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048 前兆

「じゃあ、また蒼は秘密が増えそうなんだ?」

「でも、今回は俺たちにも推測できるだけの情報があるから、それほど秘密ってわけでもなくね?」


 康太郎はダイスを振って、出た数値分の駒を進める。

 止まったマスには土地の購入と書かれていた。


「げっ」

「はい、お買い上げー」

「俺の金が……」


 康太郎は先ほども別の建物を独占購入したばかりで、手持ちが非常に少なくなっていた。そのうえでこのマスは彼にとって死神に等しいものだった。

 泣く泣くお金を払う様子を見て、啓子は悪い笑みを浮かべる。


「誰かさー、康太郎に独占押しつけたら破産させられるんじゃない?」

「おいっ、絶対にやめろよ!」


 康太郎の悲痛な叫びを他所に、琢磨はダイスを振った。


「徴税とかでも痛そうだよね」

「そこは運次第かな? 近くにそれらしいマスはないから次回は生きてそうだけど」

「先輩たち、本当に太郎先輩いじめ好きですよねー」


 隼人が苦笑して言うと、オーダーのドリンクを別のテーブルへ運んで行った。


「集中砲火しているのは啓子だけよ?」

「そうだね。僕らも偶に乗っかることもあるけど、基本仕掛けるのは啓子だよ」

「だって、いちいち反応が面白いんだもーん」


 あ、お金増えた、と啓子は康太郎に見せつけるように収入を増やしていた。

 

「まあ、でも現状だと康太郎が独占状態のホテルを手放したら鈴香が攫っていくだろうし、難しいところだよね」


 このゲームは如何に資産を増やすかが大事で、各街を独占出来れば有利に運べるのだが、康太郎はその辺の運用が下手だった。そのため、一向に所持金が増えていないのだ。


「俺の実害はいいのか?」

「あら、交渉には乗るわよ?」


 鈴香が追い打ちをかけたことで、康太郎は益々渋い表情を浮かべた。彼女が康太郎の独占分を手に入れると、ゲームが終了するのだ。それだけは何としても回避する必要があった。


「誰ひとりとして味方が居ねえ……」

「いや、このゲームは全員敵だからね?」

 

 恙なく鈴香の番が終わる。


「まあ、そんなことよりも蒼が引っ掛けてきたものについてだ」

「水精霊ねー。結局正体不明なんでしょ? 蒼が見つけるとなれば、やっぱり大変なことが起きそうだよね」

「恐らく。今のところ3ステージ出ていて明確に存在が示唆されているのはアジーラだけだからね。下手したら第一発見者として公表される危険もあるかな」

「そうなったら、蒼は続けづらいわよね」

「いつかバレるにしても、もう少し先がいいかな」

「もうさ、蒼に黙ってアジーラまで迎えに行こうよ!」


 しれっと区画をひとつ独占した啓子が名案とばかりに言った。


「うーん、だとしたらスルメイカも連れていこうか」

「だね! いいと思う。きっと逢いたいだろうし」

「蒼先輩を迎えに行くんですか?」


 ひょっこりと裏から戻ってきた隼人がにこやかに聞いた。

 今は暦が買い物に出ているので、彼が店番をしているわけだ。


「うん。そろそろツチノコ捕まえに行こうかなって」

「簡単に捕まってくれるかしら?」

「まあ、難しいんでね?」

「もう、蒼先輩はUMA枠なんですね」

「まあ、そう言われても仕方ない」


 そうそうと、満場一致で頷いていた。

 それに隼人は苦笑いを浮かべるだけだった。



「……はくしゅっ」

 

 占いギルドで換金をしていたソウの元へ起きぬはずの寒気がやってきて、盛大なくしゃみをしてしまった。


「何だい、風邪かね?」

「誰か噂でもしているのであろうか……」

「お前さんの噂をするような人間が居るのかねぇ?」

「口が過ぎるぞご老体」


 ふぇふぇふぇ、といつものように笑い、ソウの睨みを躱した。

 いつもの止まり木にいたクロスがソウの右肩に移動すると、そっと身を寄せてきた。恐らく温めてくれているのだろう。

 そんな優しさが身に染みた。飼い主とは雲泥の差である。

 

「しかし、よくやったね。まさか水精霊の居場所が分かるとはの」

「依頼を押しつけておいてよく言う」


 因みに、今のところ依頼のクリア報酬は貰っていない。

 直接依頼された時の報酬は彼女から直接手渡されることが多いのだが、未だにそれっぽいアクションはなかった。


「で、ご老体。俺はそちらを連れてソフィアの元へ行けばいいのかね?」

「いいや、その必要はないよ。場所さえ分かれ自分で行けるからね」


 まあ、ご老体は転移が使えるので、座標があればどこでも飛べるのだろう。

 こちらとしても一緒に行きたいとは思わないので、そうしてもらえると有難い。


「では、これからソフィアの元へ向かうのでな」

「行ってくるといい。気を付けるんだよ」

「ああ」


 メルダが忠告をくれるということは、何か起きるのだな。【未来視】の結果もまだ反映されていないし、恐らく今日にでも戦うことになりそうだ。

 ソウは気を引き締めて、占いギルドを出るのだった。



評価・ブックマークありがとうございます!


PC不調により修理に出すことになりました。それにより執筆環境が変わるため、暫くの間更新頻度を下げてお届けすることになります。

週に2、3本のペースとなるかと思いますが、これからもよろしくお願いします。

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