変わらないどころか開く一方だ。

 まさかの休学お替りなんてするわけもないしね。

 ……来年に入学できず再来年になるとしたら、その時姫先輩は4年生――新1年生とは講義でもサークルでもほぼ関わりは持たないだろう……。




「サキ、貴女が今やらなければならないのは、迷惑をかけた皆さんに謝罪すること!

 そして優先すべきは、受験勉強です!!」


「…………」




 ほんと容赦ない。

 色々とショックを受けている元妹を慰めることもなく、正論パンチでフルボッコだ。




「サキ?」




 項垂れて反応のなくなった姫咲へと続けて声を掛ける。

 反応がないのを心配したわけじゃない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()、という問いかけだ。

 ……その証拠に傍で見ている僕たちにもわかるほどの『圧』がかけられている。




「……サキ」


「――ぴぃっ!?」




 怖ぇぇぇっ!?

 微妙にドスが効いた低い声に、思わず僕まで震え上がってしまった。

 ……姫先輩は怒ると怖い。覚えておこう……。




「ご、ごめんなさい……」




 縛られたまま器用に立ち上がった姫咲が、慌てて背後に控えるヤリマン狩りたちへと頭を下げる。

 ……なんというか、この二人の姉妹関係がどうだったのか、想像がつくなー……。

 ある意味、どっちも極端な性格してると思う……姫咲がひどすぎるけど。







 で、そこからしばらくは姫咲がひたすら皆に謝るという展開が続いた。

 そりゃーね、姫咲のワガママに振り回された形になるんだしね……ヤリマン狩り自身がそもそも道を踏み外しているというのは置いておいてもね……。

 特に真由美ちゃんなんかは大学の推薦が不可能になったし、カルマ(バイク乗り)は違反切符切られただろうし。他にも警察のお世話になった人がいるかもしれないし……。

 幸いといっていいのか微妙なところだが、ヤリマン狩りたちも自分がそもそも『悪い』ということは理解しているのだろう、特に姫咲に対して怒ったりしている人はいなかった。

 ……ここから怒ったヤリマン狩りたちに襲い掛かられても姫咲の自業自得だとは言えるけど、そんな場面見るのは嫌だしねぇ……。




「皆様、妹がご迷惑をおかけまして本当に申し訳ございません」




 姫先輩も頭を下げて回っている。

 ……姫先輩はむしろヤリマン狩りたちに襲われた側なので謝られる立場のはずなんだけどね……まぁ一応『身内』の不祥事だしね……。

 謝られているヤリマン狩りたちも、むしろ自分が申し訳ないと謝罪合戦が始まっている……。


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