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暴走生命の世界 バイオロジカルウェポンズ  作者: 七夜月 文
14章 魔都侵攻作戦 ‐‐死と慟哭の街‐‐
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終止符を 1

 逃げながらアサヒは生体兵器と交戦しているフルタカを呼ぶ。


「フルタカ、戻ってこい。黄薔薇隊が来てくれた。ここは彼らに任せる」


 鈴蘭隊の援護を受けフルタカは生体兵器から離れると、アサヒは背負ったキイをフルタカに預け怪我のしていない手が空くと携帯端末を取り出し連絡を取った。


「こちら青薔薇隊、負傷者二名。戦闘に継続するのは困難、仲間を連れて撤退する。黄薔薇隊、ここを任せられるか」


 遠くに見える精鋭たちは攻撃を続けながらアサヒたちのもとへと向かっており、少し間をおいて返事が返ってくる。


『了解した。ここは俺らに任せて、青薔薇隊はけが人を連れて先に避難をしてくれ。大丈夫だこんなやつ、すぐに倒すからな』

『負傷者は拠点へ戻って、治療を……機能してればだけど。後は私らに任せとけば大丈夫、手負いの大型の生体兵器ぐらいあっという間に倒すから。まかせときな。先に帰って私らを迎えるパーティーの用意でもしておいてよ』


『いや、俺らに話しかけられてるんだけど……朝顔隊の隊長さん』

『別にいいじゃん、倒すことに変わらないんだから。細かいこと気にしてると長生きしないよ』


 話が付くと青薔薇隊は生体兵器へと向かっていく鈴蘭隊へと声をかけた。


「鈴蘭隊も、あとは彼らに任せここから離れる気はないか?」

「いいや、私らはこのままこいつを倒す」


 引かない鈴蘭隊の背中を見送ると、アサヒたちはこの場を離れ三人で拠点を目指す。



 すでに先に逃げていった一般兵とその護衛につけた精鋭たちの姿はない。

 フルタカはキイを担ぎ、アサヒは小型のエクエリを持ち拠点へと向かって走っていると、遠くから見えていた生体兵器の死骸群へとたどり着く。

 周囲は焼ける異臭が立ち込めその空気を吸った三人はむせこみ、険しい表情をして顔を見合わせる。


「焦げ臭いし、何より体液の焼ける臭いがきついな」

「大丈夫なのかよ、こんなところ通ってよ。まだ燻ぶってるところあるぞ、というか毒針の毒とかも燃えて空気中漂ってたりしてないのかよ?」


「大丈夫みたいだ、先に逃げた一般兵たちの足跡があるこれを追ってここを抜ける」

「まぁ、それでいいのならいいんだけどよ。嫌だぜ途中でまとまって人が死んでるところに出くわして俺らも手遅れってのはよ」


「心配ならマスクつけておけ、蒸発してこのあたりに滞留してても防げるだろ」

「そうだな、キイにもつけておくか」


 そういって死骸の中を進み始めるアサヒ。

 大型の生体兵器の死骸が視界を遮り場所によっては折り重なり道を塞いで迷路のようになっている。


「酷い光景だねぇ、生体兵器だらけじゃないか」

「キイ、もう少しでつくからな」


「私も怪我したのが腕だったら自分の足で歩けたのに」

「静かに乗っかってろ」


 フルタカもキイを担ぎなおし棘だらけの足の生える障害物をよけて進み始めた。

 頭や腹を失っても動く脚や羽。

 初めは点々と焼け落ちた生体兵器の死骸は感覚が開いておりまばらだったが、拠点へと向かって進むほど死骸の数は増えていき密度が濃くなっていき、次第に大きな死骸は折り重なり積みあがっていく。


「昆虫型は頭失っても動くからきもいよな。死んでると思って近づいてよ、反射的に動く脚に蹴られたくねぇ」

「確かに邪魔な足をエクエリで切り落としたいが、バッテリーの残量がもうない。進むのに邪魔なものだけを切り落とす」


 生体兵器の死骸の間を通り抜けながら三人は拠点のあるだろうという方向へと向く。

 願わくはまだ拠点が機能しているようにと。


「生体兵器に踏まれた一般兵のもとに向かって、強化外骨格動かすバッテリーを回収しておけばよかったよな」

「そうだな、再び戦闘に巻き込まれないように戦場から離れることだけを考えていた」


「血流しすぎて頭に回ってないのかよ? しっかりしろよなアサヒ俺らの隊長だろ」

「ああ、慎重に進もう。ここまでくれば基地まであと少しだ」


 死骸をよけながら進むとコンクリートで整地された地面に代わる。

 建物は折り重なり積みあがる死骸に阻まれ確認できないが基地の敷地に入ったことを示唆していた。


「痛い思いもしたけど帰ったら一杯やらおうじゃないか」

「治療が先だろうがよ、まだ症状はないがよ毒が体に入ったかもしれないんだぞ」


「ちょっと待て、何か聞こえるなそこの下か」


 慎重に近づくと大型の死骸の下から生体兵器が現れる。


「何だよ、死にかけの小型か。見たところ満身創痍。傷の回復のためによ俺らを食いに来たって感じだよな」

「こいつは俺が倒す、フルタカはキイを守っていてくれ」


 死骸の山から現れる小型の生体兵器は羽は燃え尽き外骨格は黒く焦げ足も数本焼失している。

 動くのがやっとなような生体兵器にエクエリを構えアサヒが前に出ると頭部に向かって引き金を引く。

 光の弾は簡単に狙った場所へと命中し火にあぶられ黒く焼けた体を貫く。

 しかし新たに生体兵器の死骸の下から小型の蜂が飛び出しアサヒに覆いかぶさると腹部の毒針を突き立てる。

 だが強化繊維は貫けず、何度も突き刺そうと毒針をアサヒの腹部へと打ち付けた。


「アサヒ、やっぱダメージが」

「弱った小型相手に何やってるんだよ。ったく、見てられねぇよ」


 見ていられずフルタカがキイを下ろして大型のエクエリを構え助けへと向かう。



 大きくても飛翔するための体は見た目以上に軽量、ついでに撃ち落とされ焼かれたこともありよりその体は軽くなっていたその体を投げ飛ばしアサヒはエクエリを撃ちこむ。


「大丈夫だ、飛び掛かってきたのに驚いただけ。次はもう受けない」

「ほんとかよ。なんにしろすこし数減らさないとここから先には進ませてくれないみたいだけどよ」


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