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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
2章 迫る怪物と挑み守るもの ‐‐私情の多い戦場‐‐
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問題児、1

 その後、雨は止み体調不良で休んでいるトヨ以外の全員が上流下流に別れ子鰐を各個撃破していった。

 大ワニを引き付ける役割を終えた蒲公英隊もトヨのそばで待機させて、トキハル、トウジ、トガネはトヨの大型のエクエリを持って川の下流へ。

 ライカと朝顔隊は上流を一通り付近にワニがいないかを捜索していく。

 そしてあらかた進んだところで、茶色い川に子鰐がいないのを確認するとツバメがライカに話しかける。


「これでおおよそは撃破したんじゃない?」

「たぶんそうだね。とりま、おつかれ」


「んじゃ、帰るか」

「結構上の方まで来ちゃったから、戻るのマジめんどい」


「同感」


 町の方を警戒していたライカが、川の方を警戒しているツバメに話しかけられ警戒を緩めず答える。


「おわり?」

「一応はね」


 ふぅとため息を吐きイグサが構えていた大型のエクエリを降ろすと、ライカと一緒に廃墟の方を警戒していたコリュウがイグサのそばによる。


「終わりだけどまだ作戦行動中だぞイグサ」

「コリュ―五月蠅い」


 足元から砂利を拾い上げるとそれをコリュウに投げた。

 ライカが下流の方を担当している蒲公英隊とトキハル達に連絡を取っている。


「下流の方も子鰐は一通り倒したってさ。サジョウ隊長が撤収しろって」

「了解」


「帰ったらお風呂入ってお昼ごはんだね」

「お風呂かー、温泉とか入りたいなぁ」


「確かに、せっかくシェルターにいるのにそういうとこ行ってないなー」


 ライカが携帯端末をポケットにしまいながら、朝顔隊に隊長からの指示を伝えていく。


「とりまこの後は、副隊長と蒲公英隊のいる場所で合流、その後詳しい報告をして撤収だそうです。蜥蜴に関しては数は多いけど一般兵でも対処ができるレベルなので放置だそうです」

「んじゃ、戻ろうか」


 のんきな朝顔隊の返事を聞いてライカたちは合流地点に向かう。



 そして合流地点に集まってくるとトヨが休んでいたジープから降りて、帰ってきた皆を迎える。


「おかえりなさい」

「もう大丈夫? 落ち着いた?」


 他の誰よりも先にツバメがトヨに近寄り、聞きにくそうに話しかけた。


「何のことです?」


 何事もなかったこのように不思議そうな顔を浮かべるトヨ。


「さっきの通信のさ……」

「さぁ、何のことでしょう。そんなことしましたっけ?」


 何もなかったかのようにぎこちない作り笑顔でとぼけるトヨ。

 しかしこの間買ってもらった冷汗剤を使うわけでもなくいじり挙動不審で動揺を隠せていないがその点は誰も触れない。


 その後すぐにトキハルたちの方も帰って来て、一同シェルターに帰る方向に話が進んだ。

 トキハルはトウジと、トヨはトガネとライカの乗る車両を運転するため、別々の車両に向かった。

 ノノとイグサは気にしていないが気まずい空気の中、乗ってきた各自の車両に乗りこんで帰路につく。

 トキハルはいつもと変わりない対応に、一人で勝手に恥らっているトヨは運転する車の中で少し落ち込んでいた。


 先頭を蒲公英隊のバイク二台、最後尾を朝顔隊の銃座のついた軽装甲車一台、それに挟まれる形で蒼薔薇隊のジープ二台は一列に走りシェルターを目指す。

 雨が上がったこともあり視界はよく各車両のエンジン音を響かせ薄暗い灰色の空の下を進む。



 そして、廃墟を抜け帰ってきたシェルターの大扉の前には、大型のより大きなエクエリを乗せた戦車、満員に一般兵を乗せたトラック、兵装にいくつかの種類のある装甲車など軍用車両が何十台と集まっており扉の前は騒然としている。


「なんだ?」


 周囲を警戒していた誰よりも運転をしていたトキハルが真っ先に大扉の異変に気が付いた。


「資材回収班が帰って来たんじゃないか?」


 トウジも気が付いたようで身を乗り出して何が起きているか確認しようとしている。


「それにしては数が多い」


 それにこのシェルターで使われている車両は黒に近い緑で統一されているが、今大扉の前に集まっているのはそれより少し明るい深緑や緑と黒の迷彩柄の車両だった。

 どこからか移動してきた一団。

 トキハルは大よその想像があっているか確かめようと車を集団の近くに止める。


「何かあったのか?」

「ちょっといってくる」


 大扉の前の一般兵の集団の近くでトキハルが車を止め下車すると、後を追おうと後ろの車両からトヨも車を降りた。


「えっと、私も……」

「いや、俺が行くからいい、お前はここで待っていろ」


 トヨを車に戻しトキハルは一人で集団の先、大扉まで歩いて行った。

 後続の車両からツバメが下りトキハルと同じくその集団の元へ向かう。


「さっきの、集団、かな?」

「たぶんそうかも、この数の人がいるってことはたぶんあれだと思う」


「やっぱり、私も、そう思う」


 ジープの横にバイクを止め、ノノがコウヘイにささやく、車で待っているの暇だったトガネとライカも合流しトキハルが帰って来るのを待った。

 しばらくしてトキハルとツバメが返ってくる。

 ツバメはそのまま自分の隊の乗っている軽装甲車に戻っていった。


「やっぱりなにかあったんですか?」


 トキハルは少し疲れた様子で運転席に戻ると詳細を話す。


「ああ、新たな特定危険種がでた。俺たちが戦った川のさらに向こうにある前線基地を破壊し、このシェルターに向かってきているらしい。この集団は基地を放棄して撤退してきた前線基地の一般兵や非戦闘員達だ」

「マジですか?」


 連戦の予感にライカは不機嫌な顔をする。


「それで、前線基地を破壊した生体兵器はいつごろ。ここに来るまでのタイムリミットは?」

「進行方向は間違いなくこのシェルターでこのシェルターに到着するまでに24時間とない」


「はぁ!? あ、すみませんサジョウ隊長」


 冗談のような時間の無さにライカが声を上げ、一般兵からも注目を集めたためそのまま車に戻っていった。

 代わりに今度はトヨが話かける。


「じゃあ、今すぐ支度して出発しないと」

「落ち着けトヨ。数は30以上の群れだ。小型ならなんとかできるだろうが、大型は蒼薔薇隊だけでは対処ができない。できることなら多くの戦力を集めたい」


 ここからではまだ見えもしない生体兵器を来た道を振り返り確認するが、当然後ろには森や廃墟しか見えない。


「なら、朝顔隊や蒲公英隊、他の隊も呼んで」

「今その作戦会議の調整をする。このシェルターにいる隊をすべて呼ぶ、緊急事態だ会議にはお前も来い」


「でも、でも。こうしていう間にもこっちに来ているんですよね」

「だが、作戦もなしにぞろぞろといっても、現場で混乱するだけだ」


「しかし……あまり時間がかかるとここに……」

「今日中に作戦をまとめ、明日には実行するそれでいいだろ」


「でも、ですが……はい」


 まだ何か言いたそうだったがトヨは黙り、大扉の前に集まっている一般兵たちより先に精鋭たちは大扉をくぐる。

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