3話
「ごはん出来上がりましたよー!」
ノックと大声で目が覚めた。さんざんケチをつけたベッドで寝ていたらしい。日差しが差し込んでいた部屋は真っ暗になっていた。一階に降り、用意されたご飯をいただく。野菜がたくさんはいったスープとパンだ。
「お野菜どれもおいしそうだったのでいっっっぱいいれましたよ!!」
「ありがとうございます。」
異世界に来ていたのが夢じゃないことを確信させるいい匂いだ。味は水分多めのコンソメスープで野菜の歯ごたえもばっちり。パンは中身もみみでできているのかと思うほどガチガチだ。
「……歯を大事にしないとな…。」
そんなことを思いながら食べていると揉めている声が入り口から聞こえる。宿屋の娘さんの声だ。
「いいじゃねえか。サービスの一つくらいよぉ~」「やめてください!」「断っていいのぉ~?俺ら何しちまうかわかんねぇよ~」
悪そうな男が二人言い寄っている。明らかに嫌そうだ。
「やめろ!!」
異世界に来た高揚感と正義感そのままに思わず声に出してから気づく。二人とも腰に剣を持っていることを。のっぽと小太りの男たちがギロリとこちらを睨みヘラヘラしながら目の前まで近づいてくる。
「なんでぇ…ヒョロガリのガキじゃねえかよ。変な服着やがって。」
彼らのにおいのせいか恐怖のせいか目に涙が浮かびそうになる。きっと前者だ。
「悪い子にゃあお仕置きがいるよなぁ!」「きれいな顔に傷でもつけてやろうぜ!!」
のっぽの男は腰の剣を抜き振りかぶってくる。剣が近づいてくるのがゆっくりに見えるのに体は動かない。(大丈夫今にチートスキルが発動するさ)淡い期待をしながら目をつぶる。
ドン!!という大きな音が聞こえ、おそるおそる目を開ける。目の前にいた男が壁まで吹き飛んでいた。
「見過ごせないね。」フードを被った自分よりも小さめな人がそこに立っていた。
「なんだお前は!!」
「私はただの冒険者だよ。そこでご飯を食べていただけのね。スープが冷める前に、さっさとそこでノビてる男を連れてってくれる?」
「なめやがってよぉ!!」
もう一人の小太りの男も剣を抜き、冒険者に襲い掛かる。ローブの隙間から拳が一瞬だけ見えると同時に男は壁にめり込んでいた。
「気絶する前にさっさと出てってよね。」「クソ……。覚えてやがれ……。」小太りの男は先にノビた男を担ぎながら宿出ていった。
「アンさん!!ありがとう!!!こわかったです~!」
「お礼なら先にこの子に言いなよ。私より先に止めに来たんだからさ。」
冒険者はフードをとる。とても男二人を突飛ばせるとは思えないようなかわいらしい顔が出てきて呆気にとられる。
「大丈夫?勇気あったね!名前は?」
ハッとして言葉を紡ぐ。まだ恐怖と安心と驚きで頭は回っていなかった。
「俺の先生になってください。」
「「「え?」」」




