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颶風院姫燐はヤリサーの姫であるッ!  作者: 小野山由高
第3部「激闘! ランク試験!!」
22/52

22本目「挑戦! いざボウケン者ギルドへ!!(中編)」

 JR秋葉原駅を降りて徒歩数分。

 大通りに面したビルが目的地であった。

 …………僕の記憶が正しければ、ここは普通のビルだったはずなんだけどなぁ……。




「やっぱり異世界に迷い込んでたりするのか……?」




 一階部分に円形の闘技場のような妙な建物が併設し、その隣に先端が鋭く尖ったビルがある。

 ……いや、絶対にこんなビルはなかった気がするんだが……秋葉原に来たのは数年ぶりなので僕の記憶違いかも……?

 何か裏道とかも闘技場? のせいで潰れてるし……。




「まぁいいか」




 もう槍関連に関しては考えるだけ無駄だと悟った。突っ込めるところは今後も突っ込んでいきたいところだが。

 僕はサイトの案内に従い、ビルの方ではなく闘技場らしき建物の方へと入っていく。







「ようこそ、ボウケン者ギルド東東京支部へ!」


「…………すみません、間違えました帰ります」




 闘技場入口から入った先、広めのロビーとなっているところに受付カウンターがあり、入った途端に中にいた人に声を掛けられた。

 うん、やっぱり槍界隈は複雑怪奇だ。

 なんだよ冒険者ギルドって……ここやっぱり異世界なんじゃないの?

 ……ここで帰ってしまったらランク試験も受けられないし、来た意味がなくなるかー……嫌だなー、関わり合いになりたくないなー……。




「…………すみません、やっぱり残ります」




 素直に受付の人に謝る。




「ようこそ、ボウケン者ギルド東東京支部へ!」




 ……何事もなかったかのように続ける気なのか、ボットなのか気になるところだ。

 っていうか、冒険者ギルドって言ってるけど槍の試験会場はここで間違えてないよな……?




「えっと、槍のランク試験を受けに来たんですけど……」




 ツッコミはまだ取っておこう。

 僕も何事もなかったように話を続ける。

 すると受付さんはにっこりと微笑む。




「かしこまりました。受験票の提示をお願いいたします」


「はい」




 どうやらここが試験会場で合っているようだった。

 スマホで受験票を提示。

 記されていたバーコードをぴっと読み取られる。




童妙寺(どうみょうじ)貞雄様ですね。本日は『Fランク』の受験となっております。御間違いないですか?」


「はい、大丈夫です」




 槍のランクは『F』が最低でそこから『A』まで一段階ずつ上がっていく。

 『A』の先は『S』、更にきっと『SS』とか『SSS』まで上がっていくことになるのだろう。姫先輩がSSSだって言ってたけど、もしかしてそれ以上もあるのかもしれない……。

 ……先は長いなー……。




「それではあちらへとどうぞ」




 受付さんが指した方に開かれたドアがあり、その先にまた部屋があるようだ。

 試験が始まるまでまだ間があるのかな? そこが待機部屋ってことなのだろう。

 言われた通りそちらへと移動する。




「…………ここは本当に日本なのか……?」




 中の光景は目を疑うようなものだった。

 何というか、ファンタジーRPGに出てくる『酒場』みたいな感じだ。

 それ自体はまぁ……『そういうコンセプト』で作ったと言われれば納得できなくもない。アキバならそういうお店ありそうだし。

 問題なのは、あちこちにいる人たちだ。




 ――そうか、ゴブリンの群れが――


 ――Sランクパーティー『銀の翼』が壊滅――


 ――これから東京駅ダンジョンに向かいまーす! 同行してくれる方はいらっしゃいませんかー――




 …………見なかったことにしたい……!!

 が、ダメ……っ!!

 この部屋で待機してなきゃならないらしいし……!

 何なんだ、ここは……マジで異世界に来てしまったのかと思ったぞ。いや、半分くらい異世界なんじゃないかと疑ってるけど。

 まばらに散ったテーブル席に、『槍』を持った人たちが何グループもいた。

 うん、まぁこれがファンタジーな酒場ならわからないでもないけどね?

 発言内容も色々とおかしい。

 なんだよ、ゴブリンって。ここは日本ぞ? Sランクパーティー? ダンジョン? どういうことなの……。

 あと、そもそもランク試験受験者が待機してる場所なんじゃないの?? なんで他の人もいっぱいいるの??? どう見ても職員とかじゃないよね?????




「へっへっへ……お嬢ちゃんたち、試験受けに来たのかい?」


「ぐっへっへ……おじさんたちが手取り足取り教えてやろうかぁ?」




 …………聞かなかったことにしたい……!!

 が、ダメ……っ!!

 仕方ないなぁ……と声がした方を見ると、予想通りの光景があった。

 さっきから周囲にいる不審者たちの中でも極めつけの不審者たちが数人、誰かを取り囲んでいる。

 何というか、漫画とかでよくありそうなよくわからん毛皮のベストを羽織った、いかにもな『チンピラ冒険者』って感じだ。

 ……冒険者って何だよここは日本だ、というツッコミはもう諦めた。




「え~♥ でもぉ、おじさんたちボクより弱そうだしなぁ~♥」


「(ボソッ)底辺ボウケン者の分際で……弁えろよ」




 ………………やっぱり聞かなかったっことにしたい……切に……!!

 が、ダメ……っ!!




「あ、貞雄じさんじゃ~ん♥」


「(ボソッ)キモっ……なんでここにいるの……ストーカー……?」




 先に向こうに気付かれてしまった……。

 チンピラ冒険者に絡まれていたのは、綺璃花(きりか)ちゃんと綺瑠夜(きるや)君だった。

 僕に気付いた瞬間、にたぁっとキルヤ君がメスガキ風味の笑みを浮かべ、




「貞雄じさぁん♥ このおじさんたちがしつこいのぉ~♥」




 と僕の腕に抱き着いてくる。

 それを見たチンピラ冒険者たちがビキィッと擬音が浮かびそうな怒りの表情を僕に向けてくる。

 勘弁してくれよ……キルヤ君、自分でどうとでも出来るレベルでしょうに……。

 とはいっても、いくら強いからといっても小学生に押し付けるのは、大人の男として流石にどうかとは思う。




「んだぁ、っめっらぁ!?」


「っすぞらぁっ!?」




 やはり異世界語か……!?

 はぁ……そんな冗談で心を紛らわすことしかできないよ……。

 んー、でもキルヤ君たちを放っておくわけにもいかないし、まぁ2~3発殴られればそれで済むかなー……。

 なんて、ターゲットを僕へと切り替えたチンピラ冒険者たちが詰め寄って来た時だった。




「ランク試験受験者の皆さま、お待たせいたしました」


「うわっ!?」




 僕のすぐ後ろから良く通る女の人の声がした。

 すると、チンピラ冒険者たちが顔を真っ青にして後ずさりする。




「おや? 受験生の皆さまへと何か御用でしょうか?」


「い、いや……その……」


「なななな、なんでもないっすよ!」




 チンピラ冒険者たちはそのままもにょもにょと言い訳をしながら、逃げ去ってしまっていった……。




「た、助かりました……って、さっきの受付さん!?」




 情けない話だが助かったのは確かだ。

 振り返って相手を見てみると、ついさっき入口で会話した受付さんだった。




「みどりちゃん! やっほー♥」


「こら、キルヤ君。お仕事中は『みどりちゃん』禁止ですよ」




 キルヤ君も僕から離れて受付さんに絡んでいる。知り合いらしい。

 受付さんは適当にキルヤ君をあしらうと、真正面から僕の方へと視線を向ける。

 ちょっと緊張するな……。




「わたくし、本日皆さまのランク試験のサポートを務めさせていただきます。阿埜熊(あのくま)(みどり)と申します。

 どうぞよろしくお願いいたします」




 受付さん――改め、碧さんはそう言って一礼。

 さっきは緊張してたりで気付かなかったけど、この女性も物凄く美人だ……20代の半ばくらいだろうか。

 …………が、着ている服が『緑色のバスガイド』っぽいのが何だか妙に引っかかる……まるで課金を促されるかのような、どこか吸い込まれていくような不思議な感覚がする……。




「本日の受験者は――揃っているようですね」


「いつの間に……!?」




 碧さんの言葉にふと気づくと、僕らの周囲に30人くらいの人だかりができていた。

 マジでいつの間に……。

 いや、突っ込むまい……槍界隈の事柄に突っ込んでいってもキリがない。




「あれ? キルヤ君たちもランク試験受けるの?」


「そーだよぉ~♥ 12歳になったからやっと受けられるんだぁ~♥」


「(ボソッ)話しかけてくんなよ、キメェ」




 なるほど、腐っても資格試験の一種だ。年齢制限があるってわけか。

 ……というか、キルヤ君たちって12歳――小学6年生ってことかな? まぁ大体そのくらいの年齢だとは思ってたけど。




「それでは皆様、試験会場へとご案内いたしますので、わたくしに着いてきてください」




 そう言って碧さんがスタスタと歩いて行ってしまう。

 闘技場の更に奥――普通に考えれば、コロシアムみたいな感じなんだろうけど、槍界隈に僕の思う『普通』は通じないからなぁ……。




「キリちゃん、貞雄じさん、いこっか♥」


「そ、そうだね……置いていかれたくないしね……」


「(ボソッ)当然のように着いてくるんじゃねぇよ、キメェな」




 こんな無法地帯で一人迷子になったら、生きて帰れる気がしない。

 キルヤ君に促されるまま、僕らは碧さんの後を追って闘技場の奥地へと向かって行く――







 ――この時点で既にランク試験が始まっていることになど、気が付きもせずに……。


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