表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

想うがゆえに

作者: モコ

はじめまして。モコと申します。

プロローグからエピローグまで主人公の颯斗と悠介の視点から書いています。

読みにくいかもしれませんが、彼らの心情を大切にしたく視点分けしています。

読めばわかってもらえると思うのですが、彼らの青春時代だからこそ起こりうる葛藤のようなものを描きたくこの作品を書きました。

過呼吸など体調不良描写が多めですが、それでも大丈夫そうでしたら最後まで読んでいただければ幸いです。

プロローグ:颯斗

俺は小さい頃から元気だけが取り柄だった。顔が広くて友達はたくさんいて毎日が楽しかった。

でも高校生になって気づいた。今まで出会った人となんて浅い付き合いをしていたんだろうと。

高校生になって新しく友達ができたのは良かった。でも、気づいたときには中学まで友達と思ってた人達からはなんの連絡も来なくなっていた。

気づいたのは高校2年生になってからのとある初夏の日、仲良くなった友人が中学の友達の話をしたのがきっかけだった。

なぜ今まで気づかなかったのだろう。上辺だけの友達との関係がこんなにも脆いものだということを…




1.気づいてしまった事実:颯斗


俺、西宮颯斗は1年生の時から同じクラスで2年生になって仲良くなった南悠介と話していた。高校生の大イベント、修学旅行の班決めを前に悠介は中学の頃の修学旅行のことを話してくれた。悠介曰く修学旅行の時に夜中に枕投げをして騒いで怒られた思い出から好きな女の子の話までいろんな話をして夜を楽しんだらしい。

俺にもそういう思い出がないわけではなかった。でもその後だ。修学旅行のとき話していた悠介の友達はある好きな女の子を追いかけて同じ高校に入り、2年生になってから付き合い始めたらしいという。だから悠介も高校こそは彼女を作ると意気込んでいた。

そういえば、中学の頃の友達とは一切連絡を取ってない。連絡してみようかと思い立ったときだった。誰に連絡をすればいいのか分からなかった。

そのせいか悠介の話が羨ましくなった挙句なんで俺にはそういう友達がいないのかと頭の中で延々と考えてしまっていた。

「颯斗?どうした?」

そんなことを考えてしまったせいで俺はいつの間にか颯斗の話を聞けなくなってしまっていた。

「いや、何でもない」

「そうか?まぁ何かあったら言えよ?」

「あぁ、ありがとう」

颯斗は優しい。ちょっとした表情の変化にすぐ気づいてくれる。よく考えたらそんな友達今まで俺にはいなかった。それがなんだか辛くなってしまった。元気だけが取り柄なのに考え込むうちに食事が喉を通らないことが増えてきて夜もあまり眠れなくなった。

今までこんなこと一度もなかった。確かに中学の時に比べたら下宿暮らしを始めたせいか毎日友達と遊んで帰ることはなくなったし、会話している回数もなんとなく減ってはいたけれど楽しい日々を過ごせている。

でもいざ振り返ると中学の頃までの自分には何もなかったのだと思い知らされた。今の生活に追われて考えていなかったが、颯斗の話を聞いていざ中学の友達に連絡しようと思ったとき俺は誰と一番仲良かったのか、何を話せば良いのかが思いつかなかった。

中学の頃はあんなに毎日楽しかったと言っていたのに。

よくよく考えたらあれは全部俺の誘いで他人から誘われたことなどなかった。他人と一緒にいれば楽しいと錯覚してとっかえひっかえ色んな人とカラオケに行ったりツーリングしたりゲーセンに行ったりして遊んでいた。

友達も楽しんでくれていたと思っていたが、どうだったのか今考えたところでよく分からない。

俺は中学まで何をしていたんだろう。自分から誘わないと会ってくれない友達は果たして本当の友達なのか。親友と呼べる存在はいなかったのだ。

もしかしたらこれに気づかないまま生きていたらこんなに苦しまなかったとも言える。でも人間は日々経験を重ね、思考がその都度働く。今じゃなくともいずれは気づいたことだろう。

でも、気づいてしまった。気づかなかった頃に後戻りなどできやしない。


案の定、俺は約2週間前のあの日以降ずっともがき悩んでいる。元気だけが取り柄だった俺ともあろう者が体調がすこぶる悪い。昨日は夕食が喉を通りそうになかったため何も食べずに気絶するようにベットに倒れ込んで気づくと朝になっていた。

俺は小さい頃に両親を亡くし親戚の家で育ってきた。しかしこれ以上迷惑はかけたくないと思い、今は学校近くの下宿アパートに住み、コンビニでアルバイトをしながら生活しているためなかなか俺の異変に気づいてくれる人はいなかった。というよりそんなことに囚われて体調を崩したことを悟られたくなかった。だから無理をした。


2.友人の異変:悠介

1年の時も同じクラスで2年になって仲良くなった颯斗の様子がここ最近おかしい。いつもと変わらず元気に振る舞っているが、前に比べて昼飯の量が減って午後の授業の時少しだけぐったりした姿を見せることが増えてきた。

今日の昼食も颯斗と一緒だったが、颯斗はコンビニで買ったというおにぎり1つのみ。俺がそれで足りるのか聞くと「大丈夫」と颯斗は答えた。でも顔を見れば分かる。何だか今日はとても調子が悪そうに見えた。

その上、今日の午後の授業は体育。今はバドミントンをしているのでそこまで激しい運動ではないが颯斗が心配だったため様子を見ておこうと思った。しかし、いつも準備運動であの割と広めの体育館を2周走ってからのバドミントンだ。それが一番心配だった。


そして昼休みは終わり、更衣室で着替えた後、颯斗と体育館に向かって歩いていた。颯斗の顔はいつにも増して顔色が優れない。

「颯斗、大丈夫か?」

「え?」

「ずいぶん顔色悪く見えるけど…」

「大丈夫だって」

「それならいいけど…無理すんなよ」

「…ありがとう」

颯斗は少し俯いて答えた。なんだか消えてなくなってしまいそうなくらい弱々しい声に聞こえた。

あんなにいつも元気だったのにどうしてしまったのだろう。俺にはなんとなくだけど心当たりがあった。2週間前、修学旅行の話をした次の日くらいからなぜか少しだけテンションがいつもより低くなっていたように思う。あのとき俺は何か嫌なことを言ってしまったんだろうか。でも、記憶を遡っても思い当たることがなくて俺はずっと考えていた。結局考えるだけで今日まで来た。2週間のうちにどんどん顔色が悪くなった颯斗に今日こそは話を聞いてあげたいと思っていたのに既にもう午後の授業になってしまった。話を聞いてあげるというのが颯斗にとってストレスになったらと思うと少し躊躇してしまったのだ。

しかしながら、俺は躊躇したことに後悔することになる。


体育の授業が始まり、先生の号令と共に準備運動の体育館2周ランニングが始まった。フラフラしながらも颯斗は俺について2周を走り終えた。しかし、颯斗はいつもより息苦しそうに下を向いている。

「颯斗、大丈夫か?」

「……」

颯斗が答えない。横から颯斗の顔を覗き込むと真っ青な颯斗の顔が見えて俺も血の気が引いてしまいそうになった。その瞬間、フラフラしながらも立っていた颯斗の足がガクンとなりその場に倒れ込む。

「おい、颯斗?!おい!!」

「はぁ……だい……じょう……」

颯斗はどう見ても大丈夫ではないのに必死に笑顔に見えない笑顔を作る。先生やクラスメイトも心配して駆け寄る。

「南、ちょっと休ませたら西宮を保健室まで頼む」

体育担当の吉永先生が俺に颯斗を任せるというので颯斗にしばらく付き添うことにした。

「颯斗、たぶん過呼吸になってる。ゆっくり…ゆっくり呼吸するんだ」

「はぁ…はぁ…………」

颯斗の過呼吸はなかなか治まらず気を失ってしまった。俺は何もできなかった。

さっき吉永先生に頼まれたが、さすがに一人で運ぶことができないので保健室の先生と担任の菅原先生が体育館まで担架を運んで来てくれて颯斗は運ばれていった。

「南、西宮に付き添ってあげてくれ。目が覚めたときお前がいたら安心するだろ」

吉永先生は心配そうに颯斗を見送る俺を気遣ったようだった。それに颯斗を気にせず体育の授業を受けてたら不安で仕方なくなった気がした。

「わかりました、ありがとうございます」

俺はすぐに颯斗を追いかけた。



3.友達:颯斗

悠介に心配されてしまった。しかし、俺は気丈に振舞うことができなかった。挙句、無理するなとまで言われた。

今がうまくいってない訳でないのにどうしてこんなに体調が悪くなってしまったんだ。過去の友達との関係が偽りの友情だったかもしれないというのがなんだというんだ。そう割り切ろうと思えば割り切れたのに俺は引きずってしまった。2週間も考え詰めてしまった。

今から体育の授業というのにこんな状態はやばいかもしれない。でも今まで大丈夫だったんだ。だからきっと…。

そう思い臨んだ体育の授業だったが、準備運動の体育館2周を悠介について走りきった後だった。

息が苦しい。上がった息を整えようとするがうまく息が吐けない。俺は悟られないように下を向いた。

「はぁ……はぁ………」

下を向いている上に視野が狭まり周りがよく見えない。悠介は気づいてしまっただろうか。悠介は優しいから俺がこんな調子だと悠介自身も辛くなる。心配はかけたくない。

「颯斗、大丈夫か?」

「……」

なんだか遠くで悠介の声が聞こえた気がしたが苦しくてよくわからない。すると突然力が抜けてその場に倒れてしまった。

「おい、颯斗?!おい!!」

「はぁ……だい……じょう……」

悠介は倒れた俺に気づき背中をさすってくれた。無理に笑顔を作るが、きっと笑えてないのだろう。大丈夫じゃないけど大丈夫と答えたくて必死に声を出そうとしたが言葉にならない。どんどん首が締まっていくように苦しくなっていく。

その様子を見ていたらしい吉永先生が俺が落ち着いたら保健室へ行くよう声をかけたのがうっすら聞こえた。

呼吸がどんどん早くなっていく俺に優しく付き添う悠介の声はいつもより優しく聞こえた。

「颯斗、たぶん過呼吸になってる。ゆっくり…ゆっくり呼吸するんだ」

ゆっくり…そう言われても呼吸の仕方が分からないくらい頭の中も真っ白だ。全然治らない。

苦しい、中学の時にもしこんな状態になったとしたら誰かが助けてくれたのかな……いや、誰も助けてくれないだろう。そんな考えが頭をよぎると余計に息ができなくなってきた。体も熱い。苦しい。

そして俺の目の前は真っ暗になってしまった。


俺のクラスであろう教室の悠介がいるはずの席に違う誰かが座っている。

悠介は教室の外に立ってこちらを見ているが見たことのないような冷たい目をしている。

どうしてそんな顔をしているんだ……

もしかしたら悠介も中学の友達のように大学生になったら…いやクラスが変わってしまっただけで連絡を取れなくなってしまうかもしれない…

怖い…短期間だけどこんなに仲良くなれた悠介が俺を避けるようになってしまったらどうしよう……

冷たい目をした悠介が教室から去ろうとする。行かないで…お願いだから……行かないで……。悠介!

俺の声は届かない。悠介は振り返らない。どうして…。苦しい…苦しいよ!!


ハッと目を開いた。ここは保健室のようだ。まだ少し息が荒く、苦しいがなんとか正気でいられた。

夢か、良かった。少し安心したが急にまた不安に襲われる。これが現実になったらどうしよう。考えただけで頭が痛い。息もさっきより苦しい。そんな時だ。

「颯斗?」

ふと誰かの声が聞こえる。声が聞こえる方へ苦しい口元を押さえながら顔を向ける。

悠介が心配そうに見ている。

「颯斗!また苦しくなったか?大丈夫か?」

「はぁ……はぁ……だ…大丈夫、だよ」

悠介がいてくれて安心したのか俺の一瞬上がっていた息は少しずつ戻っていく。

「良かった…」

颯斗は安心したのか少し笑顔になっていた。

「心配…かけたな。ごめん」

「ううん、友達なんだから当たり前だろ」

颯斗の言葉に目頭が熱くなる。友達。その言葉がなぜか無性に嬉しくて気がつくと涙がこぼれ落ちた。

1年のころは中学の時の友達と思っていた奴らが全くいない学校に入った為必死に色んな人に話しかけたりして1年があっという間に終わってしまった。2年になって1年の頃仲良くしてくれてた友達とは別のクラスになり少し焦ったが、1年の時も同じクラスだった悠介と隣の席になったのがきっかけで話しかけてくれて友達になることができ、毎日割と楽しく過ごせていた。

1年の頃はほぼ話したことがなかったが悠介はとても優しくて話しやすい奴だった。1年の時の一番仲の良かったクラスメイトとはたまにすれ違うときに声をかけてもらえてはいる。でも中学3年間もあって仲良くなった人からは全くと言っていいほど連絡が来ない。しない俺も悪いかもしれないが、やはり自分から何か起こさないと反応をくれないというのは果たして友達なのだろうか。

そんなことを考えて2週間経った今日、俺は倒れた。そんな俺のそばに『友達』だと言ってくれる悠介がいてくれた。改めて『友達なんだから』と言ってもらえたのが嬉しくて、その上俺からではなく悠介から声をかけられたことがきっかけで『友達』になれたということを噛み締めて俺は涙を流していた。

「なんで泣いてるんだよ」

「なんか悠介の言葉が……っ…」

「大丈夫か?泣くとまた過呼吸なるかもしれないから落ち着け」

俺は涙を拭い、呼吸を整える。ふぅ…。悠介に話せば少しは楽になるかもしれない。こんなに心配してくれたんだから。そして『友達』と言ってくれるんだからきっと大丈夫だ。話を聞いてくれる。

「実は……」

そう信じ、俺は悠介に語り始める。


4.後悔のち:悠介

まさか俺の話がきっかけで中学の友達との友情が本物ではなかったという疑念を持ち悩み続けてたなんて。正直ショックだった。俺が颯斗の苦しむきっかけを作って颯斗を苦しめたということよりも颯斗が中学の友達から連絡すらもらえない孤独と戦って苦しんでいたことに横にいながらその異変に気づけなかった俺ことが。自分が情けない。割と周りに気を遣っているほうだと思っていた。それなのに…ずっと隣にいたはずなのにこんなことになるまで気づけなかった。

例え苦しむきっかけを作ってしまっていたとしてもちゃんと颯斗を見て寄り添っていれば倒れなかったに違いない。出会った頃颯斗が言っていた。『俺の取り柄はこの健康体だ』と。そんないつも元気だった颯斗が倒れるだなんて思ってもみなかったのだ。そんな俺が友達を名乗っていいのかとすら思ってしまった。

でも、颯斗の苦しみは過去の自分に対するものだ。ここで俺が離れていったら颯斗はまた『友達』を失くすことになりもっと苦しむことになる。それだけは避けなくてはならない。

俺は颯斗と1年以上同じクラスではあったが仲良くなってたかが3ヶ月ほどの付き合い。しかしながらこの短期間でちょっと八方美人なところもあるが優しい人だということが分かった。そして思いのほか繊細な心の持ち主だということも理解できた。できることなら大学生になっても社会人になってもずっと『友達』でいたいと思う。それほど颯斗と過ごす日々は楽しかったのだ。

だからこそここで俺が手を差し伸べないという選択肢は存在しなかった。それでも、かける言葉が見つからず咄嗟に出てしまったのが『ごめん』の一言だった。

「なんで悠介が謝るんだよ」

颯斗は少し困った笑顔で俺の表情を伺う。俺は今どんな顔をしてるだろう…自分の顔は見えないがなんとなく泣きそうな顔になってるんだろうとは予想がついた。なんで謝るんだって言われても頭が回らず、俺にはここで懺悔することしか今は思いつけなかった。

「近くにいながら、友達だって言いながら何もできなかったから…なんとなくだけど苦しんでいるのを分かってたのに手を差し伸べられなかった…」

気がつくとやはり俺の目からは涙がこぼれ落ちていた。

「なんで泣いてるんだよ、今ちゃんと話聞いてくれて俺は少し楽になったんだ。悠介のおかげだ。ありがとう」

「でも…もっと早く話を聞いてたらって……っ…」

後悔しても颯斗が倒れた事実は変わらないとは分かっていたし、颯斗の顔を見れば俺に泣いてほしくなんてなかったと目に見えてわかる。

それでも颯斗に倒れるまで何もしてあげられず、友達とは名ばかりの行動しかできなかった自分が情けなくて、颯斗の苦しみが思いのほか深いという事実に心が痛んで、涙がしばらく止まらなかった。

「…ありがとう。悠介がいてくれて良かったよ」

こんなかっこ悪い情けのない姿を見せた俺にそんな優しい言葉をかけてくれるなんてやっぱり颯斗は優しい人なんだ。

それなのに俺はまた颯斗に苦しい思いをさせてしまうことになるなんて今の俺は考えもしなかった。あんなに颯斗を苦しめたくないと思っていたのに…俺はやっぱり大馬鹿者だった。


5.どうして:颯斗

あの日、俺が元気が取り柄だったはずなのに我慢を重ねて倒れたせいで悠介を泣かせてしまった。泣いた悠介を見たらなぜかこっちは少し心が落ち着いた。俺の為に涙を流してくれる友達ができたことが嬉しかったんだ。これからもきっと悠介とはずっと仲良くできる、そんな気すらした。

でも、お互いに気を遣いすぎた結果なんだろう。また俺が不器用なせいで、そして弱いせいで悠介につらい思いをさせてしまうことになることを俺も悠介も今はまだ知らない。


悠介に話を聞いてもらった後、中学の時の友達に連絡を取ってみたが返事が来るどころか既読すらつくことがなく1ヶ月以上が経った。やはり表面上だけの友達だったのだろう。覚悟はしていたがやはり少し寂しい気持ちになった。

それでも今は学校に行けば俺のことを気にかけてくれる友達がいる。それだけで心強く思えた。

それはともあれ、倒れたせいでアルバイトもしばらく休むことになってしまった。迷惑をかけないために出ていったのに結局中学まで世話をしてもらっていた親戚に少し援助してもらってしまったが、最近は体調も戻ってきたのでアルバイトにも復帰しつつ、悠介とも帰りに寄り道をしたりして中学の時とは違う楽しさを感じていた。

そんな夏休み前のある日、悠介がなんだか元気がないことに気づいた。普通に振る舞ってはいるがなんとなくたまに暗い表情を見せるようになったような気がする。本人は気づかれないようにしているようだが、どうしてか俺には分かった。

「悠介、最近なんかあったか?いつもより元気ないような気がするんだけど…」

「そんなことないよ、普通に元気だよ」

悠介は悟られない為になのか、笑顔でものすごく明るく振る舞う。

「ならいいけど…なんかあれば遠慮なく言ってくれよ」

「うん、ありがとうな」

俺は見逃さなかった。ありがとうを言う悠介の顔が少しだけ困ったような笑顔になった瞬間を。やっぱり何かあるのだろうか、俺のせいではないだろうか。そんなことが頭をめぐる。

そういえば先週、秋にある修学旅行の同じ班になった隣のクラスの瀬川拓也くんと悠介がなんだか真面目な話をしているところを目撃した事があった。その辺りから悠介の様子がおかしい気がする。

瀬川は悠介と同じ放送部に所属しているのでおそらく部活の関連であろうとは思うがやはり心配だ。

一度倒れて自分自身を追い詰めることのないようにしているが、友達の心配をするのも思った以上に体力を消耗する。あの時の悠介もそんな気持ちだったのだろうと思うと心が痛む。


悠介のことが気がかりでアルバイトにも身が入らず店長に最近ミスが多いとよく言われる。悠介が悩むことで何故か俺まで色んなことが上の空になってしまっている。こんなことは初めてだ。

おそらく中学の友達とは知らず知らずのうちに程々に関わっていたのだろうと今はそう思えた。


そして時は経ち、悠介が元気だよと答えたあの日から3日が過ぎた日のことだった。

悠介は連絡も入れず学校を休んだのだ。悠介の家は両親が共働きのため悠介は一人で家にいることが多いらしい。少し前に休んだときは自分で連絡を入れたと言っていた。それなのに今日は先生が「悠介はどうした」と言ったことで連絡なしに来ていないことをすぐに察した。何かがあったのかもしれない。俺は心配で何回かメッセージを送るが既読がつかない。

心配でいても立ってもいられなくなった俺は昼休みに担任の中村先生を訪ねてみた。

「先生、悠介がから連絡はないんですか?」

「あぁ、両親にも連絡したんだがどっちも連絡つかなくてな…。午後から授業もないし悠介の家に行こうと思うんだが、お前も一緒にに行くか?悠介と仲良いだろ?」

「え、いいんですか?」

「数学の山村先生は出張でどっちみち5限は自習だ。今から行けばおそらく6限には間に合うだろう」

「あ、ありがとうございます」

「行くぞっ」

行動が早い中村先生は直ぐに車を出してくれた。


学校に近くの悠介の住んでいるマンションに到着し、悠介の住む306号室は鍵が閉まっていたため管理人に事情を話したところ鍵を開けてくれた。

先生と俺は恐る恐る中に入っていく。

「…悠介?いるか…?」

玄関あたりで呼びかけるがやはり返事はない。

割と広く、部屋がいくつか並んでいた。奥の方に『YUSUKE』と書いたシンプルなネームプレートが下がっている部屋を見つけ、ノックしながら名前を呼ぶ。

「…悠介?いるのか?大丈夫か?」

何度か呼びかけるが返事はない。

悠介の部屋は鍵が付いているがドアノブに手を伸ばすと鍵がかかっていないようだったのでそっと扉を開く。

するとベットの前でお腹を押さえて倒れている悠介の姿があった。

「悠介!!大丈夫か?!!」

俺は心臓の鼓動が早まるのを感じながらすぐさま悠介のところへ走った。

「大丈夫だ、息はある。落ち着け、颯斗」

中村先生は俺を落ち着かせるためか、俺の背中にそっと手を置いた。

俺は動揺していた。自分自身が倒れた時よりも友達が倒れている姿を見るほうが余程つらく思えた。悠介は俺が倒れたときどう思ったのだろう。考えただけで胸が苦しくなる。

「はぁ………はぁ………」

気がつくと俺は過呼吸を起こしかけていた。落ち着かせようと先生は背中をさすってくれるが、どんどん苦しくなっていく。

「颯斗、お前が倒れたらまた悠介が苦しむ。苦しいとは思うが落ち着くんだ、ゆっくり…ゆっくり息を整えろ」

先生も焦っているのだろう。声色がいつもと違う。

「…はや……と…………」

そんなこんなしているとやっと悠介の意識が戻ったようだ。しかし俺の過呼吸に感化されたのか、悠介までの過呼吸になりかけていた。

俺はさすがに悠介がつらいときに過呼吸を起こしてる場合ではないので必死に息を整える。

「俺は…はぁ…大丈夫だ。悠介…お腹痛いのか?苦しいのか?!」

俺は呼吸が戻ってきたのと心配な気持ちが先走り、質問攻めしてしまう。

「胃が……痛い………あとちょっと…はぁ……息苦しい……」

心配そうな俺の顔を見たせいか分からないが、悠介は軽い過呼吸を起こし始めた。息が浅くとてもつらそうだ。

「よし、俺が車を出すから病院に行こう」

先生は病院に行くことを勧めるが悠介は浅い息のまま首を横に振る。

「全然大丈夫じゃなさそうだし、病院行かないともっと苦しくなるかもしれないんだぞ?」

俺も必死に病院に行こうと説得するがなかなか納得してくれない。

「大丈夫…………」

こんな青白い顔をしてどこが大丈夫なんだろうか。いつもの悠介はあまり無理をする方ではないが今はかなり無理をしているように見える。

悠介はベットの縁に手を置き、立ち上がろうとするが力が入らず倒れ込んでしまった。

「悠介!!」

思わず大きな声が出てしまった。こんな悠介を見るのは初めてだったのでどうしても動揺してしまっている。俺が倒れたのを心配していた悠介もこんなふうに動揺していたのだろうと思うと俺はなんてことをしてしまったんだと後悔の念が更に深まる。

「力、入らないや……はぁ……はぁ……」

悠介は目に涙を浮かべ、力なく笑う。

「もう無理しなくていい、病院へ行こう」

「うん……………」

俺は苦しむ悠介の姿に耐えきれず病院に行こうと言うと悠介はもう限界だったのだろう。小さい声で承諾してくれた。

すぐに先生と俺で悠介の肩を支え、悠介のマンションを出て先生の車で病院へ向かった。


6.俺の犯した間違い:悠介

再び倒れ込んでしまった俺に颯斗が病院へ行こうとあんな焦った顔で言うんだから俺は承諾するしかなかった。

朦朧とする意識の中、俺の記憶は先生の車に乗ったところで途切れた。


「悠介………悠介…!」

颯斗の声がする。ぼーっとする頭に俺を呼ぶ声がかすかに聞こえた。

重たい瞼をゆっくり開く。

白い天井から声の聞こえるの方に視線を動かすと俺のベットの横で心配そうに座る颯斗の姿が見えた。

「悠介!大丈夫か?」

颯斗は俺が目を開くと少しだけ安心したような表情を見せ問いかける。

「大丈夫…だよ」

俺は嘘をついた。少しは落ち着いたもののまだ頭も痛くて息も少ししづらい。

「嘘だ…そんな泣きそうな顔して大丈夫なわけ…………」

そう言う颯斗の目からは涙がこぼれ落ちた。颯斗は少し驚いた表情をしたが、涙が出て止まらないようだ。

「颯斗…なんでお前が泣くんだよ………っ……」

そんな颯斗の涙を見た瞬間、俺はどうしようもなく出てくる自分の涙を抑えることができなかった。

この前と真逆の立場になっている。あの時俺も泣いてしまったから本当はなんで泣くんだよと言うべきではなかったかもしれない。でも俺たちは涙を止めることができなかった。

病室にはしばらく二人の泣き声だけが響いていた。


俺は颯斗を泣かせてしまった。それが思った以上につらかった。これ以上俺が原因でつらい思いをさせたくなかったのに…だから部活でのあの悩みも抱え込んでしまったんだ。颯斗を巻き込んでまた颯斗を煩わせてしまったらと思うとどうしても話せなかった。でもそれで俺が倒れて颯斗を泣かせたんだ。そう思うと俺は何を選ぶのが正しかったのか分からなかった。

でも本当はそうではないとどこかで思っていた。俺の弱さゆえに他者を苦しめたんだ。俺がもっと強ければ…倒れることもなかったんだ…。そう思うと自分が情けなくてさっきより息も苦しくなっていた。やはり俺は弱すぎた。

「…悠介?……っ…大丈夫か?」

「はぁ……はぁ……っ…はぁ……」

俺は泣きながらも気遣ってくれる颯斗の問いかけに答えることができず首元に手を当て過呼吸に必死に耐える。本当になんて姿を見せているんだろう。弱すぎるにもほどがある。

「…部活でなんかあったのか……?」

こんな情けない姿の俺を前にして颯斗は直球で質問を投げてきた。

もしかして悩んでいることに気づかれていたのか。過呼吸になっていたのにも関わらずそれを指摘されたことで俺はまたさらに違う苦しさを感じた。

「出て…いけ…………はぁ……はぁ……お願い…だから…今は一人にさせてくれ………」

一番聞かれたくない質問だった。だから質問に答えることなく俺は颯斗を遠ざけようとした。こんなことを言えば颯斗を傷つけてしまうとわかっていたのに思わず口から出てきてしまっていた。

颯斗は黙ったまま下を向いたまま病室を出ていった。

颯斗がいなくなり、ひどく静まり返っている病室は俺の苦しみを更に掻き立てた。

自分が撒いた種なのに追い詰めるような言葉を放ってしまった。

後悔先に立たずというけれどやはりこの言葉は本当なんだなと噛み締めた。

俺は誰もいない病室でしばらく1人過呼吸に苦しんだ。

「はぁ……はぁ…………俺……馬鹿だな……」

苦しみながらもぼそっと呟いた。

俺はなんて間違えをしてしまったんだ。今はそう思うことしかできなかった。


いつの間にか気を失っていたようだ。気づくと夜になっていた。繋がれた点滴をぼんやり見つめているとさっき颯斗が座っていた椅子にメモ紙が置いてあるのが見えた。

そこには『早く元気になれよ、颯斗が心配してる。中村』と書いてあった。先生からメモはせめてもの救いになった。

でも俺は覚悟を決めた。颯斗とこれ以上関わると颯斗を苦しめるかもしれない。一生の友達になりたかったけど、こんな情けなくて弱い俺が颯斗に友達と名乗るなんて申し訳ない。だからもう関わらないようにしようと。


7.友達だから:悠介

俺はストレスによる急性胃炎と診断され、3日入院した。

大事を取ってしばらく学校も休んだ。放送部でのことや颯斗のこともあり学校に行くのもしんどかったがそろそろ体調も戻ってきたので今日から学校に行くことにした。あまりストレスをかけるなとは言われても今は学校に行くことがストレスになっているようでなかなか朝も起きれなかった。ギリギリの時間になり、俺は慌てて玄関を出た。

学校に近づくにつれて俺は息が苦しくなってきた。あの時から過呼吸になりやすくなってしまったようだ。

颯斗も中学の友達の件以降たまに過呼吸が起こるようになったと言っていた。

結局同じようにお互い弱かったのだろう。でももう颯斗を煩わせることがないように俺は颯斗には関わらない。颯斗は優しいし、多分しようと思えば誰とでも仲良くできる。必ずしも俺じゃなくてもいいじゃないか。友達付き合いもなんとなくわかったと言っていたし、俺じゃない誰かと友達になればいいんだ。そう思った。

だから、過呼吸を颯斗に悟られないように俺は学校に着くとすぐに保健室に向かった。

「少しだけ…休ませて……くだ…さい……」

俺は保健室に入ってドアを閉めると途端に足の力が抜け崩れ落ちた。

「大丈夫?!南くん?!」

保健室の白川先生が慌ててこちらにやってきた。そして俺を支えてベットまで連れて行ってくれた。ベットに腰を掛けるなり俺は息を荒くして倒れ込んだ。

「南くん、落ち着いて呼吸をして」

白川先生は袋を持ってきて俺に渡してくれた。俺は落ち着こうとゆっくり息をすることに集中をした。先生以外誰もいないせいか割とすぐに落ち着いたものの、涙目になってしまった。

「南くん、まだ調子悪い?中村先生に事情は聞いてるから安心して」

先生は優しく問いかける。白川先生は颯斗が倒れたときも保健室で見てくれていた先生でショートカットの優しくて若い女性の先生だ。

「いえ、もうご飯もうどんとかですけど普通に食べれるようになりましたし…ここ数日は学校に行くのをストレスに感じてはいましたけど…過呼吸は起こってなかったです」

「そう…あのね。実は南くんが休んでから西宮くん、毎日のように保健室に来るようになってね」

「え…颯斗、調子悪いんですか?」

「頭が痛いって言ってた日もあるし、体育があった日は過呼吸になっててね。喧嘩でもしたの?」

「俺は…アイツを…颯斗をまた傷つけたんです。俺が友達でいるとまた余計な心配をかけるかもしれない。だから休んでる間も連絡も取らなかった。俺のことがストレスでまた颯斗が倒れたらって思うと……もう関わらないほうがいいと思って…」

「それは違うぞ」

いつの間にか中村先生が後ろに立っており話に割り込んできた。

「え…」

「友達なんてな迷惑かけてなんぼ、互いをストレスに思うことすらある。だからこそかけがけのない存在なんだ…颯斗が前に倒れたときの話をお前が倒れた日…颯斗が病室から出てきた時に聴いた」

「先生はどこまで聴いたんですか…」

「無論、全部だ。中学の友達の件も知ってる。アイツは自分は頼ってもらえなかっただけでなく拒絶されたかもって言ってた。本当にお前がアイツから離れたら多分だけど…アイツは学校に来なくなるだろう。だから颯斗から離れるのはダメだ。現にお前が休んでることに対する罪悪感で最近は授業もほとんど聴けてない。俺の授業のときも顔を上げることなく、ノートも取らずじまいだ。挙げ句の果てには昨日は朝のホームルームの時から過呼吸で倒れた」

「昨日も倒れたんですか……」

俺はなんてことをしてしまったんだ…今は部活でのストレスが大きくのしかかってはいるせいで颯斗のことをちゃんと考えられてなかった。いや、本当は悩んでることを知られるのが怖かった。颯斗をこれ以上煩わせたくなかったんだ。離れるために連絡もしなかった。でも結局颯斗を苦しめた。

「昨日は朝から机に伏せてたらしいんだが、ホームルームが始まって顔を上げたと思ったら急に息が荒くなって倒れたんだ。昼までは保健室にいたが大事を取って帰らせた」

「そう…ですか………っ…」

「おいおい、また過呼吸なりかけてる。落ち着け悠介」

中村先生は心配そうにこちらを見ている。白川先生は優しくすぐに背中をさすってくれた。

「友達同士仲良く過呼吸グセがついちまうとはな。困ったもんだよ」

中村先生は少し呆れたような声で言う。

「はぁ……はぁ……颯斗と俺は………本当に友達でいていいんですかね…」

中村先生は颯斗から離れるなと言ってくれるが本当にそれでいいのか俺にはわからなくてまた同じ事を聴いてしまった。息を落ち着かせつつ俺は先生の話に耳を傾ける。

「さっきも言っただろ?友達だからって迷惑かけないように気を遣う必要はないんだよ。確かに友達ってのは時にぶつかり合うこともある。殴り合いの喧嘩になることだってある。でも結局友達ってのはな、苦しいときに助けたり助けてもらったりするもんだ。友達だからこそ遠慮したくなる気持ちも分かるが、友達だからこそ頼ってほしいと思う。結局はコミュニケーションなんだよ。お前たちは友達でありながらお互いの悩みについては触れないようにしてきたんじゃないのか?友達だと言っておきながら颯斗も中学の友達の一件を隠してた。お前も今部活で悩んでること隠してるだろ」

「?!」

なんで先生がそのことを知ってるんだ。もしかして…

「…瀬川から聞いたんですか…?」

「あぁ、そうだ。入院したって聞いていても立ってもいられなくなったらしい。お前を助けてほしいってな」

「……」

俺は颯斗だけでなく(瀬川)拓也も悩ませてしまった。拓也には途中まで相談していたが、同じ放送部にいるため俺を手助けすると立場がなくなるかもしれないと思ってやめたんだ。

「だから今日、お前と一緒に放送部に行くよ。瀬川にも頼まれたし、担任として放置するわけにいかない。放送部の顧問は確か大久保先生だったよな」

「大久保先生は関係ありません!…これは俺と部長の問題なんです」

「だからと言って担任としてこの問題を放置できない。それにお前のこと瀬川も颯斗も心配してる。繰り返しにはなるが、友達だったら迷惑かけてみせろ。現に何も言ってくれないお前を想う颯斗はまた抱え込んでるんだ」

「でも……」

「でもとか言ってる場合じゃないんだよ。瀬川から話はある程度聞いた。スランプに陥った部長の佐伯修一がお前が必死でかき集めた資料で作ったドキュメントを文化祭でそれを自分名義で発表させてほしいって頼まれたんだろ?こういうのは長引かせるだけお前もしんどくなるし、佐伯の為にもならん。だからもう少し詳しく話してみろ。俺も学生時代、とある問題を長引かせて友達をしばらく不登校にさせちまったことがあるんだ……だから一人で抱え込むな。周りまでしんどくなるだろ」

俺を説得させるための嘘なのか、真実なのかは分からない。でもこれ以上隠してたら先生にまで迷惑をかける。もう俺には話す以外選択肢は残っていなかった。

「実は…文化祭で発表するドキュメントだけじゃないんです。夏の全国放送コンテストに出すドキュメントも俺がほとんど作ったんですけどそれも自分名義で発表させてほしいって言われて…これ以上無理ですって言ったんですけど『お前は俺の言うことだけ聞いてればいいんだよ』って言われて怖くて…」

思い出すだけで恐ろしい。あの時の部長の目はもう狂ってしまったとしか思えないほどだった。

「そうか……確か去年の放送コンテストでアイツは当時の部長の安藤の作品を越えた良い評価をもらってたからな。リーダーシップもあって部長に適任ということで部長になったと聞いてる。確かにリーダーシップもあるし、人からずっと慕われてきたんだろうとは思う。でもそれが佐伯を追い詰めたんだろう。いい評価を貰わないといけない。いい結果を出さないといけないっていう一種の強迫観念のようなものが芽生えたんだろうな。だからと言って後輩を道具のように使っていい理由にはならないからな」

「………先輩に俺はどんな言葉をかけたらいいんでしょうか…」

「当の本人であるお前が言っても聞くはずがない。俺と大久保先生で話してくるよ。大久保先生にも詳しく今回の一件を話すことになるが…いいよな?」

「…はい」

去年まで佐伯先輩のことをすごいすごいと言ってくれる先輩や後輩も多くて多分だけど佐伯先輩は天狗になってたのかもしれない。そして佐伯先輩たちが指揮をする新体制になってからどんどん佐伯先輩はわがままになっていった。

天狗になった佐伯先輩はおそらく自分を制御できなくなってしまっているんだろう。元の優しい佐伯先輩に戻るといいんだけど…

「そしてお前は今日ちゃんと教室に行って颯斗と話すんだ。颯斗も話してくれるのを待ってるはずだ。颯斗はお前が突き放したあの時からずっと体調が悪い。瀬川もお前を心配して元気がないんだ。瀬川にもちゃんと話すんだぞ?」

「はい…」

中村先生は頭をそっと撫でてくれた。その優しさに涙が出そうだったけど俺は耐えて、呼吸を整えた。

颯斗は大事な友達だから今度こそちゃんと話さなきゃいけないんだ。

「教室…いってきます」

俺は少し鼓動が高まるのを感じながらも勇気を出して保健室を出た。


8.仲直りまでのこと:颯斗

悠介があの日、病室が出ていけと言ったことが…いや、言葉自体ではなく突き放された事実がつらくて俺はずっと体調が安定せずにいた。

だいぶ良くなったとは聞いたけど今日も教室に悠介の姿はない。

昨日はま悠介が良くなっていないのかと思うだけで苦しくて朝のホームルームで過呼吸になって中村先生にも迷惑をかけてしまったから今日は苦しくても耐えなければいけない。

突き放されたこともあり、スマホを使えばすぐに連絡はできてしまうにも関わらず連絡を今は一切取っていなかったし、悠介からも音沙汰なしだった。悠介が学校に来たらそんなことを忘れたかのように声をかけてみようと思っていたのになかなか悠介は学校に来てくれない。

確かにもしそこでまた突き放されたら俺はまた親友と呼べる友達と出会うまで苦しむことになるかもしれない。それでも声をかけたら優しい悠介はきっと…。


そんなことを考えていたらちょうどチャイムが鳴った。その時教室の扉から悠介は少しふらつきながら入ってきた。するとクラスメイトが「元気になったんだな!」「心配したよ」と温かく迎えてくれていた。それに悠介は優しく「ありがとう」と答えていた。

久しく姿を見ていなかったせいかすごく懐かしく感じる。悠介の姿を見れて嬉しいけど、俺は何も話してもらえない上に突き放されたんだ。そう思うとまた少し息が苦しくなってくる。悠介はこちらをチラッと見たが、すぐに自分の席に着いてしまった。

悠介の席は俺より3つ前の斜め右側の方で声や仕草は割と見やすいので俺は気にしてしまっていた。

なんだかまだ調子が戻っていないように見えた。席に着いた悠介を少し息が上がるのを感じながらもぼんやり見ていた。すると教室に中村先生が現れた。

「ホームルーム始めるぞ」

ホームルームが始まってからも様子が気になって悠介をずっと目で追っていた。

後ろ姿で表情は分からないけれど少し肩が上がったり下がったりしていて呼吸が乱れているのが見て取れた。悠介の隣の席の西山が小声で「大丈夫か?」と聞いている。

それを見て一部ではやはり俺の時と同様「また過呼吸かよ」「まじ弱っ」とうような声が聞こえる。俺はそれがつらかった。俺のような上っ面だけよく見せようとしてる人間にならともかく、悠介のようないつも優しくて周りにもちゃんと気配りのできる人にすら言葉の刃が向けられる。それに俺は耐えられなかった。だからといって何ができるわけでもなく俺自身も呼吸を更に乱してしまっている。

幸い、俺の隣の席には優しくて頼りになるクラス委員長の木本瑞希がいるので俺が苦しくなったときはいつも保健室に連れて行ってくれて助かっていた。

多分、悠介の隣の席の西山くんも同じく優しくて悠介を気にかけてくれている。入院前に様子がおかしくなったときの悠介のことも心配そうに見ていたのが印象的だった。

西山くんに声をかけられた悠介は口元をハンカチで押さえながら頷いた。大丈夫だ、気にするな。そう言っているように見えた。すると「耐えられないくらい苦しくなったらいつでも言えよ」と西山くんは悠介に言ったのが聞こえた。

俺はそれを見て少し安心したが、呼吸はなかなか戻らず下を向いて軽い過呼吸状態のままホームルームが終わるまで耐え抜いた。

ホームルームが終わり、中村先生は教室を出ようとしたとき心配そうに俺を見るとすぐ視線が悠介に向けられ中村先生は悠介を連れて教室を出ていった。どうやら悠介が先生を呼び止めたようだった。悠介は苦しそうにしながらも中村先生の後ろを追っていた。

それを見ていて俺から逃げるように出ていったように感じてどんどん俺は息が苦しくなっていった。

それを悟られないように俺は机に伏せって1限目が始まるのを待った。

チャイムが鳴り、俺は顔を上げた。すると教室には悠介の姿はなかった。

俺は更に苦しくなって先生が教室に入る頃には意識が飛んでしまった。


気がつくと俺は保健室にいた。まだ頭がぼーっとしている。

「目が覚めたのね、よかった」

白川先生が目覚めた俺に気づいて声をかけてくれた。

「あの…俺…」

「木本さんが気づいてくれて中村先生と一緒に保健室に連れてきてくれたのよ」

「そう…ですか…」

また木本さんに迷惑をかけたんだと思うと心が痛んだ。

俺はどこかで悠介が突き放したから…悠介のせいでこんなことになったんだと思ってしまっていた。でも本当は違う。俺がすぐに心を揺らして勝手に苦しんでいるに過ぎない。俺の弱さゆえにクラス委員長にまで迷惑をかけたんだ。

「南くんのこと心配なんでしょう?だから最近また体調不良が続いているんじゃないかしら」

「それは…もちろん心配はしてます。でも……本当はただ単に俺が悠介の友達でいていいのか分からなくなったんです。こんな…頼りのない友達なんて必要なかったんじゃないかって………っ……はぁ…っ…」

「落ち着いて、息を整えて。大丈夫よ、一度私が話を聴くから。ゆっくり話して?」

白川先生は俺の様子を見ると優しい声で語りかけるようにそう言ってくれた。だから必死に息を整えた。

「俺は…前に俺が苦しんだ時に助けてくれた悠介がつらいというのなら一緒に考えたりして気持ちを分かち合いたいと思ったんです…でも悠介は…『大丈夫』としか言わなくて…。俺そんなに頼りないのかなって…話してくれないのがつらくて…でもそれは前の俺も同じだったんです。抱え込んで倒れて…俺は悠介に心配をかけて…。それなのに俺は踏み込めなかった。本当は気づいてほしくいくせに『大丈夫』って言って…たぶん俺も結局悠介と同じだったんです。でももし、話したくないと思ってるのに踏み込んで悠介が離れていったらと思ったら怖くて……だから踏み込まなかった…いや、悠介が倒れたあとにもう遅いかもしれないけど…踏み込もうとしたけど…っ………その時…俺はアイツに拒絶されたんです。部活の事を聴いた途端『出ていけ』って言われて…だからやっぱり俺みたいな奴が悩みを聴いてあげるなんて烏滸がましいことなんだって…俺なんかに話しても気持ちが楽になることはきっとないんだなって思ったんです…倒れたあとに今更そんなこと言われてもって…きっと悠介はそう思ったんだと思います、だからあの時から俺に一切連絡してくれなくなったんだ……俺…もう悠介と友達でいちゃダメ…ですよね……」

俺はどこかに自分の気持ちも吐露したかった。だから俺は目の前の白川先生に涙ながら全部打ち明けた。

その時だった。保健室のベットを仕切っているカーテンが突然開いた。

「………はぁ…はぁ……はぁ……っ…………」

そこには息苦しそうにしながら涙を堪える悠介の姿があった。

「悠介……」

俺は思わず悠介の名前を呼んだ。

「南くん、目が覚めてたのね」

白川先生は優しく悠介に微笑みかけた。

「はい……っ………」

「悠介…俺…………」

俺は悠介に聴こうと思った。俺はもう悠介と友達でいないほうがいいかなってそう聴く寸前だった。

「違うんだ……はぁ……はぁ…」

悠介は唐突に口を開いた。一体何が違うっていうんだ。

「俺はただ…颯斗を……っ…」

悠介はいつの間にか目から一筋の涙を流していた。

「南くん、落ち着いて。大丈夫よ」

白川先生は優しく悠介の背中をさする。悠介は涙を拭い、息を整え語り始めた。

「俺は…颯斗を苦しめたくなかったんだ……だから放送部での事…話せなかった……颯斗に話したら颯斗は自分の事のように苦しむと思ったんだ。颯斗は優しいから…また颯斗が過呼吸になったら…また体調を崩したら…そう思うと俺は隠すしかないと思った。でも……お前は俺が何も話さずに溜め込んで倒れたせいでまた苦しむことになったなんて……俺……そんなこと全然知らなくて…」

「悠介…もしかして…今の話聞いてたのか……」

「うん………ホームルームのあと中村先生に颯斗の様子を聴いたら颯斗も過呼吸を起こしかけてるかもって言われて…そしたらやっぱり俺がいることも負担になるのかもって考えが頭に浮かんで…覚悟を決めてちゃんと話そうと思ってたはずなのに急に苦しくなって…中村先生が保健室に俺を連れてきてくれたんだ……しばらく意識も遠いくらい苦しかったけど…そんな中お前がカーテン越しだけど隣のベットに来たのが分かって……」

「そっか………」

「うん………俺達…馬鹿だな………。お互いにいいと思ってやったことがお互いを苦しめてたなんて……」

「ほんとお前らは大馬鹿者だよ」

気がつくとまた中村先生は白川先生の隣に立っていた。ちょっと呆れ顔だが、少し安心した様子がなんとなく見て取れた。

「友達同士お互いを心配し合うのはいい。でも吐き出す場所をなくすまで心配してては身が持たんぞ。確かに友達だからこそ言えないことはある。でもそれを抱え込んでるままでは自分を追い詰めるだけなんだよ。それに抱え込んでる友達の姿を見てると自分まで苦しくなる。…そうだっただろ?」

俺達はその通り過ぎて何も言えなかった。ただただ俯いて先生の話を聞く他なかった。

「抱え込んでどうしようもなくなったら教師や親、バイト先の先輩でもいい、誰かに話すんだ。お前らは幸い、今高校生という立場にいる。だから教師も大学なんかよりずっと近いところでお前らを見て察することができる。俺は高校の時、先生に助けられた。だから…もっと頼ってくれてもいいんだぞ?……論点がずれたな…話を戻す」

先生はふぅと息を吐き出した。

「…友達だからこそお前らは互いを気遣い、傷つけないように配慮しようとした。でも結果的にはすれ違ってしまった…。気を遣うことは悪くない、友達なら相手のことを考えて行動をするのは当たり前だ。悠介、お前は颯斗が中学の友達とのことで悩んでるときに気づいてあげられなかった。だからこそ颯斗は倒れた時に何もできなかった自分を悔い、寄り添ってあげようとしたんだろ?それなのに何でだ?」

悠介は何も言えず、静かに涙を流していた。

「お前は今回颯斗を悩ませたくなかったからと言って部活でのことを無理して颯斗の前ではなかったかのように振る舞った。友達だから話せなかったのかもしれないとは思う。でもな、自分の求めてた本当の友達っていう存在が目の前に見えた今、颯斗はどんな話でも聴いてあげたい。友達だというなら話してもらいたい。そう思ったんだよ。それが今の颯斗にとっては友達だという証明のように思えたんだろう」

「はい………早く話を聞いてあげればよかったって…俺が倒れたときに言ってくれたからきっと……悠介も話してくれるって……友達だって言ってくれた悠介が話してくれるって待ってたのに……」

俺もいつの間にか涙を流しながら答えていた。

「ごめん…………颯斗の気持ち全然考えられてなかった…っ………」

俺も悠介も涙がなかな涙が止まらなかった。

「やっと言えたな、悠介。よく頑張った。颯斗もよく頑張った。だからお前ら、泣くな」

中村先生が俺達がやっと素直な気持ちを伝えられたのを見て言ってくれた言葉がとても心に響いた。泣くなと言われても簡単に涙は止まらなかった。


「仲直り…だな」

俺は悠介に手を差し出す。

「あぁ、ごめんな……そしてありがとう。部活でのこと…お前にも聴いてほしい……」

悠介はまた謝って、そして俺に手を差し出してくれた。

俺達は固い握手をした。

「お前らはちゃんとお互いの気持ちを考えられるんだ、だからこそすれ違うこともまたあるかもしれない。だが、お互いあんまり遠慮しすぎるんじゃないぞ」

中村先生はそう言って保健室を出ていった。

そして悠介は俺に部活での悩みを打ち明けてくれた。


8.人は間違える、それでも:悠介

俺はあの後、颯斗に全てを話すことができた。俺の苦しみを自分の事のように感じたようで途中、颯斗は過呼吸になりかけてしまったが、最後まで話した時に颯斗はまた涙を流した。

「つらかったな…力になれなくて………っ…ごめんな…」

「いいんだよ、颯斗。俺がお前を煩わせたくなくてわざと言わなかったんだ。でも結局お前を苦しめるだけになって本当に悪かった…ごめんな」

「俺も謝っちまったけどさ…今回の件で謝るのはもうおしまいにしよう。気遣ってくれてありがとうな、悠介」

「うん……俺の方こそお前の気持ちを分かってあげられなかった俺に『ありがとう』って言ってくれて…………ありがとう」

この日俺達は本当の友達になれたんだ。



結局俺達は友達だということに囚われてお互いを守ろう、傷つけないようにしよう。そう思った結果お互いの気持ちを理解しきれずに逆にお互いを傷つけてしまった。

この前とは逆で悩みを打ち明けない事を選んだ俺と話してくれない事に深く傷ついた颯斗。颯斗が最初に倒れた時、なんで話してくれないのか、倒れるまで無理しなくてもって思ったのに…。それなのに俺は同じことを颯斗にしてしまったんだ。

時にお互いを気遣うことでお互いを傷つけることもあるということを俺達は身を持って理解した。もう同じ間違いをしないようにしなければならない。

でも、そう思ったところできっとあまり意味はないのかもしれない。人は何度だって間違えて、同じ過ちを繰り返してしまうことすらある。それは人の弱さゆえのこと。強くなりたくとも誰だってどこかに弱さを抱えてるものだから。間違えた人を責めたりしない。それは多分偽善者のような考えなのだと思うけれど、それでも人を想っての間違えならばどこか許せるような気がした。

人は弱い、だから間違える。間違えない人間なんていない。いくら仲の良い友達だとしてもお互いの全てを理解できるわけではないのだ。

だからこそ友達とは尊い存在で何かあったときに近くにいてほしい、声をかけてほしいと互いに思えるんだろうと思った。

颯斗は中学の友達とは広く浅い付き合いをしていたようで倒れるまで苦しんでしまった。今更かもしれないが、だからこそ俺は颯斗にとっての初めての親友になれればと思っている。それが颯斗の支えになるのならば…颯斗の重荷にならないならば嬉しい。

一方で放送部での一件は結局のところ先生が話しに行ってくれた後、俺に佐伯先輩は涙ながら謝罪して改心してくれた。やはり誰でも間違えるものなのだ。環境や立場の変化に頭が追いつかずに人にすがった結果、後輩である俺達をいい意味で言えば頼った。もちろんこれは悪い意味でしか捉えられない、盗作という問題になりうる事案であった。だが幸い、まだ作品を発表前だったので先輩を支えながら共にいいドキュメントを作っていこうと思っている。

俺の今なら分かるけど、先輩の弱さがきっと自身を追い詰めてそんな行為に至ってしまったのだと思う。

俺も弱さゆえにちゃんと悩みを言葉にできずに、友達だよという言葉をかけたはずの颯斗を傷つけたんだ。結果的に拓也や西山くんにまで心配や迷惑をかけて心を煩わせた。

俺は弱く、不器用すぎた。俺は抱え込んでもただつらいだけだと気づいた。何かに悩むと色んな気持ちが入り混じり、すぐに打ち明けるというのはやはりできないとは思うが、できるだけ限界になる前にSOSを出さなければまた心配をかけてしまう。それは俺も颯斗も痛いほど分かる。だからこそ、今だけでも…今この瞬間だけは絶対に弱いからなんて言っていられない。颯斗という大事な友達のためにもしばらくちょっとだけ颯斗にも甘えて色々話してみよう。

高校生活はあと1年半続くけど、きっと何も起こらない訳がない。試練はつきものだ。

きっとまた間違える。分かっているのにうまくいかないことだってある。

それでもきっと…きっと卒業してからも颯斗とは『親友』なんだって自慢できるくらいの仲でいられると思う。どんな試練だって俺達なら乗り超えられる。例え大喧嘩したとしても…またお互いを想うがために間違えてしまったとしても俺は前に進んでいきたい。短い高校生活を颯斗と一緒にこれからも…。


エピローグ:颯斗

悠介と仲直りしたあの時、俺が中学の友達の件で無理をしてしまったことから悠介に無駄な心配をかけて悠介自身の悩みを打ち明けられないような状況を作った自分を反省した。

やはり親友と言っても他人。他人すべてを理解するなど無理なことなのかもしれない。

だからこそ俺は全部は理解できないとしても、せっかくできたかけがえのないとても大事な『親友』を少しでも理解できるように他人の気持ちを考えられる人間になりたい。そう思った。

何度も繰り返すが、友達なんて所詮は他人。それでもその人の立場になって考えたら少しは理解が深まるかもしれない。

関わらない方がお互いに傷つかないということもきっとあるけれど、少しくらいは友達の心に踏み込むこともあっていいのかなと俺は思う。

俺はこれから『親友』である悠介と1年半おそらく共に過ごすだろう。多分だけど喧嘩だってすると思うし、一緒に泣くこともきっとあるだろう。お互いを想うがゆえに気を遣いすぎてまた苦しむことすらあるかもしれない。

でも、俺は悠介とは卒業してからもずっと友達でいたい。違う大学に行って全く違う人生を送っていくとしてもずっと大事にしたい『親友』同士だからこそどんなことも乗り越えられる。そんな気がした。




夏休み前の終業式の帰り道、俺達は他愛のない話をしながら夏空の下を笑いながら歩いていた。

どこにでもある見慣れた光景かもしれないが、その中で俺達はキラキラと輝く太陽の如く眩しい青春の1ページを一歩一歩踏みしめて…。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

誰でも友達のとこで悩むことがあると思います。だからこそ、颯斗も悠介も救われてほしい、そう思って結末を書きました。

人は間違えます。いいと思ってしたことが裏目に出てしまうこともやはりあります。

そんな中でもがき、最後には本当の友情のようなものを見つけることができた彼らはきっとこれからいろんな試練をともに乗り越えていくと思ってます。


長くなりましたが、いかがでしたでしょうか?一人でも多く何か感じ取っていただけたなら嬉しいです。

また青春時代だからこそ再び間違えてしまう颯斗と悠介のお話を書きたいと思っています。


最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ