表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
颶風院姫燐はヤリサーの姫であるッ!  作者: 小野山由高
第2部「因縁! ヤリサーの姫とヤリマン狩り!!」
17/52

17本目「理解! ヤリ部屋でのランパ!!(前編)」

 ビルの2階への階段を上がると、姫先輩が言っていた通り廊下を除いてワンフロア全てが畳張りの『道場』となっていた。

 下にいる時に特に上から音も聞こえなかったことから、当然防音とかもしっかりしているのだろう。




「ここが子供たちのヤリ部屋です♪」




 最悪な字面っすね……。

 姫先輩が言ってるだけに突っ込みづらい……。




「……結構子供いますね」




 ぱっと見た感じ、20人くらいだろうか。思った以上に人数がいて、そこそこ広めのはずの道場なんだけど少し手狭だ。




「そうですね……でしたら3階にももう一つ道場がありますので、そちらで試し槍してみましょう」


「……ほんと、槍のビルなんですねぇ……ここ」




 僕が知らなかっただけで槍は意外とメジャーな競技なんだろうか……? それとも、ここが日本で唯一の槍スポットなのか……?




「あ、この時間であれば3階は空いているので、申し訳ありませんが貞雄さん、先に向かっていただけますか?

 わたくし、少々話がありますので……」




 申し訳なさそうに言う姫先輩。

 一人で、ってのはアレだけど――




「了解っす!」




 流石にこの歳になって『一人じゃいやー』なんて言ってられない。

 それに、購入予定の槍を構えたり軽く振ったりして感触を確かめるだけだし、姫先輩がいなくても大丈夫っちゃ大丈夫だ。

 こちらに上がってきた店員の爺さんや槍の先生たちと話があるのだろう。

 僕は言われた通り一人で3階の道場へと向かうのだった。







◆  ◆  ◆  ◆  ◆







「ふーん? 姫燐(きりん)ちゃんと一緒に来た男の人、ねぇ……?」


「…………」


「ちょっと面白そうじゃん♪」


「…………」


「ねね、こっそり抜け出していっちゃおうよ~」


「…………」







◆  ◆  ◆  ◆  ◆







 3階は全てが道場というわけではなく、事務室? のような部屋だったり倉庫だったりもあった。

 店用の倉庫だったら不便じゃないかなーとも思うんだけど、まぁ僕が考えることでもないか。そんなに商品の入れ替わりがあるわけではないだろうし。

 3階の少し小さめの道場は、姫先輩が言ってた通り開いてはいたが誰も使っていない。




「よーし、ちょっと試してみるか!」




 これでもサークル活動で基本は習っている。

 壁際の姿見を前に、槍を構えてみる。

 ……おお、自分で言うのもアレだけど、こうやって『自分の槍』を持ってみると……何か一丁前になったって感じがしてくるな。もちろん、僕なんて素人同然なんで浮かれていいわけはないんだけど。

 でも、このままヤリサーで頑張って腕を磨いていけば――もしかして……。




『すごいですわ、貞雄さん! ヤリの天才です!!

 素敵! 抱いて♥』




 ……なんてことになったりして……ぐへへ。




「うへへ……ぐふふ……」




 何てことを考えながら槍を振ってみていたら……。




「うわ~みてみて~キリちゃん~! 変なおじさんが気持ち悪ぅ~い笑いうかべてる~」


「…………」




 ひぇっ……。

 僕一人だと思っていたら、いつの間にか子供が3階に上がってきていたらしい。

 ……『おじさん』とはなんだ、おじさんとは! 僕はまだ18歳だぞ!!




「え、えっと……君たちは……」




 2階にいたチビッ子ヤリマンだろうか……?

 入って来た子供たちを見て――不覚にもちょっとドキッとしてしまった。

 とても綺麗な子たちだった。




「やだ~、こっち見てる~」




 ケラケラと笑う子。

 髪の色は黒なんだけど、大きく盛っている――言葉を選ばなければ『ギャル』みたいな派手な髪型だ。

 服は暖かくなってきたことを除いてもかなり薄着、と言えるだろう。

 ほっそりとした綺麗なお腹が丸見えだ。流石におへそにピアスはつけていないが。

 足もほぼ付け根まで見えている、限界ギリギリのホットパンツだ。

 ……ただ、年齢が明らかに幼い。中学生……いや小学生だろうか?

 とっても綺麗だし可愛らしいんだけど……僕のことを完全に舐め切っているというオーラが全身から溢れ出ている……。




「…………」




 もう一人、女の子がいた。

 こちらは派手な子とは真逆に暖かくなってきたというのに結構な厚着をしている。

 姫先輩と同系統の、(童貞)好みのいかにも清楚な感じだ。多分、派手子と同じくらいの歳なんだろうけど、落ち着いたファッションのせいか大人びて見えるかも。

 ……ただ、目が隠れるくらいまで伸びた前髪に、マスクをつけているため顔が全く見えないのが何というか……マイナスポイントだ。

 表情も見えないし、多分一言も喋ってないし……。




「ねぇねぇ、おじさぁん」


「お、おじさんじゃないし!」




 お兄さんと呼んでくれよ。

 僕の言葉を無視して派手子ちゃんはぐいぐいと距離を詰めてくる。




「おじさんもヤリやるんだよねぇ~?」


「あ、ああ……うん、まぁ……」




 子供とはいえ『ギャル』はマズい……(童貞)と相容れない生き物ナンバーワンと言っても過言ではないだろう (※個人差はあります)。

 『オタクに優しいギャル』は存在する!

 しかし、『モテない男に優しいギャル』は存在しねぇっ!! 優しく見えるのは単に礼儀として接しているだけか、何か裏があるかだけなんだっ!!! (※偏見)

 そしてこの派手子は、絶対に『裏』があるタイプだ。そうに違いない僕は詳しいんだ!




「じゃあさぁ~、ボクが相手してあげようか~?」


「…………君が?」




 にやっと笑って僕の顔を覗き込んでそう言う派手子。

 そう言うってことは、やっぱりこの子はチビッ子ヤリマンなのだろう。

 うーん、でもなぁ……僕も始めたばかりの素人とは言え、子供相手にはなぁ……。




「あれれ~? もしかして怖いのぉ~?」


「……!」




 ぴくっ。




「おとななのになっさけなぁ~い♥」




 イライライラ……。




「あーわかったぁ~。はじめてだから(スキン)のつけかたわからないんだぁ~♥

 うわっ、バッキバキの新品じゃーん♥

 しょうがないからボクがつけてあげるね♥

 ――ほぉらこれでできましたぁ~♥」




 ムクムクムク……。




「あ、そーだ♥

 もしボクに勝てたら、なぁ~んでも言うこと聞いてあげちゃうよ~♥」




 グツグツグツ……。




「え~? これでもやる気でないのぉ~? 根性なし♥

 ほ~らっ、出せっ♥ 出せっ♥ ヤる気出せっ♥」




 ――メスガキが……大人を無礼(ナメ)るなよ……!!




「……何でも言うことを聞く――二言はないな!?」


「あはっ♥ ヤる気出た♥

 いいよ~、ボクに勝てたら何でも言うことを聞くよ~」




 そして彼女はボクの耳元で囁く。




「も・ち・ろ・ん、エッチなことでも……いーよ♥」




 うっっっっ!!!!!!!!!!!!

 ビクッビクッ




 …………ふぅ……いかんいかんあぶないあぶない……。

 まだ戦いは始まってもいないんだ。

 沈まれ、僕の神槍(ロンギヌス)……(※過大評価)




「その代わりぃ~、ボクが勝ったら――」


「いいだろう、僕が君の言うことを何でも聞く……上等(ジョートー)だ!」


「じゃ、ヤろっか、おじさん♥

 ルールはぁ……どっちかが負けを認めるまでね♥」




 審判もいないし、『参った』するまで続くというわけか。逆に僕にとってはやりやすい。

 大人をナメたメスガキめ……覚悟しろよ?

 子供だから負けても大した目に遭わないと油断しているんだろうが――残念だったな! 僕は童貞卒業できるならぶっちゃけ何でもありだ!! 男とはそういう生き物なのだ!!! (※個人差があります)

 くくく……ばっちり記録しておいてやるからなぁっ!! 向こう100年は■■■の■■■■の■■■になるような目に遭わせてやるぜ……!! (※二重の意味で犯罪です)




「じゃ、準備はいーい?」


「いつでも来い!」




 僕と派手子が互いに槍を構え――僕の人生最初の試合(ランパ)は始まった……!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ