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のーたいとる

久しぶり

「そもそも、君はなんで倒れてたの?」

「家出中なんだって、行き倒れだよ行き倒れ」

「······バカなの?」

「キミなりに合わずキツイこと言うね」

「なりに合わないって言葉は聞こえなかったよ」

僕と青いやつは人のいない商店街をフラフラと歩いていた。

ちなみに青いやつは扇子屋のじいさんから生まれた新鮮な入れ歯を手でカチカチしている。出来ればこいつとは握手はしたくないなと思った。悪手だし。

「てゆーか、じゃあキミはなんで私を助けたの?」

「なんでって···強いて言うなら、困っている人を見過ごせなかったからかな」

「ダウト」

「正解」

僕の嘘を見破ったことがまるで嬉しくないかのように、青いやつは持っていた入れ歯を近くのゴミ箱にボッシュートした。さよなら、じいさんの入れ歯。

「じゃあ本当はなんなの?」

ややキツイ目で僕を横目に睨みながら質問をしてくる青いやつ。

「さぁ···見返りでも求めてたんじゃないの?それか救急車を呼ぶ番号を確認したかったのか」

「見返りってどんなの?」

「鶴の恩返し的な、僕が大金持ちになる感じのやつ」

僕がそう答えると、青いのはニヤ~っと嫌な笑みを浮かべた。

「それなら良い話があるよ」

「保証人にはならないって決めてるんだ」

「そんなのじゃないよ、私をキミの家に泊めてくれない?だーいじょうぶ!鶴みたいに恩返しもするから!」

「昔、捨て猫を家に持って帰ったら母さんに怒られたんだ」

「私って猫系?」

「貧乏神系」

「じゃあいいじゃん!」

そう言って、青いやつは僕の手を握った。

青いやつの手のひらは、何故か生暖かく濡れて、あっこれじいさんの唾液かよ。

僕は手を払い、服で拭きながら言った。

「でも、自分の部屋でこっそり飼う分には構わないんじゃないかな」

「···なんか変な期待してない?青少年の若き衝動とか受け止める気はないよ?私」

引いた感じの目で僕を睨みながら言う青いやつ。

「失敬な···」

「じゃあなんで?」

「なんか···あー、心配だから?」

「お人好しなの?」

「偽善者なんだよ」

僕は両手の平を上に向けて言った。

それのなにが可笑しかったのか、青いやつは笑いだした。

「あっそ、じゃあよろしくね」


たぶんまだ続く

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