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魔女の森②

 魔女の目的は何なのか?

 森を守る事である。


 ただ、どうやって森を守るべきかという問いには、いくつもの答えが存在する。



 人類鏖殺というのが特に分かりやすいが、それを魔女が望んでいない事は明白だ。

 これまで魔女は、できるだけ人を殺さないように意識を割いている。


 人と森を隔てる壁はどうか?

 それはただの無駄な努力だ。空は塞ぎようがないし、物理的にできる事と言っても現実的では無い。



 ならば、周囲の環境が魔女の森を認め、共に守る環境を作り上げれば良い。

 目指す答えは大凡(おおよそ)、ここに集約される。


 森にどれだけの価値があるか人々が“知らない”というのは、それを成す上でかなり重要なピースであった。





 魔女がサウノリアに渡した木は、樹齢数百年の古木であった。五百年以上のものである事は間違いなかった。


 台風で折れたという事で断面は雑だが、数百年かけて大きくなった樹木の価値は簡単に下がらない。

 樹齢数百年と分かってしまう事からも、その大きさが予想できるというものだ。

 そのまま木材運搬トラック一台で運ぶなど出来るはずがなく、ある程度分割しても載りきらない。古木の運搬にはわざわざ専用の運搬車両が用意された。

 移動の時は交通規制まで行い、国営の木材加工場へと搬送されたのである。


 このレベルの古木が市場に流れる事はそうそうない。

 世界中から買い注文が殺到した。



 ここまで大々的に古木を運べば、どうしても情報は周囲に流れる。

 サウノリアは特に情報を隠匿する気も無かったので、古木が魔女の森から提供された木材である事はすぐに分かった。

 だからこその希少価値が古木にあり、値段は天井知らずに上がっていく。


 難民問題で発生したサウノリアのマイナスは、経済的には帳消しになった。



 だが、金の亡者が森へと目を付ける。

 一発逆転、一攫千金と、金への欲求を滾らせた馬鹿な亡者達が魔女の森を目指しつつあった。

 彼らは、先人の末路を忘れていた。

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