サウノリア王国・アフター
サウノリア王国、魔女に降伏を宣言する。
サウノリア王国が魔女に宣戦布告をした当日の夜に、それは行われた。
あまりの早さだったため、誰もがサウノリア王国の大統領に呆れかえり、魔女の強さに圧倒された。
100年経てど魔女は健在。
それだけの話であった。
この1日も持たなかった戦争では、だれも死んでいないという事が話題になる。
魔女は無理に戦場へ駆り出された兵士を問答無用で殺すような、無体な人間ではない。全身麻痺した軍の将官などは一生消えないトラウマを味わったが、降伏した途端に体の自由を取り戻したため、周囲からはそこまで酷い扱いではないと言われる。
そうやってだれ一人殺さなかった魔女への賞賛があちらこちらで囁かれるようになった。
大統領が無謀な戦争を仕掛けた事が問題になり死刑になったので、だれ一人死ななかったのは戦時中の話。
それでもこの戦争では一つの命が失われただけで済んだ。
世間一般の常識で考えれば、挑むように挑発したとはいえ魔女の慈悲深さに感動するレベルである。
もしくは、強者の余裕であろうか?
魔女は一躍時の人となった。
なったのだが。
それが今度は、別の勘違いを生む。
戦争前に、一部の民間人が森まで魔女に会いに行ったことがあった。
魔女はそれに応え、思い出の品を貸し出すことまでしてみせた。
これは頼みに行った人間が出来た人間であり、礼儀をきちっと守る者だったからだ。
礼節を知る者であれば、魔女もそれに応える度量があるだけだ。
世間には、そんな情報は出回らない。
話をしに行くだけなら、魔女は怖い人ではない。
そんな印象が独り歩きする。
今度は魔女の情報を得ようと、マスコミが森へと押しかけるようになる。