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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
2章 迫る怪物と挑み守るもの ‐‐私情の多い戦場‐‐
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再出撃、4

 戦闘に参加しない歯がゆそうなトガネとエクエリの銃身の冷却に時間のかかるトヨは、大鰐から距離を取ってトキハルたち三人の戦いを距離を取りながら見守っていた。


「トヨちゃん、もう少し下がったほうがいいかも。俺たちが孤立してれば戦力的に弱いと判断して攻撃してくるかもだよ。できれば生体兵器の視界から消えるため廃墟の方で隠れてた方がいいかも」

「そう……ですか、分かりました」


 最悪トガネのもう一つのエクエリを返してもらって戦闘に加わるとう手もあるが、そうしたら怪我をしているトガネが完全に孤立してしまう。

 トヨは銃身が冷めるまで援護の為の攻撃が出来ず大型のエクエリを担いで廃墟の方へと移動する。


 廃墟に入ってすぐにトヨは倒壊していない建物の前で止まった。

 灰色の建物は時間の経過と共に劣化し、ひび割れた箇所から金属の錆が流れ出て建物の壁に長さ太さが不揃いな縦縞をつくっている。


「この建物は崩れる心配なさそうですね」

「どうしたの、トヨちゃん?」


 大鰐はいなくても灰色の蜥蜴や子鰐が現れることを警戒して先を進んでいたトガネは、廃屋の前でトヨが立ち止まっていたので引き返してきた。


「この建物の上からトハル達を援護しようかと」


 そういうとトヨは割れていまは無いガラス戸のあった場所から暗い建物の中に入っていく。

 ガラスの破片を踏み割りながら建物内に生体兵器がいないことを確認する、建物の中は薄暗く埃っぽさとかび臭いにおいと鉄臭いにおいがした。


「上から狙って大丈夫なのかい? 弱点はお腹なんでしょ、トヨちゃん?」


 小型のエクエリを持たずに一人で行ってしまったトヨを追いかけトガネもその建物に入っていく、大型のエクエリは狭いところでの戦闘に不向きなうえ今わ冷却中で撃てないことぐらいわかっているはずなのだが、前回のように誰かが怪我をしないか不安なのだろう。


「俺っちが先を歩くよ、狭い室内にだって生体兵器はいるんだから」

「お願いします」


 建物の中に入ることを予想していなかったため、トガネは慌てて鞄からエクエリの追加のパーツを取りだし取り付ける。

 そして取り付けたライトをつけた。


 エクエリの下に取り付けられたペンライト程のそれは眩い光を放ち部屋の半分を照らした。

 そして壊れた室内を警戒しながら移動する。

 耳を澄ませ警戒を最大限まで引き上げゆっくり移動するトガネに対し、トヨは足早に部屋を移動しトガネを追い越した。


「トヨちゃん。待って待って、早い早い」

「何ですか? もう銃身は冷めました。早く援護しないと、またこの間みたいに怪我人が出てしまいます」


 歩く速度を一段と上げトヨはトガネを置いていこうとする。

 走る一歩手前まで速度を上げたトヨをトガネが走って追いかけた。


「焦りすぎじゃない」

「大鰐ですよ、一度戦ったことがあるとはいえ小型のエクエリでは歯が立たない。早く援護しないと」


「そりゃ、戦った俺っちもわかるけどさ」

「おしゃべりは後です、早く上に」


 建物は二階建てでトガネに手伝ってもらって屋上に乗り上げるトヨ。


「すみません、重くありませんでしたか? 傷口とか開いたりは?」

「平気だよ、体伸ばしたときにちょっと痛んだけで血はで出ないみたい」


「よかった。ではここから攻撃しますのでトガネは他の生体兵器の警戒お願いしますね」


 他のというのは灰色の蜥蜴の事だろう、今回も来る途中に何匹かいたが蒲公英隊が気にしていなかったことと襲ってこなかったため放っておいた。


「オッケー、トヨちゃんのことは俺が守るからね」

「ああ、はい。お願いします」


 トガネはビシッと親指までたてて決めたのだが、建物の上からトヨの心のこもっていない空返事が返ってきた。


 見晴らしのいい建物の屋上でトヨは周囲の観察する。

 手前の土手でトキハル達が戦っている、そして川を挟んだ対岸でも土煙が上がりずんと来る重たい重低音が響く。

 彼女は屋上を移動しトキハル達が戦っている大鰐が良く見えるところまでやってくると、首に付けたヘットセットを使う。


「トハル、攻撃準備できました。これから攻撃を開始します」

『トヨ、お前今何処にいる』

「廃屋の上です」


 トヨは居場所を教えるためにも一発撃って見せる。

 大型のエクエリも反動はほとんどはない、空気を震わせ放たれた一撃は大鰐の頭の後ろに命中。

 エクエリの弾はほとんど物理的な威力はないのだが、上から殴られたように大鰐が地面に頭を打ちつける。


「どうです?」

『弱点は腹だぞ』

「あ、でもここからなら。前回はできなかったことができます」


 続いての第二射、攻撃主と探そうと向きを変えた大鰐の頭に命中し、またしても大鰐は地面に頭をこすりつける。


「ここなら、射線を気にしないのと俯瞰から同じ場所を狙えますので」


 第三射、またしても頭に命中、大鰐の後頭部の白い骨が見える面積が大きくなっていく。

 頭を動かし射撃をよけようとするが、瓦礫もその大きな体も建物の上からの攻撃を防ぐ盾にならない。


 その後大鰐は一方的な砲火を浴びトヨの居る廃屋にその大きなあたまを向けようとするが、その前に頭蓋骨を貫通され絶命した。

 いくら頭蓋骨が丈夫とは入れ同じ個所を攻撃し続ければいつかは破壊できる、エクエリの弾はほとんど物を破壊できないのであって、まったくというわけではない。


「よし、では次だ」


 血の流れる生体兵器の死骸を興味なさげに見るとトキハルは、車の留めてある場所へ戻ろうとした。


「そうですね、トヨちゃ……副隊長、お早い合流を」

「お疲れ、んじゃ残り二匹もさっさと探そうじゃねぇか」


 ライカとトウジがトキハルの後に続く。


『川の向こうに、土煙が見えたので朝顔隊か蒲公英隊のどちらかが戦闘しているのかもしれません』


 建物の上から見えた場所を報告するトヨ。


「そうか、では向こうに移動する場所を探す」

「そうだね」


 トヨに戦闘のしている場所を教えてもらい進路を変える。


「トガネも連れてこいよ」

『あ、はい。下に居ますので一緒に行きます』


 屋上から落りたトヨがトガネと合流して建物を出ようと移動する。


「先輩からセクハラ受けたらその辺に捨ててきていいからね、走って逃げれば追いかけられないらしいから」

『あの、この通話俺っちも聞こえてるんだけど』


「しってる。だから言ったの」


 トヨの横でトガネが小さな声で言うと、無線の向こうで楽しそうにライカが答えた。


 トキハル達は廃墟に隠しておいた車に戻るため縦位置列になって形のない市街地進む。

 トヨとトガネを途中で拾って朝顔隊と合流。


『しかし、あれだけ派手な煙上げたのに蜥蜴は襲ってこないですねサジョウ隊長』


 ライカが無線でトキハルに話しかける。

 普通に喋っても聞こえる距離だったが、余計な生体兵器を集めないため声を抑えられる無線で話しかけてきた。


「そうだな、それよりシジマ、怪我の具合はどうだ」

『え、ああ、そうですね。ちょっと痛みますが走っても問題はありませんでした。でも転がったりするのは勘弁してください』


「そうか。無理をさせてすまないな」

『いいえ、だったら副隊長にどうぞ。大鰐を仕留めてんですから、褒めてあげてください』


 2人の会話に蒲公英隊がわりこんで来た。

 その声は少し慌てている。


『大鰐見つけた、私たちの爆薬は、使い切った、倒す手段がない、蒼薔薇隊、援護を、頼めるか?』

『すみません、サジョウさん。こちらの作戦がばれたみたいで、こいつは死肉には見向きもしませんでした。予備で用意した作戦Bの地面に設置した爆弾も作戦Cの閃光弾や催涙弾を使って五感を奪うのにも失敗。こいつは感が良くてそれなりに頭が回るようです、特定危険種レベルに。すみません、大型のエクエリを持っているユキミネさんに、こいつの相手お願いできますか』


「わかった。蒲公英隊今どこにいる」

『蒼薔薇隊側の橋に続いている大通りですね、場所が広く道を塞ぐ瓦礫も少ないので全速力で飛ばしてます。もうすぐ川原に出ますので、そちらに居ていただければ』


「わかった。トヨ、話は聞いていたな」

『はい。狙って待機します、広域燃焼弾使うので蒲公英隊は川原に出次第、本気で逃げてください』


『了解』

『わかった』


 通信を終えるとトキハルは急ぎ足で車へと向かう。

 そのあとをトウジと痛むのか少し辛そうな顔をしてライカも走ってくる。


「急がないとですね、仕留め損ねたら副隊長がマジで危ない」

「今から走って戻ったほうが間に合うんじゃないのか?」


「どのみち、小型のエクエリじゃ嫌がらせ程度にしかならないでしょ」

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