表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

3話

「待ってました!」

青い髪の彼女は、あって無いような胸を張って言い張った。透き通るような声だった。

「待たれてました」

僕は控えめに言った。あるようなないような存在感はポケットの中にしまってる。他にも度胸とか魅力とか、色々しまってある。

「この辺にいれば君に会えるって信じてたよ!君が私を助けてくれたんだよね?」

「助けたっていうか······」

わからないで僕を待ってたのかな。さっきまで商店街のど真ん中に立っていたのを脇に移動する。このままど真ん中で会話をするのは何故か気が引けた。

「君の言う助けたって言葉の意味が、倒れてる君を見つけて救急車を呼んでそのまま帰ったっていう僕の行為を意味するのなら、確かに僕は君を助けたよ」

「なんかまどろっこしーい」

彼女は未だに商店街のど真ん中で仁王立ちしたままだ。時代が時代なら「処す?処す?」とか偉い人同士で相談されそうだ。

「君は私を助けたんだよ。行き倒れてた私を助けてくれたんだよ。もっと誇りに思っていいんだよ?」

「あ、そう···」

見てみれば、さっきまでは彼女の青い髪にばかり目がいって気がつかなかったけど、彼女はブカブカのパーカーにジーンズを履いているだけだった。僕も似たような格好だけれど、彼女のはなんというか、あまり清潔なようには見えなかった。

「君、家出中とか?」

「おぉ、まさしくそんな感じだね」

「家に帰りなよ」

「そんなことより友達にならない?」

「え?」

良心っぽいものの呵責から、もしくは帰宅部の使命感からか家に帰ることを推奨してみたら、何故か倍以上の善意が僕を襲ってきた。ナニコノココワイ。

「···友達にはならないよ」

「えーひっどぅーい」

「まずは知り合いからってことで」

「それ告白されたときの断り方じゃなかったっけ!?」

こうして。

僕と彼女は出会ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ