表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/63

弟子希望①

 悪徳記者が逮捕され、大手新聞社が謝罪に追い込まれた。


「馬鹿が馬鹿をやったってだけで親のように会社まで悪く言われる。育てた親ならともかく、アタシには分からん話だね。

 ま、その親だって、大人になった子供の責任なんざ取る必要があるとも思えないがね」


 “被害者”であったはずの魔女はそのように騒ぐ世間に皮肉を言い、新聞社に責任を求める世論の圧力に疑問を投げかけた。

 大衆は魔女の言葉に対し、特に反応をせず自身の正義を掲げ、そのまま新聞社の社会的責任を問い続ける。


 魔女は世の中がどう動こうが関係ないので、その一言以上の干渉はしなかった。



 そうやって魔女は世の中に何かを求めて動くことはしない。一言だって求められて言った言葉ではなく、ただアズ外交官から話を聞いて漏らした感想でしかない。

 ただ、他の誰かが勝手に何かを魔女に何かを求めるのである。





「弟子にしてください!」


 その日の客は、開口一番そのように言った。


「弟子なんざ要らないよ。とっとと帰りな」


 弟子入りを言い出したのはまだ若い娘だ。

 サウノリアやシーナと言った近所ではなく他国の出身で、わざわざ海を越えてやってきた。

 熱意と行動力だけはある、困った種類の人間である。



 魔女のところには、定期的にというか、年間数十人の弟子入り希望者がやってくる。

 魔女の魔法に魅せられた者、500年を超えて生きる魔女の不老不死の秘密を知りたい者、もっと単純に魔女に成り代わりたい者。その理由は様々だ。

 魔女とは、それだけ多くの魅力を持っているのである。



 ただ、森の魔女は弟子を取る気が無い。

 これまで魔女が頷いたことは一度として無く、全員が追い返されて終わった。


「では、お傍でお世話を!」

「アタシは、要らないと言っているんだよ」


 誰がどんな条件を付け食い下がったところで意味は無い。

 この日の客も、最後は追い出されて終わるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ