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アーリア物語 ~神と白竜と私(勇者)~  作者: いちこ
第1章 クリフト王国の日々
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第1章7幕 冒険者アルト

 アルトは森で生活していた時に倒したモンスターの魔石をマジックポーチに貯めていた。それをギルドで換金し、当面の宿代を手に入れた後、ひとまず思いつく限り必要な道具を買い込み、ハンスに教えてもらったおススメの宿へと向かった。


 暫くここで生活をしたいと申し出て手続きをした後、部屋へ案内される。ここで新たな生活が始まる、そう心を躍らせるアルトはフードから勝手に付いてきた妖精を引っ張り出した。

「さてチッチ、お前の処遇をどうしてくれようか。なぁ?」

 そうチッチに語りかける。テーブルの上で小躍りを始めるチッチ。それは心を落ち着かせる魔法が掛かったチッコリの『不思議な踊り』だった。


「俺にその踊りは効かないのは知ってるだろ」

 チッチにそう語りかける。一緒に暮らし何度もこの踊りを見ている内に抵抗力が付いたのだ。もっとも、踊りが効かないとしてもこの妖精は家族のようなものなのだ。どちらにしても許してしまうのだが。


「明日から冒険者として早速依頼を受けて早くランクアップしなきゃね」

 そう妖精に語り掛けると水浴びなど寝る準備を終え、床につくのであった。


 翌朝から早速ギルドへ顔を出すアルト。彼は最低ランクのFランクからのスタートになる。どんなに実力があろうとも冒険者としてのステップはキチンと踏ませる。それがギルドの共通ルールだ。


「Fランクで受けられる依頼ってどんなのがあるんだろう?」

 そう呟き掲示板を見やるアルト。そこへハンスが話しかけてきた。

「おはようアルト。早速依頼を受けるのか、張り切ってるなぁ。」

 なぜか満足そうにうんうんと頷くハンス。どうやら彼は子供好きなようだ。

「おはようハンス。最低ランクで受けられる依頼ってどんなのかなぁ?」

 ハンスにアドバイスを求めるとハンスはここぞとばかりに饒舌に語り始めた。

「依頼表に最低ランクが書いてあるだろ?自分がそれ以上のランクであれば受けられるんだ。最初は比較的安全な場所での素材集めや、ギルド職員の育成担当と一緒にモンスター討伐なんだが、お前さんの場合モンスターとの戦いもアドバイスが必要に思えないしなぁ。Fランクでも受けられるもので興味がありそうなものを持って依頼受け付けで聴いてみるといいさ。依頼受け付けは二階じゃなくて一階の奥だからな。」

 そう丁寧に語り受付カウンターを指さす。ハンスは本当に面倒見が良いようだ。

「ありがとうハンス。探して受け付けに持って行ってみるよ。




 アルトは依頼の中から簡単な薬草採取を選んで依頼を受諾した。モンスターとの戦闘も良いが森で培った薬草知識と王都周辺の草花の違いも知りたかったからだ。クリフト王国は国土の中心に王都があり、その東方には山脈を隔ててガリレオン帝国と接している。山脈の中央部に渓谷があり、唯一帝国との街道が存在する。東方には大きい街と渓谷入り口に砦が存在する。そして東側もまた緑豊かな森が存在する。

 北部は平原が続いており、街道沿いにいくつかの村や小規模な街が存在するらしい。そのさらに北方に大きな街があり、漁業などが盛んだと教わった。

 南部も丘と平原が続く長閑な風景が広がっており、街道はしばらく進むと南東側と南西側に分かれる。南西側が魔法王国ローゼリアへと渡る港町へ向かう道、南東側が自由都市国家リージアへと渡る港町へと向かう道だ。


 今回の依頼は南部の平原に自生する特に珍しい種類でもない薬効のある薬草を集めてくるものだった。周りにモンスターや敵意を感じるような気配はなく、のんびりと薬草採取に励む。

「まぁ駆け出し冒険者なんてこんなもんなのかな。それにしても長閑だなぁ」

 アルトは森の外の世界を堪能しながら必要数を集めて昼過ぎにはギルドへ戻っていった。




 初日から1週間ほど、毎日1つか2つの依頼をこなしていく毎日。アルトは冒険者の生活に慣れ始めていた。そんな時にギルドマスターのヨルマから呼び出しを受ける。

(あれ?なんかミスしちゃったのかな?)内心ドキドキしながらも二階へと上がりヨルマの部屋へと通されると、ヨルマは笑顔で迎えてくれた。

「アルト、お前に指名依頼があるんだが…あぁ指名依頼ってのはランク関係なく受けられるものでな、内容を確認して受けるかどうか決めて欲しいんだ」

 ヨルマはそう説明をして依頼書をアルトに投げて渡す。受け取った依頼書には『武芸と魔法の家庭教師依頼』と書かれている。

「なんでこんな依頼が俺に…あ!」

 読みながらそう独り言つアルトは依頼者を見て理解した。依頼者はリリー・ブラックヴェル嬢だったのだ。

「あのブラックヴェル伯爵令嬢と面識があるのか?」

「はい、王都に来る途中に偶然。襲われていたのを助けてに入ってギルドの場所も彼女に教えてもらったんです」

 ヨルマの質問に答えるアルトは話を聞くためブラックヴェル嬢の住む屋敷の場所を教えてもらい、身支度を整え向かうのであった。

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