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秘薬騒動⑥/白の守護者①

 魔女信仰団体『森の人』。

 これは魔女の言葉を絶対視する、新興宗教だ。

 彼らは魔女から恩恵を受けるために魔女を信仰しているわけではなく、むしろ魔女と言う災いから自らを遠ざけるために魔女(荒魂)を信仰する集団である。


 反魔女集団『白の守護者』。

 こちらは魔女を殺してしまえという過激派である。

 魔女から被害を受け、魔女を死刑にする事が世界にとって正しいと主張する団体だ。



 どちらも魔女との関りがあって生まれた組織で、どちらの組織にも今回の騒動で家族を魔女に殺された人がいるし、魔女によって経済的に大損をした人がいる。

 だからその中核にいるのは魔女によって人生が狂ってしまった人々であった。


 似たような立場でも彼らの明暗ははっきりと分かれており、『森の人』の活動が「魔女の森を守る事」であるのに対し、『白の守護者』は「あらゆる手段を用いた魔女排斥」であるため、後者は合法的な組織ではなくテロリスト扱いだ。

 特にサウノリア政府は『白の守護者』をテロリスト集団として厳しく対応すると宣言し、魔女を刺激するなと神経を尖らせている。


 他にも有象無象の組織があるが、魔女関連で大きな組織と言えばこの二つである。

 当たり前だが、この二つの組織は水と油。けして交わることが無いほど反発しあっている。





 いつか起こると予言されていた対立が表面化する。

 『森の人』に対し、『白の守護者』がテロを行ったのである。


 『森の人』は自発的に魔女の森の周辺警備を行っているが、そんな彼らが殺されたのである。

 そして犯行声明が発表された。


「我々は、魔女とそれに与する邪悪の(ともがら)に正義の鉄槌を下した!

 これは警告である!

 速やかに政府は魔女への関与を改め、その排除に乗り出すべきであり――」


 要するに「政府は魔女を排除するために動け」と言っている。

 自分たちがどれだけ頑張っても森へと手を出せば殺されて終わるため、他の連中にそれを任せ、安全な場所に自らを置こうとしたのだ。



 ただ、こういった事が起きるとすれば、普段であれば魔女が動く。

 そしてそれはなぜ防げなかったのか?


 答えは簡単だ。

 今回の事件は魔女とは関係なく、『白の守護者』が『森の人』にムカついたから、目に付いた彼らを殺したというだけなのだ。

 魔女がどうとかいう話ではなく、ただの逆恨み、八つ当たりにまで魔女の力は及ばない。

 犯行声明は事後に利用できるからと行われた後付けでしかなかったのだ。



 普段であれば働く魔女の守護が無かった事で、テロリストは学習し、最悪な選択をすることになる。


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