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[完結] 銭ゲバ薬師と、思考過敏症の魔法機動隊長。  作者: Moonshine
銭ゲバ事件簿・偽宝石と、聖職者
102/115

14

「こいつはいつも私の商売の邪魔をしようとするのよ!」


二コラはイー、とその可愛い顔をゆがめてアーネスト司祭に向ける。


アーネスト司祭も、全く負けていない。


「悪魔の申し子め!この銭ゲバめ!この町の病気が治らない病気だと知っているのに、貧しい人々に薬を売りつけるなど悪魔の所業!ワシが神に代わって成敗してくれる!」


「最後まで薬を買いたい人に薬を売りつけるのの、何が悪いのよ!治らないけど、死ぬのがちょっと遅れるんだから、価値はあるわよ!それにあんたは身寄りのない患者が薬を買って、教会に残される銭が減るのがいやなんでしょ!それにさっさと天国とやらに送り込んだ方が、天国でのポイント利子が溜まりやすいとか、どうせあんたの卑しい根性はそんな事考えてるんでしょ!どっちが銭ゲバよ!」


「どうせ死ぬんだ、早く神にめされてこの苦しみから解放された方が、良いではないか!薬でこの苦しみ多い世の中に人の子を縛り付けて、苦しみのなき清浄な神の家から遠ざけているのはどこの誰だ!」


尊敬されてしかるべきのこの高名な司祭も、ニコラに対してまるで親の仇のごとくの剣幕だ。


二人はどうやら、思想の違いが著しいらしい。犬猿の仲なのだろう。


きゃんきゃんと二人は罵り合いが止まらない様子。


ジャンは頭からかぶってしまった聖水を風魔法で乾かしながら、二人の会話をじっくりと聞いていた。

(なるほど、二人ともそれぞれの言い分はあるみたいだ・・)


そこで二コラが最初に言っていたことを思いだす。


「それで、二コラちゃんは、どうしてこのアーネスト司祭の所にやってきたの?事件に関係あると思ったの?」


どうどう、と怒りに興奮している二コラを落ち着かせようと、話しかけるが、ニコラはきゃんきゃんと、止まらない。


そうしているうちに、ジャンは気が付いた。

二人のいがみ合いを見守っていたフォレストが、暗い、沈んだ顔をしていたのだ。


ジャンの視線に気が付いたフォレストが、ジャンに目線で小さな合図を送った。

フォレストの合図に導かれて、その目線を追ってみると、事務所の奥に積まれている、ガラスの材料。

銀の鎖が入っていたのだろう、まだラベルがついたままの、木の箱。ペンチ、金具。



(これは・・黒だ)


フォレストは、深いため息をついていた。

首飾りの、材料だ。それも大量の。


聞くまでもない。状況証拠は黒。なぜニコラは、思い至ったのだろう。


尊敬していた司祭の悪行の証拠に、フォレストは暗い顔で、静かに魔法の縄をなう。


(・・だが、なぜだ)


アーネスト司祭の実家は、辺境伯家だ。

金にこまった話など聞いたことはないし、そもそも司祭は、実家の反対を押し切って、貧しき人と信仰に生きるみちを選んだ、聖者のはずだ。金欲しさに、違法の装飾品を作る理由が、みあたらない。


司祭の作業机に目をやった。

司祭は、組み立ての作業を机で行っていたのだろう、魔力の小さな反応を確認したのだ。


(・・なぜ)


ジャンはニコラの傍らを離れると、机に向かう。

残骸魔力に、ジャンは手をかざした。


残骸魔力から、思考を、読むのだ。




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