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おばあちゃん

作者: 大澤豊
掲載日:2019/05/01

そうそううまくいくことなんてない。

それが人生なのだろうけど、それでも幸せな人生だった、と胸を張って言える。

そんな私は今年、89なる。

周りは皆、先に天国ヘ逝ってしまい、知り合いはもう二人だけ。その二人は別々の施設にいるが、二人とも私のことが分からない。

そろそろ私もあちら側に、最近思っている。これ以上家族の世話にはなりたくないし、これといって日々に楽しみがある訳でもない。

孫にももう、相手にされない。

以前はしょっちゅう部屋に顔を出してくれたのに、それも最近はめっきり減ってしまった。

だから、もう、いいのだ。

このまま、幸せな人生だった、そう思って死ねれば。


「まなみ」

ふいに名前を呼ばれ、目を覚ました。

あ。

朝?

私は目をこすり、体を起こす。

なんだ、夢か。

「まなみ。おばあちゃん起こしてきて」

お母さんの声が聞こえてくる。

お母さんはいつも、私におばあちゃんを起こさせる。お母さんが起こすより私が起こした方が喜ぶから、らしい。

「今朝はおばあちゃんの好きな鮭だから」

お母さんは続ける。

えー、めんどくさい。いつもならそう言っていたと思う。

でも、今朝は違う。

私は首を振って階段を降りた。

階段横のおばあちゃんの部屋まで行き、顔を出した。

「おばあちゃん、一緒に朝ごはん食べよ」

寝ていたおばあちゃんが顔だけこちらを向ける。

少しだけ、目が輝いたような気がした。

ごめん、おばあちゃん。

心の中でそっと謝った。

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